FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:物色先は小型株中心の動き

ドル/円相場の円高進行や低調な機械受注の結果が重荷となり、見送りムードが強く引き続き商いは低調だった。薄商いの状態が続く中で、物色面では小型株に傾斜し、マザーズ指数は連日年初来の高値を更新した。結局、前営業日比59円高の2万3110円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日経株価指数がプラス圏に転じるとドル買い戻し

ドル/円は、米景気減速を警戒したドル売り・円買いが先行し、105.10円付近まで下落して7月31日以来の安値を付ける場面があった。ただ、このところ一本調子の下げが続いていたため、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、105.50円付近へ反発した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたこともリスク選好の円売りが強まった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.50円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。明日早朝に公表されるFOMC議事録要旨を控えて様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.1940ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧米勢待ちの様相となっている。

 

日本の設備投資の本格悪化はこれから

ここまで比較的底堅かった設備投資の先行きに暗雲が垂れ込めている。内閣府が本日発表した6月の機械受注統計で、設備投資の先行指標とされる民間の受注額は市場予想に反し2ヵ月ぶりに前月比で減少した。4-6月期の国内総生産(GDP)速報値では個人消費などと比べて浅いマイナスにとどまっていた設備投資だが、これから本格的に悪化する公算が大きい。民間設備投資の先行き指標とされる『船舶・電力を除く民需』の受注額(季節調整済み)は6月が前月比7.6%減の7066億円だった。4-6月期では前期比12.9%減となった。同時に公表した7-9月期の予想は同1.9%減で、見通し通りなら5四半期連続のマイナスとなる。新型コロナウイルスの感染拡大が大きな打撃を与えた日本経済は、生産や輸出が最悪期を脱しつつある。しかし、『しばらく間をおいて落ち込む傾向がある』のが設備投資である。コロナ禍による需要の落ち込みでいったん急速に下がった設備の稼働率が回復するまで、企業は新たな投資に慎重になるという『履歴効果』があるためである。

 

トルコの住宅市場は好調だが

トルコリラへの売り圧力が強まり、トルコ経済への悪影響が懸念されている一方で、景気の底打ちを示す経済指標も見受けられている。例えば、低金利を背景に住宅市場は好調であり、7月の住宅販売は新築・中古を合わせて22.3万戸と前年同月と比べると2倍以上も増加した。6月の19万戸からも17%増となっている。国営銀行がインフレ率やそれ以下で金利を提示していることもあり、住宅ローンを組み購入する人が増えている。7月にローンを介して販売された住宅は、13万戸と1年前と比べると900%増を記録したとも報じられている。トルコ中銀が実施した一連の緩和策は昨年7月から始まり、1年前はまだ金利が高止まりし、住宅ローンを使ってまで購入しようとする人は少なかった。しかし、この1年間で政策金利は15%以上も低下しており、金利水準は他国と比べてまだ高いものの、住宅ローンの使い勝手は良くなったと感じられている。住宅市場の回復に関連業界は胸を撫で下ろしているかもしれないが、まだ安心はできない。というのもリラ安を止めるために、利上げが必須という市場の声が高まっている。

 

ギリシャに流れ込む中国マネー

ギリシャに中国マネーが流れ込んでいる。外国から投資を呼び込みたいギリシャと、インフラ整備などを通じて存在感を高めたい中国の思惑が一致した。古代文明が隆盛しシルクロードでつながっていた両国が、経済的、地政学的に関係を深めている。
中国が広域経済圏構想『一帯一路』を進めるなか、不動産だけでなくインフラ分野にも中国マネーは広がる。中国の国有海運大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)はギリシャのピレウス港へ投資し運営も手掛けている。中国国有の国家電網は17年にギリシャの送電会社の株式24%を取得した。

 

米国の追加財政策次第では第3四半期の消費は鈍化

ディスカウント小売り大手のウォールマートなど、小売り企業は外出規制が奏功しネット販売が急増、第2四半期決算では軒並み好調な結果を発表している。同時に、ウォールマートのCEOは『政府の給付金が第2四半期に消費を押し上げたことは明白』で、資金が一巡後消費が衰える可能性を警告した。第3四半期の売上を左右する追加財政策の行方を見守っているという。米国経済は7割を消費が占める。このため、7-9月期の消費の伸びが低迷することは回復も抑制することになる。今のところ、米与野党が新型コロナウイルス救済策で合意する兆しは全く見られない。バンク・オブ・アメリカが8月13日までに世界ファンドマネジャー対象に行った調査によると、V字型回復予想は回答者のうち17%に過ぎなかった。W字型回復は37%、31%がU字型回復を予想しており、投資家の大半は回復が長期にわたると見ている。

 

米国市場では米FOMC議事要旨(7月28-29日分)を公表

米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)についての意見・記述が多く含まれていた場合、年内導入の思惑が広がり、ドル売りにつながる可能性がある。そのため、FOMC内容を確認するまでは、リスク選好的なドル買いは抑制されやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比0.6%)
       CPIコア指数(予想:前年比1.3%)
        小売物価指数(RPI、予想:前月比0.1%/前年比1.2%)
○15:00   7月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比0.3%)
○17:00   6月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:00   7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比0.4%)
○18:00   7月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   6月カナダ卸売売上高(予想:前月比10.0%)
○21:30   7月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比0.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○20日02:00   米財務省、20年債入札
○20日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月28日-29日分)
○20日04:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○緊急の欧州連合(EU)首脳会議、ベラルーシ情勢協議(テレビ会議)

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