FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:安倍首相辞任報道で失速

米FRBが27日にゼロ金利政策の長期化に向けた新しい政策指針を決め株式市場への資金流入が続くとの見方から投資家心理が上向き買い安心感に繋がった。また、1ドル=107円近辺まで円安が進み、自動車など輸出関連株が採算改善期待から一段高となった。さらに、香港などアジア株の堅調も投資家心理を支えた。しかし、午後に『安倍首相が辞任の意向を固める』と伝わり、国内政治情勢に対する不透明感から一気に売りが膨らみ、一時下げ幅は600円超となった。結局、前営業日比326円安の2万2882円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:安倍首相辞任報道でリスク回避の円買い

ドル/円は、米長期金利上昇や日経平均株価が買い先行で始まったことに支えられ、106.85円付近までじり高となった。海外勢などから月末に絡むドル買い・円売りフローも継続的に観測された。午後もこの流れが続き、106.94円付近まで上げたが、心理的節目の107.00円が意識されると上げは一服した。その後は、一部メディアが『安倍首相は持病が悪化したことなどから、国政に支障が出る事態を避けるために辞任の意向を固めた』と報じた。この報道を嫌気して日経平均株価が大幅安になると、ドル/円は、リスク回避の円買いが津尾真理、一時106.10円付近まで急落した。ユーロ/ドルは、FRBによる事実上のゼロ金利政策が長期化するとの思惑から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.18ドル台後半へ水準を切り上げた。

 

南アフリカでは電力不足が経済の足かせ

このところの南アフリカでは電力不足が経済の足かせとなり、年明け以降は新型コロナウイルスの感染拡大と強力な感染対策による経済活動の制限で下押し圧力が掛かった。 政府は財政・金融政策による景気下支えを図るが、主要格付機関は軒並み格下げを実施するなど厳しい状況に直面した。さらに、先月には感染拡大を受けて夜間外出禁止措置の再開に追い込まれるなど、南ア経済を取り巻く状況は厳しさを増してきた。アフリカ大陸では新型コロナウイルスの感染拡大が続く一方、南アでは先月末をピークに感染者数は鈍化するなど事態収束の兆候が出ている。政府も17日夜に警戒レベルを緩和してほぼすべての経済活動で制限が解除されるが、電力不足は経済の足を引っ張るとみられる。

 

地政学リスクもトルコリラの重石

トランプ大統領は、トルコとギリシャに対して『対話で解決すべき』と述べたが、双方の首脳は東地中海における自国の正当性を押し出しており、妥協点は簡単に見つかりそうにない。トルコ政府は昨日、来月1-2日に東地中海で海軍による砲撃訓練の実施を発表し、ギリシャを刺激し続けている。それに対して、ギリシャだけではなく、その後ろ盾となっているフランスがトルコへの強硬な姿勢を崩していない。EU加盟国と偶発的な衝突リスクが高まるなか、リラの買い難さは続いている。また、トルコ中銀は昨日、21日時点での外貨準備高(グロス、金保有額を除く)が454.3億ドルと、前週比では横ばいだったことを明らかになった。もっとも、年初来では約44%も減少しており、準備高枯渇への懸念は高まったままである。

 

パウエル米FRB議長講演では具体策を欠く内容

カンザスシティ連銀主催の連邦準備制度理事会(FRB)年次経済政策シンポジウムで、パウエル議長は27日、金融政策の決定においてインフレ目標の変更を発表した。パウエル議長の会見では、インフレをどのように引き上げるかなど重要な具体策に欠けた。また、フォワードガイダンスに関する言及もなかった。このため、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、①フォワードガイダンス、②スタッフのインフレ見通し、③インフレを引き上げる手段、に注目が集まる。 ダラス連銀のカプラン総裁は、FRBが容認する緩やかなインフレの過熱はおそらく、2.25%-2.5%前後となるだろうとしている。コアPCEが2.5%前後をつけたのは2006年。この水準のインフレ回復は容易ではない。現状で失業率は10%超え。インフレ目標を変更しようが、物価達成には程遠く、急伸する確率は非常に低い。このため、FRBはゼロ金利を数年維持することになると見られている。

 

米国は農産物履行めぐり対中姿勢軟化か

米通商代表部(USTR)のグレッグ・ダウド首席農業交渉官はこれまで、第1段階貿易合意で中国が公約した米農産物購入拡大の履行を強く求めてきたが、こうした姿勢を和らげた。ダウド氏は27日、米大豆輸出協会のオンラインセミナーでの講演で、第1段階合意の拘束力や履行メカニズム、関税の再賦課への言及を控えた。また、順守しない場合の制裁に関する質問を受け、同氏は『これは2年間の公約だ』と強調した。ダウド氏は今年2月、米農務省の定例フォーラムで、米中両国は履行状況の進展を話し合うため毎月会合を開くとし、実行が不十分な場合は損失額に相当する規模の関税を課す可能性があると述べていた。
中国は第1段階合意の下で今年1年間に米農産物を365億ドル(約3兆9000億円)相当を購入することになっているが、米国勢調査局が25日に公表したデータによれば、中国の1-7月の購入額は76億3000万ドルと目標の約23%にとどまっている。

 

米国市場では7月PCEコア価格指数が公表

6月の実績は前年比+0.9%にとどまった。個人消費の持ち直しが期待されていたが、上昇率は1%を下回った。7月については、ウイルス感染の増加が懸念されているが、失業手当の上乗せ措置が継続しており、衣料や宿泊費などの支出増加で伸び率は6月実践をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比▲4.7%)
○15:00   9月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:1.0)
○15:45   8月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.2%/前年比0.1%)
○15:45   7月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   7月仏消費支出(予想:前月比1.2%)
○15:45   4-6月期仏GDP改定値(予想:前期比▲13.8%)
○16:00   8月スイスKOF景気先行指数(予想:90.0)
○16:30   4-6月期スウェーデンGDP(予想:前期比▲8.6%)
○17:00   安倍晋三首相、記者会見
○17:00   8月ノルウェー失業率(予想:4.7%)
○18:00   8月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:85.0)
○18:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.7)
○21:30   6月カナダGDP(予想:前月比5.6%/前年比▲9.1%)
       4-6月期カナダGDP(予想:前期比▲39.6%)
○21:30   7月米個人消費支出(PCE、予想:前月比1.5%)
       7月米個人所得(予想:前月比▲0.2%)
       7月米PCEデフレーター(予想:前年比1.0%)
       7月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.5%/前年比1.2%)
○22:05   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演(ジャクソンホール会議にて)
○22:45   8月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:52.0)
○23:00   8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:72.8)
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「今後10年の進路:金融政策にとっての意義」(テレビ会議方式で開催、最終日)

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