FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安を好感した買い優勢

外国為替市場で円相場が1ドル=106円台後半まで下落し、輸出関連株を中心に買いが入った。しかし、前日の米国株式相場の下落が投資家心理の重荷となるなど上値は重く、日経平均は下げに転じる場面もあった。結局、前営業日比93円高の2万2843円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:メタル相場の急落を眺めドル買い優勢

ドル/円は、世界的に新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいることを背景に、持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、106.73円付近まで上昇した。NY金先物相場の急落を眺めた資源国通貨安・ドル高が波及した面もあった。午後もこの流れは続き、米長期金利上昇にも支えられてさらにドル買い・円売りが進み、106.80円近辺まで値を上げた。しかし、心理的節目の107.00円が視野に入りすると上げは一服、106.75円付近でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、金先物価格の急落や上海総合株価指数の反落を手掛かりとしたユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.1720ドル前後で小動きとなった。

 

欧州市場では6月鉱工業生産が公表

参考となる5月実績は、前月比+12.4%で市場予想を下回った。耐久財の生産は大幅に増加したが、ドイツの5月鉱工業生産は前月比+7.8%にとどまっており、生産水準は部分的な回復にとどまっている。6月については、ドイツの状況次第だが、ユーロ圏各国の生産活動は拡大しており、2ヵ月連続で前月比二桁の伸びを記録するとみられる。

 

英国市場では4-6月期GDP速報値が公表される

英国4-6月期GDP速報値は、前期比▲20.5%、前年比▲22.4%と大幅悪化が予想されており、英国経済のリセッション(景気後退)入りが見込まれている。英国と欧州連合(EU)との通商交渉も難航していることで、リスクシナリオは、EUとの自由貿易協定(FTA)無しでのブレグジットとなる。ラムスデンBOE(イングランド銀行)副総裁は、『景気が減速して市場が動揺した場合は、イングランド銀行は、量的金融緩和の加速と強化に動く方針』と述べており、6月英国内総生産、英鉱工業生産指数、製造業生産高がネガティブサプライズだった場合は、金融緩和観測が高まることになる。

 

金相場下落やギリシャ間の緊張でトルコリラの上値重い

トルコ中銀の外貨準備高不足は深刻であり、金(ゴールド)保有の増加でキャッシュを補ってきたが、昨日はその頼みの金相場も大きく値を下げた。もし、米ドル/リラやユーロ/リラでリラ売りが再び強まるようならば、リラ/円も下値余地を探る展開は避けられない。急速に高まってきたトルコ・ギリシャ間の緊張も、ギリシャが加盟する欧州連合(EU)との関係悪化に繋がりかねず、リラにとっては依然として不安要素である。チャウショール・トルコ外務相は昨日、東地中海の資源開発についてトルコ政府が許可証を発行すると発表した。同海域で排他的経済水域(EEZ)をエジプトと設定したばかりのギリシャは、当然ながら強く反発する。対抗するためギリシャは、緊急のEU外相会議の開催を訴えている。

 

6月南ア製造業生産の改善も厳しい状況は継続

6月の南ア製造業生産は前月比が+16.8%となったことで、ランド/円は好感され買い戻された。しかし、製造業生産は5月が-44.3%と、あまりにも落ち込んでいたことで、この程度の改善では、南ア経済にとってはまだまだ厳しい状況である。前年比では-16.3%だったことをみると、昨年の水準まで回復するまでは、相当時間を要することになる。本日は南アの小売売上高が発表されるが、5月の前年比-12%からどれだけ回復しているかが注目される。市場予想は前年比で-4.9%程度になるとの予想になっている。大規模ロックダウン明けとはいえ、酒類やたばこなどは依然として販売が禁止されていることもあり、大きな改善を見込むのは難しい。 

 

過去最大規模の入札から米国債券利回りも底入れした可能性も

米国債相場は米財務省が今週予定している過去最大規模の四半期定例国債入札を見込んで続落(利回りは上昇)している。総額は1120億ドルと過去最高規模となる。11日には過去最高規模480億ドルの3年債入札が実施された。ウイルスパンデミックの収束はまだ見られず経済活動の再開もままならず回復に遅れが見られ、当分回復を支える財政政策が必要となる。財政支出拡大に連れて国債発行も拡大が予想されている。今後も財務省による長期国債の発行が増え、供給増加が米国債相場のさらなる下落に繋がる可能性がある。債券利回りも底入れした可能性がある。

 

米民主副大統領候補に女性版『オバマ』

米大統領選の民主党候補バイデン前副大統領(77)が11日、副大統領候補に黒人女性カマラ・ハリス上院議員(55)を選んだとツイッターで発表した。ハリス氏は父親がジャマイカ系、母親がインド系移民の黒人女性初のカリフォルニア州司法長官の経歴を有し、白人警察による黒人男性死亡事件を契機に副大統領候補として白羽の矢が向けられた。バイデン氏はハリス女史を起用し民主党の多様性をアピール、大統領選のカギを握る女性やマイノリティー支持拡大に繋げたい意向だ。米大統領選の女性副大統領候補は08年に共和党マケイン元上院議員がサラ・ペイリン元アラスカ州知事を指名して以来3人目であり、両氏は12日にバイデン氏の地元、東部デラウェア州で揃って演説に臨む。検察官出身のハリス氏はカリフォルニア州司法長官を経て16年に上院選で初当選し、女性版「オバマ」の異名をとりトランプ政権の強硬な移民政策を厳しく批判する等鋭い弁舌で論戦力に定評がある。
なお、バイデン氏が勝利すれば21年1月就任時に78歳と史上最高齢の大統領となり、途中退任となればハリス副大統領が大統領に昇格する可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   6月英国内総生産(GDP、予想:前月比8.0%)
○15:00   4-6月期英GDP速報値(予想:前期比▲20.5%/前年比▲22.4%)
○15:00   6月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:47.50億ポンドの赤字/26.00億ポンドの黒字)
○15:00   6月英鉱工業生産指数(予想:前月比9.2%/前年比▲12.8%)
      製造業生産高(予想:前月比10.0%)
○16:30   7月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比0.3%)
      コア指数(予想:前月比▲0.1%/前年比0.2%)
○18:00   6月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比10.0%/前年比▲11.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   6月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲4.9%)
○21:00   6月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比▲3.0%)
○21:30   7月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比0.7%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.1%)
○23:00   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、討議に参加
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   7月米月次財政収支(予想:1375億ドルの赤字)
○13日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○インド(クリシュナ神生誕日 )、休場

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