FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米追加経済対策とワクチン開発の先行き不安

NYダウは157.71ドル安の28679.81ドル、ナスダックは12.36ポイント安の11863.89ポイントで取引を終了した。民主党のペロシ下院議長がトランプ政権が提示した1.8兆ドル規模の追加経済対策案を拒否、選挙前の合意が困難となったため下落して寄り付いた。また、医薬・日用品のジョンソン&ジョンソンは開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験を停止したと発表したほか、『米製薬大手イーライリリーは新型コロナ抗体治療薬の治験を停止した』と伝わると、ワクチン開発の先行き懸念が高まり売りが広がった。高速通信規格『5G』に対応する『iPhone12』を発表したアップルが『材料出尽くし』として売られたことも指数の押し下げ要因となった。VIX指数は25.07から26.07へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ポンドが全面安の展開

ポンドは全面安の展開となった。ジョンソン英首相が設定した欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)締結交渉の妥結期限である15日が迫る中、交渉決裂の可能性が意識されてポンド売りが優勢になった。バルニエEU離脱首席交渉官はこの日、『最終的な詰めの作業に入れるほどの十分な進展はなかった』などと述べたほか、スラック英首相報道官は『英国は合意なき離脱の準備と意志がある』と述べ、そのような結果に対する『恐れはない』と明言した。また、ドリアン仏外務相は『現時点では合意なき離脱の可能性が高い』などと発言した。ポンド/ドルは一時1.2922ドル、ユーロ/ポンドは0.9085ポンド、ポンド/円は136.38円までポンド安に振れた。ベイリー英中銀(BOE)総裁が『マイナス金利を考慮する必要がある』『金融政策について非常に積極的にならなければならない』と述べたこともポンド売りを誘った。 

 

ユーロ/ドルは、欧州時間に発表された10月独ZEW景況感指数が予想を大きく下回ったことが引き続き意識されて、ユーロ売りが継続した。新型コロナウイルスワクチン開発の先行き不透明感などを背景に米国株相場が下落したこともリスク回避のドル買いを促し、一時1.1731ドルと日通し安値を付けた。

 

ドル/円は、米経済対策法案を巡る米与野党協議やブレグジット交渉の先行き懸念などリスク要因が目立つ中、リスク回避のドル買いが先行し、一時105.63円と日通し高値を付けた。ただ、同時にリスク回避の円買いも入ったため上値は限定的だった。

 

NY原油先物市場は反発:中国の貿易改善で需要回復期待で買い

NY原油先物市場は39.35ドル-40.53ドルのレンジ相場となった。この数日はノルウェーの石油会社労働組合のストライキ終了やリビアのシャララ油田での増産予測で下落していた原油先物価格だが、一転して買い戻しが優勢となった。市場では本日発表された中国の貿易収支が、輸出・輸入ともに大きく伸びたことが原油需要拡大につながると言う声が出ていた。アジア市場の終盤にかけて39.35ドルまで下げたが、ロンドン市場で40ドル台を回復。供給増加の思惑は消えていないが、需要回復への期待も残されており、NY原油先物は底堅い動きとなった。

 

NY金先物市場は大幅下落:リスク回避のドル買いを嫌気

NY金先物市場は1889.30-1930.60ドルのレンジ相場となった。株価の下落によりリスク回避のドル買いが進んだことで、ドルで取引される金先物は割高感から上値が重く反落した。ここ最近はリスク回避が安全資産としての金買いよりも、リスク回避によりドル買いによる金売りになる傾向が強い。ロンドン市場序盤で1930.60ドルまで買われたが、その後は伸び悩んだ。ニューヨーク市場では安全逃避的な取引が活発となり、ユーロ安を嫌気して金先物は一時1889.30ドルまで売られる場面があった。 

 

米国債券市場は上昇:ワクチン開発の先行き不透明感から買い

米国債券市場で長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)0.72%で終了した。新型コロナウイルスワクチン開発の先行き不透明感を背景に米国株が下落すると、相対的に安全資産とされる米国債が買われた。 

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