FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外投資家の買い戻し継続

米国株市場が不安材料を抱えながらも上昇したことを好感して3桁上昇スタートとなり、寄った後も上げ幅を広げた。買い一巡後は値動きが落ち着き、22000円台での時間帯が長かったが、22300円台に乗せるなど、しっかりとした地合いが続いた。ヘッジファンドなどの海外投資家による先物の買い戻しが日本株でも続いた。結局、前日比263円高と2万2325円と続騰して終了した。

 

東京外国為替市場:107.70円前後のもみ合い相場継続

ドル/円は、トランプ大統領が全米各地に広がっている人種差別デモについて、軍を動員する可能性を示唆したことで、107.50円付近へ下落する場面があった。しかし、世界各国で経済活動が再開しているとから、リスク回避の円買いは続かなかった。その後は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、107.70円まで上昇した。午後もこの流れは続き、日経平均株価が上げ幅を拡大すると、さらにドル買い・円売りが進んで107.75円付近までじり高となった。米長期金利が小幅上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、前日に付けた107.85円が上値目処として意識されると上げは一服、107.70円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

世界景気の回復を先取りする前兆シグナル

世界景気やリスクテイクの度合いを探るうえで参考になる『原油先物÷金先物』の相対倍率は、週間安値の比較ベースで26日に0.019となっている。4月24日週の歴史的なマイナス化から、微妙に原油優位の方向へと切り上がってきた。3月6日週の0.026以来という高水準に修復されている。依然として過去最低水準にあるとはいえ、『金1オンスで購入できる原油バレル量の歴史的な急増』という原油の相対的な割安さには修正が入りつつある。過去実績として『原油÷金』の相対倍率の底入れは、資源需要の復調を含めた世界景気の回復を先取りする前兆シグナルとなってきた。1980年代以降の長期実績として、米国の失業率とも時間差ケースを含めた連動相関性が確認されている。

 

欧州市場では4日にECB理事会が開催される

市場予想では、企業の資金繰り支援策や量的緩和(QE)の規模拡大などが見込まれている。マイナス金利の深堀りは封印が続くとみられる。4日にかけてはポジション調整的なユーロ安の可能性がある一方、実際に緩和強化となれば、先行きの景気刺激期待やマイナス金利の打ち止め継続思惑などにより、改めてユーロの押し目買いが支援されやすい。その他、欧州では5月27日、コロナ打撃を受けた経済立て直しのため、EUが7500億ユーロ(約89兆円)規模の「復興基金」案を発表した。まだ加盟国内では反対意見もあり、EUは6月19日の首脳会議で提案を協議する。

 

米5月ISM製造業景況指数からは長く遅い回復を示唆

米供給管理協会(ISM)が発表した5月ISM製造業景況指数は43.1と、2009年4月の景気後退以来の低水準となった4月の41.5から上昇したものの予想43.8を下回った。また、3カ月連続の50割れ、活動縮小となった。経済活動の再開に伴い回復が示唆されたものの、遅く長期化する可能性が懸念される。重要項目である新規受注は31.8と、4月27.1から上昇した。しかし、4カ月連続で50割れで活動縮小した。金融危機下の2008年12月以来で2番目に低い水準で2年前の水準の半分にも満たない。生産も33.2と、27.5から上昇した。しかし、3カ月連続の50割れで2009年1月以来で2番目に低い水準だった。3カ月にも及ぶウイルスパンデミックによる混乱後、5月は経済活動の再開が開始したため転換する月になると指摘されている。しかし、需要は依然不透明で、在庫などに影響すると見られている。第2四半期の米国国内総生産(GDP)は40%近くのマイナス成長が予想されており、回復には少なくとも2年はかかると見られている。

 

米国抗議運動がトランプ大統領の再選を阻止する可能性も

トランプ大統領は、今回の抗議運動について自分以外の誰かのせいにしようとしている。(問題が起こった)ミネアポリスの政治的主要ポストは民主党が独占しているとの投稿をリツイートし、問題が広がったのはあたかも民主党の不備と示唆した。また、民主党・大統領候補が有力なバイデン元副大統領の支持者が『極左』であるともツイートしている。ただし、なかなか大統領の思うようにもいかないようだ。トランプ大統領がANTIFAをテロ組織に指定するとしたことに対し、『国内組織をテロ組織として指定するための法的権限は存在しない』という米国自由人権協会の見解が報じられた。トランプ大統領が吠えれば吠えるほど、抗議デモを刺激し、大統領の状況も悪くなるように見える。調査会社YouGovとYahoo pollが実施した大統領選に向けた最新の世論調査では、バイデン氏の支持率は48%と前回5月26日調査から3ポイント上昇した。一方、トランプ大統領は前回から2ポイント減らし、40%の支持率に留まっている。

 

欧米イベント

○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲1.0%)
○15:30   4月スイス小売売上高
○15:45   4月仏財政収支
○16:30   5月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:42.0)
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:▲45億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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