FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:短期的な過熱感を警戒した売り優勢

朝方発表された4-6月実質GDPは▲27.8%の戦後最大の悪化や、15日予定の米中閣僚級協議の延期に安倍首相の健康問題が買い手控え要因となったほか、先週900円超上げただけに短期的な過熱感を警戒した売りに押され下げ幅は一時200円を超えた。結局、前営業日比192円安の2万3096円と5営業日ぶりに反落となった。

 

東京外国為替市場:株価を睨みながら106円半ばでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利を眺めたドル売り・円買いが入り、106.46円付近まで軟化した。15日に予定されていた米中閣僚級レベルの通商協議が延期となり、米中の対立が激化するとの懸念がくすぶっていることも、ドルの重石となった。しかし、14日の海外市場でつけた106.44円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、上海総合株価指数や香港ハンセン指数の上昇で、リスク回避姿勢が和らぎ、106.60円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や上海株価指数をにらみながら、106円台半ばでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.18ドル台半ばで小動きとなった。欧米参入待ちの様相となっている。

 

日本4-6月期GDPは最大の落ち込み

内閣府が発表した2020年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質成長率が年率換算で27.8%減と、現行基準で比較可能な1980年以降で最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルスの感染拡大で政府の緊急事態宣言が出た4~5月に、外出自粛や飲食店などの営業抑制の影響で個人消費が大きく落ち込んだ。7~9月期は反動による需要増が見込まれるものの、改善の持続性には不透明感が根強い。

 

日本版バフェット指数が急上昇

東証1部の株式時価総額を名目国内総生産(GDP)で割った値は6月末時点で116%と3月末の97%から大幅に上昇した。新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年12月末(118%)以来の高さとなった。同値は米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が重視するとされ『バフェット指数』と呼ばれている。株価の割高・割安を判断する目安にされる。直近では2018年9月に124%のピークを付けた。6月末時点の東証1部の時価総額は588.3兆円、4~6月期の名目GDPは506.6兆円だった。

 

トルコはギリシャとフランス間の対立激化でリア買いにくい状況

トルコが自国の権益を訴えて資源探査を続ける東地中海を巡り、隣国ギリシャとの対立が激化している。ギリシャがエジプトと両国間の排他的経済水域(EEZ)を画定する合意文書に署名したことで事態は悪化した。トルコは軍事力をちらつかせ、ギリシャ軍も臨戦態勢に入っているとの報道も伝っている。そこにフランスがギリシャを支援するため戦闘機2機と艦艇2隻を派遣するなど、北大西洋条約機構(NATO)加盟国内での緊張の高まりは止まらない。トルコやギリシャ首脳は対話や交渉での解決を望むとし、スイスが仲介役に入るようだが、どのような落としどころを見つけることができるかはまだ不透明である。欧州連合(EU)は、当然ながら加盟するギリシャやフランス支持であり、これがトルコEUの経済関係にまで影響するようであれば、通貨リラの買いむずかしさが増す。

 

ウォーレン・バフェット氏の『変心』に市場の関心集まる

ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが『銀行株売り・金鉱株買い』に動きたことが米証券取引委員会(SEC)への提出資料で分かった。20年6月末時点で、米金融大手ウェルズ・ファーゴの保有株数は3ヵ月前に比べ26%減り、発行済み株式数に占める保有比率は7%台後半から5%台後半に低下した。同JPモルガン・チェースの保有株数は62%減少した。3月末時点で約3億ドル保有していた同ゴールドマン・サックスはゼロになった。08年秋のリーマン・ショック直後、『私は米国を買う』とニューヨーク・タイムズに寄稿し、銀行株に強気だったスタントは様変わりである。一方、新たにカナダのバリック・ゴールドを発行済み株式数の1.2%、金額で5億6000万ドルを購入した。同社は世界有数の産金会社である。これまでの投資スタンスを考えると大きな変化となっている。

 

バイデン前副大統領の公約である増税に警戒感

バイデン前副大統領を正式に大統領候補に指名される。同氏の象徴的な公約は税制である。所得税の最高税率は現在の37%から39.6%に、法人税は21%から28%に引け上げる。また、株式などの売却益にかかるキャピタルゲイン課税は、1年超保有した後に売却すると、税率は所得や配偶者の有無で変わり、現在は最高20%である。バイデン氏は年100万ドル超の高所得者の税率を所得税と同じ39.6%に高める方針である。この税率は現在の2倍に上昇する。キャピタルゲイン課税の引き上げは、この数年の株高で含み益がたっぷり乗ったハイテク株の売り圧力が高まりやす。また、税率が引き上げられた後は、投資家は逆に含み益が乗っている株の売却をためらうようになりやすい。投資マネーの回転が効かなくなり、経済が停滞する要因にもなりかねない。VIX(変動性指数)の先物市場では、10月21日満期の10月物だけが30を超える高値で売買されている。大統領選後で相場が荒れる可能性を織り込んでいる可能性が高い。

 

欧米市場のポイント

○21:30   6月対カナダ証券投資
○21:30   8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:15.0)
○23:00   8月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:74)
○18日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○18日01:00   7月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲7.9%)
○18日05:00   6月対米証券投資動向

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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