★日経平均株価:都内の感染拡大を嫌気して売り優勢
米製薬大手ジョンソン&ジョンソンが16日にワクチン開発を前倒し、早ければ9月中にも最終段階の臨床試験(治験)を始めると発表した。そのため、ワクチン開発期待が買い材料視される一方で世界的な感染拡大ペースの速さを警戒する声が多く上値を抑えた。上海株式市場が堅調に推移するなど支援材料もあり、全般底堅い展開となった。しかし、国内の複数のメディアが、東京都内で新たに新型コロナウイルスに感染していると確認された人は、290人以上となる見通しと報じられたことが嫌気された。結局、前営業日比73円安の2万2696円と続落して終了した。
★東京外国為替市場:リスク回避の円買いがやや優勢
ドル/円は、日経平均株価が買い先行で始まったことや国内輸入企業のドル買い・円売りに支えられ、107.36円付近まで小幅に値を上げた。しかし、前日の海外市場でつけた戻り高値107.40円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後は、米国で1日当たり新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新していることから、持ち高調整などのドル売り・円買いに107.25円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価の下げ幅が一時100円を超えたことがリスク回避の円買いを誘い、107.17円付近まで下落した。しかし、今晩の米国株動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、107.20円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、週末を控えて積極的な売り買いは目立たず、1.13ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。
★中国経済は雇用なき回復:下期は洪水など不安要因も
中国経済が先進国より早く新型コロナウイルスの打撃から立ち直ってきた。16日発表の4~6月の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比3.2%と2四半期ぶりにプラスに転換した。回復は雇用に波及せず消費も弱いままで、下期は洪水など不安要因もある。『新型コロナの影響を克服し、経済の強靱さと活力を示した』。中国国家統計局の報道官は16日の記者会見で胸を張った。
★投資家の資金が中国ファンドへシフト
中国株式市場の好調で、中国ファンドの収益率も急騰している。新型コロナの震源地である中国がいち早くコロナ拡大の封じ込みに成功し、景気萎縮から最も速く抜け出したことで、中国ファンドに関心を持つ投資家も増えている。そして、株式市場の上昇を受けて、中国の個人投資家はマネー・マーケット・ファンド(MMF)を解約し、株式へファンドの投資を増やしている動きが増えている。政府の支援策による、国内の景気回復が楽観視されているほか、不動産は魅力に欠け、信託商品や銀行の理財商品に債務不履行(デフォルト)が増えたことも、株式投資の好調につながっている模様である。
★1~6月欧州の新車販売台数は前年同期比40%減
欧州自動車工業会(ACEA)が16日発表した2020年1~6月の欧州主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は前年同期比40%減の459万4489台だった。新型コロナウイルスの影響が最も大きかった4月(前年同月比80%減)に比べれば、6月は24%減とやや持ち直してはいるが、回復ペースは遅い。国別にみた1~6月は、最大市場のドイツが35%減の121万台。新型コロナの感染者数が多かった英国やイタリア、スペインはそれぞれ約半分に落ち込んだ。
★トルコは財政赤字と人材不足から経済回復の先行き不透明感強い
昨日トルコ財務省が発表した6月財政収支は、194億リラの赤字と前年同月から61%赤字幅が拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、景気支援策による支出増加が影響した。また、1-6月期では1095億リラの赤字と前年同時期から1.4倍も赤字が増加し、20年の赤字想定額・1237億リラの約89%を既に達成している。このままでは今後の財政出動の柔軟性も失われてしまい、トルコ経済の下支えもままならない状況である。また、16年7月のトルコクーデター未遂から4年が経ったが、ソイル内相は、これまで28万人以上をクーデター関与で拘留し、9.5万人近くを逮捕したことを明らかにした。さらに、アカル国防相は、2万人以上の軍関係者が粛清されたとも発言した。。トルコメディアによれば、クーデターに絡み、13万人以上の公務員がこれまで停職または解雇された。トルコは優秀な人材も多く失い、国力もかなり落ちているのではないかという見方も出ている。『人材不足』が、今後のトルコ経済回復に向けて大きな問題になってくるかもしれない。
★米国は『国防権限法』で8月13日から中国製品排除
米政府は7月14日付「官報」に8月13日施行のファーウェイなど中国企業5社の製品を使う米企業と米政府の取引を禁じる『国防権限法』の暫定規則を掲載した。対象の日本企業は800社を超え該当する中国製品排除が必要となり、米中対立が企業の調達戦略に修正を迫りコスト負担を増やすことになる。
★米国では行動規制の再導入が広がる
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない米国では行動規制の再導入が広がり、経済規模で全米の4割を占める9州が、5月上旬から順次再開してきた飲食店の店内利用やバーに映画館などの再閉鎖に踏み切り、景気回復の遅れが懸念されつつある。特に、カリフォルニア州の1日当たり感染確認者(7日移動平均)は14日前に比べ+49%と急激に増加し、テキサス67%、フロリダ65%と感染拡大に歯止めがかからず、米疾病対策センター(CDC)が経済再開条件の1つに挙げる『感染者が過去14日間で減少傾向』とはほど遠い状況にある。流行地では7月上旬から死者数が増え始め、感染者が増えれば医療体制が逼迫し、再規制が不可欠となるが、行動規制の再導入はサービス業中心に米経済に甚大な打撃を与え、持ち直した個人消費の再悪化や失業者の増加が懸念される。
★欧米市場イベント
○17:30 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30 デギンドスECB副総裁、講演
○18:00 5月ユーロ圏建設支出
○18:00 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比0.3%)
○18:00 6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.8%)
○19:00 ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:30 5月カナダ卸売売上高(予想:前月比7.9%)
○21:30 6月米住宅着工件数(予想:116.9万件、前月比20.0%)
建設許可件数(予想:129.0万件、前月比6.1%)
○23:00 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:79.0)
○18日01:00 6月ロシア失業率(予想:6.3%)
〇欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、18日まで)
○18日 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議)
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