FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:東京都の感染者拡大が嫌気され売り優勢に

前日の米国株が堅調推移したほか為替市場で円安に振れたことも好感され、買いが先行した。ただ、方向性を示す材料が見当たらず、模様眺めムードが支配している。NYダウ先物が軟調に推移していることが上値を抑えた。また、菅官房長官が会見で、東京都を中心に新型コロナウイルスの感染拡大が見られることについて、最悪の場合は再び緊張事態宣言の可能性もあり得るとの考えを示した。これを受けて、日経先物に売りが出た。結局、前営業日比166円安の2万2121円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価の下落幅拡大に伴ってリスク回避の円買い優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられて、約3週間ぶりの高値をつける場面があった。しかし、30日に米国で新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を記録したこともあって、追随する動きは見られなかった。その後は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じると、調整色が強まって107.65円付近へ下落した。午後もこの流れが続き、日経平均株価の下げ幅拡大をながめてさらにドル売り・円買いが進み、107.58円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ヘッジファンド清算は2015年以来の高水準

ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が公表したリポートによると、1-3月のヘッジファンド清算件数が4年あまりで最多となった。新型コロナウイルスのパンデミックで世界各地の市場が大混乱し、急激に損失が膨らんだことが原因とみられている。1-3月に清算されたファンドはおよそ304件に上り、2015年10-12月以来の高水準だった。2019年10-12月の198件と比べ、50%あまり増加している。

 

中国景気への当たらな懸念材料

新型肺炎の感染拡大を受けて中国景気には急ブレーキが掛かったが、積極的な感染対策による事態収束を受けて経済活動の再開が進んできた。この動きに呼応するように企業マインドも幅広く改善してきたが、今月には北京での集団感染など感染拡大の『第2波』が懸念される動きが出ている。地方レベルで防疫政策を再度強化する動きも出ており、ヒトの移動も急速に頭打ちするなど企業マインドへの悪影響が懸念された。 6月の製造業PMIは50.9と前月比+0.3pt上昇するなど底入れしている。内需の底入れが下支えする一方、外需を巡る不透明感が重石となる状況が続く。非製造業PMIも54.4と前月比+0.8pt上昇するなど底入れしているが、製造業・非製造業ともに雇用調整圧力がくすぶるなど雇用回復は道半ばである。年明け直後にかけては米中摩擦の緩和が期待されたが、新型肺炎の感染拡大を契機に対立が再燃し、足下では香港問題が火種となっている。全人代常務委員会は香港国家安全維持法を成立させ、早期の施行に動く見通しである。先行きの企業マインドには米中摩擦の再燃が重石となる可能性には要注意となる。

 

資源安で英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも巨額減損

欧州石油最大手の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは30日、2020年4~6月期に最大220億ドル(約2兆3800億円)の減損損失を計上すると発表した。原油や天然ガスなど資源価格の低迷を想定し、事業資産の評価額を落とす。15日に最大1.9兆円の減損見通し示した英BPを上回る巨額の損失計上となる

 

米国市場では6月ISM製造業景況指数が公表

5月実績は43.1だった。また、先行指標となる6月マークイット製造業PMIは49.6で5月実績の39.8を大幅に上回った。ニューヨーク、フィラデルフィアの連銀が調査した6月の製造業景況感は大幅に改善していることから、6月のISM製造業景況指数は5月実績を大幅に上回り、49近辺まで改善する可能性がある。

 

米国市場ではFOMCの議事要旨(6月9-10日分)が公表

米国債相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)がいずれイールドカーブコントロールの導入に踏み切るとの見方を強めつつあり、特に短期債の利回りは過去最低水準で推移している。しかし、FRBはイールドカーブコントロール導入の選択肢を先送りすると見られる。イールドカーブコントロールに関する協議はおそらく7月28-29日の会合でも継続、市場は9月の導入を予想しているがウイルスや経済の動向次第になる。ウォールストリートジャーナル紙の調べでは市場参加者はFRBが2年債、または3年債の利回りの抑制に焦点を当てるとの見方を強めている。ただ、数人のメンバーは依然フォワードガイダンスや資産購入を好んでいる。結局、現時点では利回りの制限が必要ないとの見方から、研究も深く行われておらず、唯一意見が一致しているのは、ほとんどのメンバーが米国でのマイナス金利導入は有効ではないということだ。
FRBは1日に6月開催のFOMC議事録を公表予定だがイールドカーブコントロールに関する見解がより明らかになる。

 

欧米イベント

○15:00   5月独小売売上高指数(予想:前月比3.9%/前年比▲3.5%)
○15:00   6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.7%)
○16:00   6月トルコ製造業PMI
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○16:30   6月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:48.0)
○16:45   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:50   6月仏製造業PMI改定値(予想:52.1)
○16:55   6月独製造業PMI改定値(予想:44.6)
○16:55   6月独雇用統計(予想:失業率6.5%/失業者数変化12万人)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:46.9)
○17:30   6月英製造業PMI改定値(予想:50.1)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:30   6月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   6月ADP全米雇用報告(予想:300.0万人)
○22:45   6月米製造業PMI改定値(予想:49.6)
○23:00   6月米ISM製造業景気指数(予想:49.9)
○23:00   5月米建設支出(予想:前月比1.0%)
○23:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○2日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月9日-10日分)
○2日03:00   6月ブラジル貿易収支(予想:70億ドルの黒字)
○香港(香港特別行政区設立記念日)、カナダ(建国記念日)、休場

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