FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中関係悪化懸念が上値の重石

米国株高を受け買いが先行したが、米国が26日に南シナ海軍事拠点建設に関わった中国企業24社に禁輸措置を発動し香港英字紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』(26日電子版)が『中国が青海省と浙江省から南シナ海に対艦弾道ミサイルを発射した』と報じた。そのため、米中対立激化を嫌気して景気敏感株中心に利益確定売りが優勢となった。一方で、新規手掛かり材料に乏しくアジア株も高安まちまちでパウエル米FRB議長の講演を前に様子見ムードが強く『夏枯れ相場』の予想を呈している。結局、前営業日比82円安の2万3208円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中関係の悪化懸念からドルの上値の重い展開

ドル/円は、中国軍が南シナ海に向けて中距離弾道ミサイルを発射したため、米中関係のさらなる悪化を警戒したドル売り・円買いが先行し、105.85円付近へ下落した。東京市場でもこの流れは続き、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことも嫌気されて105.80円付近まで下落した。しかし、今晩のジャクソンホールで予定されているパウエルFRB議長の講演を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに動き、一時106.07円まで上昇した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.00円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.18ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

S&P500とVIX指数の同時上昇で下落リスクに警戒

26日の米国株式市場ではS&P500が上昇したにも関わらず、VIX指数(恐怖指数)も上昇した。年初から26日まででS&P500が前日比で上昇したのは97営業日である。そのうちVIX指数も上昇したのは13営業日にとどまり、珍しい出来事だったことが分かる。しかも、S&P500の1%超高とVIXの5%超高が同じ日に上昇したのは、過去10年さかのぼっても今年6月8日と昨日26日だけである。これは高値警戒感から現物株や先物を買い増すことにはためらいがあるが、株高が止まらないので『株高リスク』に備える目的のコール(買う権利)買いが入ったためである。弱気派の退潮は市場参加者が総じて楽観に傾いている裏返しで、株安進行のマグマが蓄積されているともいえる。前回は6月9日から3日間の下落は2,444ドルとなり、11日には過去2番目の1,861ドルの下落幅を記録している。

 

IKEAが新工場をメキシコに建設、鴻海精密工業も検討

24日には『鴻海精密工業など複数の台湾企業がメキシコでの工場建設を検討』との一部報道が伝わったが、世界最大の家具量販店であるIKEA(イケア)もメキシコに新工場を建設すると発表した。メキシコ北部のコアウイラ州に建設する新工場は2021年の4-6月には完成予定としている。10万平方メートルにおよぶ新工場では北米のイケアストアで販売されているマットレスやソファなどを製造する予定で、現地では2000人の新規雇用が見込まれると伝わっている。

 

ハマスの幹部数名がトルコ市民権を得る:活動範囲の拡大を警戒

英テレグラフ紙は今月半ば、多くの国がテロ組織に指定する『ハマス』の幹部数名に、トルコが市民権を与えたと報じた。トルコパスポートを所持していれば、日本、韓国やシンガポール、その他複数の国にビザなし渡航が可能であり、ハマスの活動範囲が広がり、行動が掴み難くなることが警戒されている。トルコのイスラム化を推し進めるエルドアン大統領は、この『ムスリム同胞団』を支援している。そのため『ハマス』についても、2年ほど前に『ハマスはテロ組織ではない』とSNSで配信した。

 

トランプ氏は米国大統領選に向けて勢いを巻き戻す

世界最大の賭けサイト、英ベットフェア・エクスチェンジによると、11月の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領が勝率で民主党のバイデン候補との差を縮めていると報じている。ベットフェアによると、トランプ氏が勝利する確率は45%。バイデン氏は54%でなおリードを維持しているものの、6月初旬の62%から低下した。ベットフェアは『大統領候補の正式指名以降、両候補の勝率の差は大幅に縮小した』と指摘している。

 

パウエル米FRB議長のジャクソンホール演説に市場は注目

カンザスシティ連銀主催の連邦準備制度理事会(FRB)年次経済政策シンポジウムで、パウエル議長は27日に金融政策の骨組みの見直しに関する講演を行う。通常はワイオミング州、ジャクソンホールで非公開で実施されるが、パンデミックの影響で今年はリモートで行われ、ライブ配信で公開される。 FRBはこの機会を利用し、インフレ対処の手段の変更を明らかにすると予想されている。議長はインフレ目標値の上下レンジを容認する政策に関して協議すると見られている。新型コロナウイルスパンデミックが経済を損ない、FRBは低インフレを懸念している。長期にわたる低成長、物価安に閉じ込められる可能性を回避するために、インフレを一時的に若干過熱させることを検討している。インフレの目標が一段と引き上げられるためFRBはゼロ金利をさらに長期にわたり維持していく必要がある。具体的な政策が提示されればドル売りや資産市場の上昇に繋がる。逆に、もし、今まで通りに、2%目標でインフレが持続するまで大規模緩和を維持するとの方針の再表明にとどまった場合はドルのショートカバーが強まる。

 

米国市場では4-6月期国内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前期比年率▲32.9%だった。3月下旬頃から実施された都市封鎖によって、多くの小売業・サービス業が営業を停止したことによって、個人消費支出が大幅に減少したことが米国経済の急激な縮小につながった。経済環境の急速な悪化を受けて、企業設備投資も大幅に減少した。改定値で上方修正される項目は少ないとみられており、速報値との比較でわずかな改善にとどまる見込となっている。

 

欧米市場イベント

○未定 ◇ 8月月例経済報告
○14:45   4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比▲8.6%/前年比▲9.6%)
○15:45   8月仏企業景況感指数(予想:88)
○17:00   7月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比9.2%)
○18:30   7月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.0%/前年比1.7%)
○20:00   7月メキシコ貿易収支(予想:4.29億ドルの黒字)
○21:30   4-6月期カナダ経常収支(予想:122.0億カナダドルの赤字)
○21:30   4-6月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率▲32.5%)
           個人消費(改定値、予想:前期比年率▲34.6%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比年率▲1.1%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:100.0万件/1445.0万人)
○22:10   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、金融政策の枠組み見直しについて講演(ジャクソンホール会議にて)
○23:00   7月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比2.0%/前年比10.8%)
○28日00:15   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演(ジャクソンホール会議にて)
○28日00:50   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○28日01:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、7年債入札
○トランプ米大統領、共和党大会で指名受諾演説
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「今後10年の進路:金融政策にとっての意義」(テレビ会議方式で開催、28日まで)

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