FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国経済の回復鈍化懸念から下げ幅拡大

追加の新型コロナウイルス経済対策についてムニューシン財務長官は、来月3日の米大統領選までの語彙に懐疑的な見方を示したほか、朝方発表された米金融大手の決算内容がまちまちだったことなどがセンチメント後退の要因となった。また、中国統計局が発表した9月の中国の卸売物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)がいずれも市場予想を下回る結果だと伝わり、中国経済の回復鈍化懸念が広まり下げ幅が拡大した。結局、前営業日比119円安の2万3507円と3日ぶりの反落となった。10月第1週の海外投資家は4170億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は105.20円台のもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、105.30円付近まで値を上げた。ムニューシン米財務長官が追加経済対策法案の協議継続について前向きな姿勢を示したことも、ドル買い戻しにつながった。しかし、9月の中国物価統計が低調で、日経平均株価が下げ幅拡大したことからドル買い・円売りは続かず、105.25円を挟んだもみ合い相場となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.20円台を中心とした狭いレンジ取引となった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

冬季に向け欧州では再びウイルスの流行懸念

新型コロナウイルスの流行が冬季に再来するとの懸念が高まる中、フランス政府は14日、主要都市での夜間外出禁止令を発出した。他の欧州諸国も学校閉鎖や手術の中止、医学生の動員など対応に追われている。欧州の新型コロナ新規感染者は1日当たり約10万人に達し、米国の平均5万1000人超を大幅に上回っている。仏政府はこの日、マクロン大統領は17日から4週間にわたって主要都市での夜間の外出を禁止すると発表した。世界保健機関(WHO)によると、11日までの1週間で英、仏、ロシア、スペインで確認された新規感染者は欧州全体の半分以上を占めた。

 

南ア大統領は経済復興計画を議会に提出

本日ラマポーザ南ア大統領は、国内の経済復興計画を議会に提示する予定となっている。すでに本日のセッションではエネルギー、安全保障、雇用創出、インフラ開発、などについて話すことが内閣のホームページでは発表されている。大きなサプライズは期待できないが、念のために注意は必要がある。また、21日に予定されていたムボウェニ南ア財務相の中期予算発表は28日に延期されたことで、市場はそれまでの間南アの国内要因では動きにくくなっている。

 

トルコリラは欧米との関係悪化懸念から上値が重い

トルコは一時中断するとしていた東地中海のエネルギー資源探査を再開し、これに対して、これまでEU内ではトルコ擁護派であったドイツからも非難する声が出ている。マース独外相は予定していたトルコ訪問をキャンセルし、ドイツはギリシャとキプロス側の立場だと表明した。本日から明日にかけて開催されるEU首脳会議ではトルコについて協議する予定はなかったが、ここにきて議題に上がる見込みも出てきたと一部では報じられている。トルコは欧州の難民問題のカギを握っているため、これまでEUから厳しい制裁は免れてきた。しかしながら、複数のEU高官からは『トルコへの飴と鞭アプローチは失敗』との発言も伝わっており、トルコが東地中海における強硬姿勢を改めない限り、かなり重い対トルコ制裁が課される可能性もある。

また、15日本日は、米国が深く懸念するとした『トルコによる露製地対空ミサイルS400のテスト』が実施される予定である。予定通りとなれば米トルコ間の溝の広がりが危惧される。

 

ペロシ米下院議長逆切れで選挙戦への影響も

CNNがペロシ米下院議長とやりあってしまった。CNNの著名アンカーがペロシ議長に『どうして米国民が困難に陥っているのに、1.8兆ドルというオファーを断っているのか?』と純粋に投げかけたところ、ペロシ議長は逆切れした。『我々が彼らの代表としてやっている。我々が食わしてやっているんだ(We feed them)』を繰り返した。そして何度も言い合った後、『あなたは共和党の弁明者だ(apologist)』と吐き捨てた。民主党が戦略として大統領選前に合意しないというのは至極当たり前のことである。ただ、一番の支援メディアであるCNNでのインタビューで『一線を越えてしまった』わけで、選挙への影響がかなり大きなものとなる可能性が出てきた。日本にいると、純粋に『追加経済対策で合意出来なかった』としか映ってこないが、昨日のCNN放映後のツイッターなどの反応をみている限り、事態としては深刻になりつつある。いずれにしても、ブルーウェーブ一色となっている市場のシナリオがどのように軌道変更していくかが、残り3週間の課題となっている。

 

米国市場では先週分失業保険申請件数が公表:急増する可能性も

先週分の新規失業保険申請件数を発表する。新型ウイルスパンデミック以降、エコノミストは雇用統計よりも現状の米国の労働市場の状況をより正確に反映するとして、同指数に最も注目している。市場エコノミストの平均予想は82.5万件と、前回84.0万件から3週連続で減少すると期待されている。パンデミックにより経済が封鎖される前の3月上旬の水準に一段と近づくと期待されている。しかし、一部では同指数が急増する可能性も懸念されている。カリフォルニア州はパンデミックによる申請の急増でシステムに過負荷がかかり2週間ほどの整備期間中申請の受付を停止していた。先週から申請の受領を再開したため、全国ベースの新規申請件数が急増する可能性があると指摘されている。労働省の試算によると修正分は22.6万件程にのぼる。再び100万件の大台に達することになる。

 

欧米市場イベント

○15:30   9月スイス生産者輸入価格
○15:45   9月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.5%/前年比0.1%)
○16:30   9月スウェーデン失業率
○21:30   10月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:15.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:82.5万件/1070.0万人)
○21:30   10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:14.0)
○21:30   9月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○22:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:10   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○24:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○16日01:00   9月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲5.9%)
○16日01:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16日03:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○16日06:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○英・欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉合意期限(英側設定)
○EU首脳会議(ブリュッセル、16日まで)

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