FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:2次感染への警戒感が上値の重石

韓国やドイツに中国で新型コロナの感染者が増加傾向にあると伝わり『2次感染』への警戒感から短期勢主導による売りがやや優勢となる一方で円安傾向が意識され経済活動再開への期待感も根強く一進一退となった。結局、前営業日比24円安の2万0336円と4日ぶり反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避でも107円台前半の底堅い展開

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きやNYダウ先物の下落を眺めてドル売り・円買いに押され107.40円付近へ下落した。豪州の公共放送が『中国は豪州にある4つの食肉工場からの輸入を禁止した』と報じたこともあり、リスク回避の円買いを誘った。中国国家統計局が発表した4月生産者物価指数は、前年比▲3.1%と4年ぶりの大幅な落ち込みを記録したが、市場の反応は限定的だった。午後もドル売り・円買いの流れは続き107.35円付近まで値を下げた。しかし、今週予定されているパウエル米FRB議長の演説を見極めたいとの雰囲気から、下げは一服した。その後は107.40円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に下落した反動から利益確定などのユーロ買い・ドル売りから1.0917ドル付近までじり高となった。

 

中国の4月新車販売台数は22ヵ月ぶりプラス

中国汽車工業協会(SAAM)が11日発表した2020年4月の新車販売台数は207万台となった。前年同月比4.4%増え、22ヵ月ぶりに前年同月を上回った。前月比では43.5%増だった。車種別では乗用車が前年同月比2.6%減の153万6000台にとどまったものの、商用車が31.6%増の53万4000台と過去最高に達した。新エネルギー車の販売台数は7万2000台と26.5%減った。1-4月累計の新車販売台数は前年同期比31.1%減の576万1000万台となった。車種別では、乗用車が35.3%減の443万3000台、商用車は12.4%減の132万8000台。新エネルギー車の販売台数は20万5000台と43.4%減少した。

 

南アの経済刺激策はIMFと世界銀行の支援次第

先週、国際通貨基金(IMF)は新型コロナウイルスでの財政支援として、南ア政府と会談を持ったことを認めた。一部報道では約770億ランドの支援を要請しているともされている。ウイルスの感染拡大により、IMFは加盟国から100件以上の財政支援の要請を受けており、これは『前例のない』ものであると述べている。そして、IMF理事会は、4月の初めから5月6日まで、50カ国に180億ドルの資金を供与しました。ラマポーザ政権による5000億ランドの経済刺激策のうち1300億ランドは20020年の予算から、残りの2000億ランドは上記IMFや世界銀行などからの融資を想定している。連日のように税収不足発言が政府からでていることもあり、融資がない限りはラマポーザ大統領の復興政策は絵に描いた餅になる可能性もある。

 

今晩も米国債入札後のドル底上げに注意

米国債市場では今週、11-13日に3年債、10年債、30年債の四半期定例入札が行われる。コロナ対応の財政出動もあり、入札総額は960億ドルと過去最高に及ぶ。入札の前後では国債需給悪化と入札低調のリスクが、米債金利の上昇(債券価格は下落)とドル高の要因として注目される。一方で日本の機関投資家は4月の新年度明け後、5月の大型連休明けを待って新規の外債投資出動が取り沙汰されてきた。実際に11日の東京外為市場では、新年度運用資金の外債投資がドル高材料の思惑として指摘された。今週の米国債入札を含めて、日本勢による米債投資が再開されてくると、ドル/円ではドルの底上げが支援される。

 

 

米中貿易摩擦再燃の気配:難しくなる両国関係

中国共産党系メディアの環球時報は11日、米国と結んだ『第1段階』の通商合意を巡って、国内の交渉担当者らから見直しを求める声が上がっていると報じた。トランプ政権は新型コロナウイルスの発生源が武漢のウイルス研究所であることを示す証拠があると主張しているが、ある交渉担当顧問は、こうした米国の悪意ある攻撃が『怒りの津波』を招いていると述べた。さらに、中国は第1段階合意の際に妥協しているが、米経済の落ち込みや今年の米大統領選を踏まえ『実際のところ合意を打ち切ることが中国の利益にかなう』と指摘した。『全てがやり直しとなれば、米国に貿易戦争を再開する余裕などない』との見方を示した。

 

欧米の経済活動再開が早過ぎる緩和なら予想外の展開

十分な感染者の減少が確認されないままに手綱が緩められたり、数週間前から段階的な活動の緩和策がとられる一方で、ここへきて新規感染者の減少に歯止めがかかったり、やや増加に転じている国や地域もみられる。 経済への悪影響や一部住民の不満に抗いきれずに手綱を緩めた結果、感染が再拡大の様相を強めた場合、再び規制を強化するかどうかは政府に委ねられる。再び手綱を締めれば、経済回復への期待はしぼむことになり、市場には予想外の展開となる。
 逆に、感染の再拡大を無視して手綱を緩めたままにしても、感染を恐れた国民は外出を抑制する可能性が高く、期待するようには景気は回復しないだろう。このケースも、年後半の景気のV字回復を期待している市場には期待外れの内容となる。

 

米国市場では消費者物価指数(CPI)を公表

3月の実績は前年比+2.1%だった。4月の消費者物価指数は前年比+0.4%、コア指数は+1.7%と予想されており、インフレ率は3月実績を下回る見込みとなっている。4月については都市封鎖の影響で航空運賃、被服費、宿泊費がらに低下する見込み。さらに、エネルギー価格を除く数字でもインフレ率は前年比1%台にとどまる見込み。人口の多い地域の封鎖などが消費にどのような影響を与えているか注目される。

 

欧米市場のポイント

○15:00   1-3月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○20:00   3月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲4.2%)
○21:00   3月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲8.9%)
○21:30   4月米CPI(予想:前月比▲0.8%/前年比0.4%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比▲0.2%/前年比1.7%)
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○22:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○23:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○23:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:30   ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   4月米月次財政収支(予想:7370億ドルの赤字)
○13日06:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、質疑応答

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