FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルス感染拡大を嫌気した利益確定売り強く下落

米国中心に新型コロナウイルス新規感染者数の増加が続き経済活動停滞リスクが意識された。また、中国4-6月GDP+3.2%と1-3月-6.8%からプラス転換したが中国6月小売売上高-1.8%と予想+0.3%を下回り心理的節目2万3000円を前に利益確定売りが優勢となった。結局、前営業日比175円安の2万2770円と反落して終了した。7月第2週の海外投資家は5週間ぶりに1108億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:リスク回避で106円台後半でもみ合相場

ドル/円は、日経平均株価の反落を眺めてドル売り・円買いが先行し、106.83円付近まで値を下げた。一部米メディアが『トランプ米政権は中国共産党メンバーや家族の入国を全面禁止することを検討している』と報じたことも、ドルの押し下げ要因となった。ただ、前日の海外市場でつけた安値106.67円が視野に入ると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、107.00円付近へじり高となった。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大やアジア株安がリスク回避の円買いを誘い、106.85円付近へ下落したが、今晩の米小売売上高などの経済指標を見極めたいとの思惑から下値を追う動きは限られた。ユーロ/ドルは、今後予定されているECB理事会を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1398ドル付近までじり安となった。

 

中国の第2四半期GDPはプラス転換したが消費は脆弱

16日発表された中国4-6月実質GDP成長率こそ前年同期比+3.2%とマイナス成長だった。1-3月期-6.8%からプラス転換したが、6月小売売上高が前年同月比-1.8%と市場予想(+0.3%)を大幅に下回って消費の脆弱さが浮き彫りとなった。6月工業生産高は前年同月比+4.8%と3ヶ月連続で増加、政府の購入補助金などの支援により自動車が+13.4%。次世代通信規格『5G』関連の生産活発化に通信機器+12.6%と堅調な結果となった。なお、インフラや設備投資の固定資産投資は1-6月-3.1%とマイナスが続くも新型コロナ封じの都市封鎖の1-2月-24.5%で底入れした以降はマイナス幅が縮小してた。

 

欧州市場では欧州中央銀行理事会(ECB)が開催

ECBはこの会合で金融政策を据え置く見通しとなっている。ラガルドECB総裁の会見では景気見通しリスクに注目が集まる。経済活動の再開で域内の指標は改善しており、ECBの大規模緩和、マイナス金利に加えて、的を絞った長期資金供給オペ(LTRO)、資産購入プログラムの拡大が奏功していることが強調される可能性がある。ECBのバランスシートは昨年末から1.5超ユーロ拡大した。 ただ、回復ペースは予想を下回る。欧州でのウイルス感染動向は安定しているが、米国で感染が再燃していることもあり、欧州には経済活動の完全な再開は選択肢に今のところない。 また、欧州復興基金の協議をするEUサミットを控え、ECBが劇的に政策変更する可能性は少ない。復興基金が承認され景気に効果があらわれるまでは、当面政策が据え置かれる可能性が強い。今後の政策は下半期経済の回復次第となる。

 

好調な米経済指標結果:6月鉱工業生産においては61年ぶりの伸び

米国の7月NY連銀製造業景気指数は17.2と、5カ月ぶりのプラスに転じ予想も上回り2018年11月以来で最高となった。同時刻に発表された6月輸入物価指数は前月比+1.4%。伸びは5月+0.8%から予想以上に拡大し2012年3月以降8年ぶり最大を記録した。前年比では-3.8%と、5月-6.2%から改善したものの予想-3.7%は下回った。
米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した6月鉱工業生産は前月比+5.4%と、伸びは5月+1.4%から予想の+4.3%以上に改善し1959年以降61年ぶり最大の伸びを記録した。6月設備稼働率は68.6%とやはり予想67.8%を上回り5月65.1%から改善した。

 

良好な米経済指標結果にもFRB高官は懐疑的見方

最近の良好な経済指標の結果にもFRB高官は懐疑的見方を崩していない。ブレイナード理事は、米国経済が4月に底入れ後、反動したがその回復ペースが鈍化しつつあるとし、成長を押し上げるために追加で積極的な措置が必要だと訴えた。5月、6月の消費の強さはいくつかの州が時期尚早に経済活動を再開した結果だと指摘した。それらの州でウイルス感染が再燃しているということは、今後、その景気反動の勢いが後退することを意味すると説明している。2番底入りも警告している。通常はタカ派で知られるハーカー米フィラデルフィア連銀総裁も異例な苦痛をともなう長期にわたる景気減速を警告した。

 

米国市場では6月小売売上高が公表

5月実績は前月比+17.7%となり、月間では過去最大の増加率となった。市場予想を上回る事業者が店舗を再開したことが要因となった。抑制されていた需要の顕在化で自動車販売と飲食店の売上高が特に増加したとみられる。6月については、より多くの事業者が店舗を再開していることから、主に飲食店などの売上高が増加する見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移25.00万件/失業率なし)
○15:00   3-5月英失業率(ILO方式、予想:4.2%)
○15:45   6月仏CPI改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比0.1%)
○18:00   5月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済45億ユーロの黒字)
○18:30   5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.8%/前年比▲0.1%)
○20:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   5月対カナダ証券投資
○21:30   6月米小売売上高(予想:前月比5.0%/自動車を除く前月比5.0%)
○21:30   7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:125.0万件/1760.0万人)
○23:00   5月米企業在庫(予想:前月比▲2.3%)
○23:00   7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:61)
○17日00:10   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○17日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○17日01:00   6月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲7.2%)
○17日02:00   米財務省、20年債入札
○17日02:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○17日05:00   5月対米証券投資動向

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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