FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ハイテク株中心に買い優勢

前場は米ハイテク株の調整一巡期待から買いが先行しソフトバンクGが英半導体アーム売却発表を手掛かりに大幅高となり、日経平均株価を119円押し上げた。また、米ナスダック先物が時間外取引で1%超上昇し米ハイテク株調整一巡感に投資心理が改善した。結局、前営業日比152円高の2万3559円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル売りも心理的節目の106.00円を意識

ドル/円は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.15円前後で取引された。今週予定されている米FOMCや日銀政策決定会合のイベントを前に、様子見ムードが広がった。午後に入ると、FRBの低金利政策が長期化するとの思惑から、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて106.01円付近まで下落した。しかし、心理的節目の106.00円が意識されると下げは一服し、106.05円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.18ドル台半ばで方向感に乏しい値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

SBGが傘下のアーム社売却でも為替市場は冷静

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は13日、ソフトバンクグループ(SBG)が株式非公開化を検討していると報じた。現在取り組んでいる資産売却の後、戦略の見直しを行う。ソフトバンクGは有利子負債圧縮と自社株買いに向けた資産売却計画を進めており、傘下の英半導体設計大手アームを400億ドル(約4兆2000億円)以上で米半導体大手エヌビディアに売却することで合意間近だと伝えられている。

市場ではその内容から『意外とキャッシュの部分が少ない』との声も聞かれている。SBGに直接入るドルキャッシュとしては、買収が完了する2022年3月ごろに約75億ドル+α(最大で37億ドル)程度にしかならない予定である。しかも、2022年3月なので、「今から相場にどうのこうの言うことでもない」というものである。恐らく、市場自身が『全くこのネタで盛り上がっていない』のも納得がいく。

 

それでも英国の合意なき離脱は回避されるとの見方

ジョンソン首相は10月15日までに合意できなければEUとの自由貿易協定(FTA)は締結されないものと受け入れ、先に進む必要があると表明した。10月半ばに向けてポンドは荒っぽい動きが見込まれる。ジョンソン首相は、EUとのFTAを年内に発効させるためには10月15日までの合意が必要と表明し、『合意なき離脱』への懸念が強まったものの、これは協議決裂の可能性をちらつかせることで、EUが先に譲歩するよう圧力を掛けるジョンソン政権の作戦との見方も少なくない。市場では、引き続き年末にかけて交渉が続き、年内には限定的な合意に至り、『合意なき離脱』は回避されるとの見方が多い。

 

米格付け会社ムーディーズがトルコの格下げを発表

ムーディーズは11日、トルコの格付けを従来の『B1』から『B2』に引き下げた。同社による格下げは約1年3カ月ぶりとなる。見通しは『ネガティブ』が維持された。 ムーディーズは、トルコの対外的な脆弱性が財政悪化スピードを速めると指摘した。信用リスクの高まりにもかわらず、トルコ当局は課題の改善に有効な対処ができていないだけではなく、対処する姿勢さえもみられないとした。同社によるトルコ格付けは4年前から投資不適格級(ジャンク級)だが、今回の『B2』はエジプトやジャマイカ、ルワンダと同等の格付けとなる。格付け会社からは、外貨準備高不足や地政学リスクも強く懸念された。トルコ中銀が発表した4日時点の外貨準備高(グロス、金保有を除く)は448.8億ドルと年初来の減少幅は44%を超えている。そのため、金融当局が力尽くでリラ安の流れを抑えるには限界がある。

 

南アの4-6月期のGDPが底になる可能性も

7-9月期の南アBER企業信頼感指数の結果から、南アの国内総生産(GDP)も4-6月期が底になるのではとの声がある。BERは4-6月期が+5だったが、7-9月期は+24まで改善しており、-51.0%まで落ち込んだGDPも7-9月期の回復が期待されている。ただし、依然としてウイルス感染が続いていることや、南アの巨額債務、電力不足など、ネガティブな面が山積みに残っており、たとえ4-6月期が底になった場合でも今後の経済回復は相当な時間を要することになる。
 今週は16日に7月の小売売上高が発表され、17日に南ア準備銀行(SARB)が金融政策委員会(MPC)を開き政策金利を発表する。現時点では政策金利は0.25%の利下げと据え置き予想が拮抗しているが、前回のMPCでも時期が迫ってくると追加利下げ期待が高まり、実際に利下げをしたように予想を変更する金融機関も増えてくる。

 

米大統領選で票につながらない州は無視

米CNNは10日、過去最悪な規模で被害が広がっている米カリフォルニア州やオレゴン州の山火事について、トランプ米大統領がほとんど言及していないことを指摘した。大統領が山火事について述べたのは8月半ばであり、その時は山の管理のずさんさが火事に繋がっていると、人的災害であるような批判を繰り広げた。8月下旬の共和党全国大会でも、山火事を危惧する言葉は発せられなかったようだ。 大規模な山火事に襲われたカリフォルニア州は民主党の副大統領候補カマラ・ハリス上院議員の地盤でもあり、民主党が強いとされる州。また、隣接するオレゴン州も上院議員2人は民主党、同州の下院議員5人中4人を民主党が占めている。両州とも11月大統領選では、バイデン元副大統領が圧倒的に優位とされている州である。 国内の惨事にもかかわらずトランプ大統領の言葉の少なさは、選挙で見込みのない州には関わり合わないということかもしれない。逆に言えば、大統領選で票に繋がる見込みがあれば、急いで進めることや圧力を強めることもありそうだ。

 

欧米市場イベント

○15:30   8月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比▲0.31%)
○16:00   7月トルコ鉱工業生産(予想:前月比8.3%)
○18:00   7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比4.1%/前年比▲8.1%)
○自民党総裁選、投開票

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