FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上海株とNYダウ先物の続伸を好感した買い

米国で新型コロナウイルス治療薬の開発期待が高まり先週末10日のNYダウ369ドル高の反発と相まって買いが先行した。また、国内ETF分配金捻出に伴う売り一巡や需給不安の緩和を好感した買いに上げ幅を広げた。また、上海株やNYダウ先物の続伸などをにらみ買いが優勢となった。結局、前週末比493円高の2万2784円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好でドル安・円安進行

ドル/円は、日経平均株価の大幅反発を眺めたドル買い・円売りが先行、106.94円付近まで小幅に値を上げた。しかし、心理的な節目の107.00円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、米国で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないことから、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され106.80円台へ下落した。午後は、日経平均株価をにらみながら、106.90円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、世界的な株高がリスク選好のユーロ買い・ドル売りを誘い1.1330ドル台へじり高となった。

 

中国の金融機関では不良債権急増に備える必要

中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は11日、新型コロナウイルスによる経済への打撃を受けた不良債権急増に銀行は備える必要があるとし、一部の中小行で資産の劣化が加速していると警鐘を鳴らした。銀保監会は、利益の伸びが急減速する銀行や、減益に陥る銀行も出てくると指摘した。各行が最低限の貸倒引当金を計上した場合、銀行部門の利益は3500億元(500億ドル)以上減少すると試算した。銀保監会のデータによると、中国の商業銀行の2019年利益は前年比8.9%増の2兆元だった。
6月末時点の不良債権残高は3兆6000億元、不良債権比率は年初から0.08%ポイント上昇して2.10%となった。

 

新型コロナウイルスの進む治療薬開発がリスク選好要因

米バイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズは、新型コロナウイルス感染症(COVID19)治療薬としてのレムデシビルについて新たなデータを発表した。第3相治験の分析結果などが含まれる。比較分析ではレムデシビルを投薬した患者の74.4%が14日目までに回復した一方、標準的な治療を受けた患者は同59%が回復した。レムデシビルを投薬した患者の死亡率は14日目で7.6%で、投薬しなかった患者の死亡率は同12.5%となった。危険な状態にある患者に例外的に未承認薬の投与を認めるコンパッショネート使用についても、データを発表した。小児の患者で83%、妊娠中もしくは産後の女性で重症の疾患を抱える患者で92%が28日目までに回復した。

 

ファイザーらのコロナワクチン:年内に承認申請の構え

有力欧米紙であるウォールストリートジャーナル(WSJ)は、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックが共同開発する新型コロナウイルスワクチンが、年末までに承認申請に向けた準備が整う見通しだと報じている。同ワクチンは初期段階の臨床試験(治験)で有効性や十分な忍容性(副作用への耐用性)を示しており、月内にも大規模治験が開始される予定となっている。

 

EUとの関係悪化はトルコ経済回復の足かせ

週初には欧州連合(EU)外相理事会がベルギー・ブリュッセルで開催される。ボレルEU外務・安全保障政策上級代表は先週アンカラを訪れ、EUが懸念する事柄(トルコによる東地中海の資源開発やリビア情勢)をトルコ高官と話し合った。その後ボレル氏は『トルコ側との協議は理想からほど遠い』との感想を述べており、外相理事会では、トルコの地中海ガス田掘削作業に対する追加制裁が議題にあがると予想される。また、リビア内戦でトルコと立場を異にするEU主要国のフランスとは、地中海で両国の軍艦が一触即発となった件で非難の応酬が続いている。トルコ貿易はEUに頼るところも多く、そのEUとの関係悪化はトルコ経済回復の足かせとなる。

 

南アフリカでは経済の中心地で感染者拡大:医療崩壊の危機

ついに南アフリカの新型コロナウイルス感染者数は先週20万人を超えた。ハウテン州は経済の中心のヨハネスブルグがあり、経済規模は全州で1位だが、10日には州のトップであるマクラ首相がウイルスに感染していることが判明した。また先週は死亡者数も全州の中で1位を記録し、人口密度が高いこともあり感染拡大が止まらない。そして州の衛生担当者は『不快だろうが、州はすでに150万の墓地を準備している』という恐ろしい発言もしている。西ケープ州は喜望峰があるケープタウンがあり立法府の所在地でもある。このケープダウン市でも感染が拡大している。現在南アフリカではこれらの経済的に重要な州で感染がひろがっている中で、どのようなウイルス対策を行うべきかが話題になっている。本来ならば豪州が行っているような、ロックダウンを再び行うことが感染を抑制する効果があるとされているものの、4月の大規模ロックダウンにもかかわらず感染の波が弱まらず、これ以上の経済的な負担をかけるのは良くないという声も多い。一部ではスウェーデンのように経済封鎖をすることがなく、このまま進みたいとする声がある。しかし、スウェーデンと明らかに違うところは、南アフリカフリカの医療体制が脆弱なことでスウェーデン方式の場合は医療崩壊が進むと指摘されている。今後も南アフリカの感染状況が収まらない可能性が高く、ウイルスの猛威の恐ろしさを改めて認識させられる。

 

欧米イベント

○15:00   6月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   5月トルコ経常収支(予想:38.0億ドルの赤字)
○16:00   5月トルコ鉱工業生産(予想:前月比10.6%)
○22:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○14日00:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○14日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○14日03:00   6月米月次財政収支(予想:8630億ドルの赤字)

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