FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米政権での大規模インフラ報道を好感した買い

前場は米FRBの社債購入など金融政策を好感し前日のNYダウ157ドル高の続伸を受け海外投資家による先物買いが入り上昇して始まった。お昼時間にブルームバーグ・ニュースがトランプ米政権が景気てこ入れ策の一環として1兆ドル近いインフラ計画の提案を準備していることが報じられたことが材料視され、上昇幅が広がった。一方で、日銀の金融政策決定会合では、現状維持となったが反応は限定的だった。結局、前営業日比1,051円高の2万2582円と4営業日ぶりに大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好でも107円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅反発に支えられ、107.40円付近へ値を上げた。その後も、一部メディアが『トランプ米政権が景気テコ入れに向けた1兆ドルのインフラ支出を検討している』と報じられると、さらにドル買い・円売りが進んで107.64円付近まで上昇した。日銀金融政策決定会合では、金融緩和策の維持が決定されたが、サプライズなく市場の反応は限定的だった。午後は、今晩予定されているパウエルFRB議長の議会証言を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、107.40円付近へ下落した。ただ、世界的な株高を受けリスク選好が高まっていることから下値を追う動きは限られ、107.50円付近へじり高となった。ユーロ/ドルは、1.330ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの陽動となっている。

 

中国は積極的に1月の米中貿易合意を履行

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で世界の商業活動が停滞するなか、中国は米国の最大の貿易相手としての地位を取り戻し、米国農家にとって貴重な希望の光となりつつある。両国間の貿易額は4月には397億ドル(約4兆2600億円)となり、前月比43%近く増加した。中国は米国の貿易相手国としてメキシコ、カナダを抜いて最大となった。この貿易額急増は、中国が米国からの農産物などの輸入急拡大を約束した貿易合意が1月に調印されたのを受けたものだ。

 

OECDの景気先行指数は底入れ兆候

世界景気に先行するOECD景気先行指数(加盟国総計)は、5月に95.7と前月比では4カ月ぶりに上昇した。4月は94.2と1960年代以降での最低に崩落したが、世界的な経済活動再開や政策強化などもあり、一旦の底入れ兆候が見られている。今回は世界景気の循環サイクルが昨年8月に底入れしたばかりで、底流部分で底割れ抑止に寄与している。過去には大幅悪化からの回復は12-18カ月の継続実績があり、一気に進んだ生産・供給調整の反動もあって、2番底リスクへの耐性増強と改善軌道固めが注目される。1960年代の過去実績として、今年4月のような大幅下落のあと、1回でも前月比プラスに転じると長期スパンでの底入れにつながっている。すでに景気に先行する世界のハイテク株や日米株の全体株、原油相場なども反発に転じており、OECD景気先行指数は一旦の底入れが期待されやすい。

 

8月は金融機に襲われがちな季節

金融市場では、8月という季節は、市場参加者がバカンス気分で油断しているせいなのか、金融危機に襲われがちな季節としてトラウマになっている。1971年のニクソンショック、1990年のイラクのクウェート侵攻、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシアのデフォルト(債務不履行)、2007年のパリバショック、2011年米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)か格下げ、2015年の中国人民元切り下げ、2019年の米中貿易戦争勃発など、トラウマが残されている。

 

コロナ第2波よりリスクが高い経済落ち込みの第2波

フロリダ、テキサス、カリフォルニアなど20を超える州で感染ペースが加速している。アリゾナ州では入院患者数が急増し、医療施設の余力がなくなったと伝えられた。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、CNNインタビューで、経済再開を見直すべきだとの警告を発した。第1波の延長とみる専門家もいるが、再開したばかりの経済活動が再び停止するとの警戒感は根強い。市場関係者はコロナの感染助教に関するニュースに神経質になっている。コロナ第2波よりリスクが高いとされるのは経済の落ち込みの第2波である。カギとなるのは追加支援をめぐる議会審議の行方である。3月27日に成立したコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法に基づく給与保護プログラム(PPP)の申請が6月末に期限を迎える。これは景気悪化を受けて中小企業の給与支払いを肩代わりする雇用維持策である。失業保険に週あたり600ドルを上乗せする法は7月31日に切れる。

 

米国市場では5月小売売上高が公表

4月実績は前月比-16.4%だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、オンライン販売は増加したが、他の項目はすべて大幅な減少を記録した。5月については、食料品、衣料品、電子機器・家電などの売上高が大幅に増加すると予想されており、やや高い伸びを記録するとみられる。

 

欧米市場のイベント

○15:00   5月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   5月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比0.6%)
○15:00   5月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移40.00万件/失業率なし)
○15:00   2-4月英失業率(ILO方式、予想:4.7%)
○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:60.0)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○21:00   4月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比▲13.8%)
○21:30   4月対カナダ証券投資
○21:30   5月米小売売上高(予想:前月比8.0%/自動車を除く前月比5.4%)
○22:15   5月米鉱工業生産指数(予想:前月比2.9%)
          設備稼働率(予想:66.9%)
○23:00   4月米企業在庫(予想:前月比▲0.8%)
○23:00   6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:45)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で証言
○23:00   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○17日01:00   5月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲8.0%)
○17日05:00   クラリダFRB副議長、講演
○南アフリカ(青年の日)、休場

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