FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は緊急事態宣言の解除期待から買い優勢

米雇用統計の悪化にも米経済活動の再開期待から前週末のNYダウ455ドル高の大幅続伸や新型コロナウイルス感染者数の伸び鈍化に特定警戒都道府県以外の多くで近く緊急事態宣言の解除を期待した買いが優勢となった。ただ、追加の売買材料が乏しい中、短期筋の買いが一巡すると個人投資家の利益確定売りが上値を抑えた。結局、前営業日比211円高の2万0390円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台のワンタッチで上値の重い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、107.01円付近へじり高となった。米長期金利が小幅上昇したことも、ドル買いを誘った。しかし、4日に付けた107.06円付近が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、週末にホワイトハウス内で新型コロナウイルスの感染者が確認されたことから、ドル売りも見られ106.80円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.90円台を中心に取引された。本邦実需筋の売り買いは午前中で一巡したこともあり、閑散相場となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

先行き未曾有の余剰マネーがリスク資産へ溢れ出る余地

国内のカネ余りでいえば、当面は名目GDP実額の急減が『実体経済見合いでの資金供給量のダブつき』を増幅させていく。かたや日銀マネタリーベースは、最新4月の月中平均が518.92兆円となってきた。昨年10-12月時点で『(マネタリーベース)-(名目GDP)』の格差は過去最少の▲6.8兆円へと迫っていたが、今後は双方の一段の格差接近や場合によってはマネタリーベースの逆転凌駕も想定される。こうした国内での未曽有の余剰マネーの蓄積退蔵については、コロナ打撃の最悪期通過や来年にかけての内外景気の反動回復に向けて、内外リスク資産へ溢れ出る余地が注視される。なお、リーマン・ショック直後の2009年1-3月に日本の名目GDPは、486.3兆円へと急減した。当時の日銀マネタリーベース残高(月間平均)は、94.5兆円にとどまっている。震災直後の2011年4-6月にも名目GDPは484.7兆円へ急減したが、マネタリーベースは113.5兆円とGDP比4分の1に抑制されていた。現在のマネタリーベースは良くも悪くもながら、名目GDPと肩を並べる518兆円超となっている。

 

3月半ばの国債市場の異常な変動はミンスキー・モーメント

国際決済銀行(BIS)の調査によれば、3月半ばの国債市場の異常な変動はレバレッジを使いごく僅かな利回り格差から利益を上げる投資家の国債投げ売りが原因だった。
この種のロング・ショート戦略は1998年に破綻したヘッジファンド「ロングターム・キャピタル(LTCM)の取引と酷似、ボラティリティー上昇や市場流動性低下に脆弱である。つまり、甚大な損失を招きかねず、投資家は追加証拠金を要求され、借入金返済で資産を投げ売りせざるを得なくなる「ミンスキー・モーメント」そのものである。

ミンスキー・モーメントとは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティ(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。

 

トルコリラ売り一服もトレンド転換は時期尚早

トルコ金融当局による為替介入は継続しているが、リラは対ドルで売られ史上最安値(ドル最高値)を記録した。先週発表されたトルコ中銀の4月30日時点での外貨準備高(グロス、ただし金保有高は除く)は約515億ドルと、前週比2.3%減、前年同時期と比べると3割弱も減少している。一部アナリストは今後数カ月で外貨準備高が枯渇する可能性も指摘しており、他中銀との通貨スワップラインの設定や拡大を急ぐ必要がある。アルバイラク・トルコ財務相は、20カ国・地域(G20)の主要中銀との通貨スワップ協定に向けた交渉が進んでいると投資家との会談で述べたが、米国からはその可能性を否定する発言も聞かれた。 また、アルバイラク財務相は、20年トルコ経済成長がプラスになるとの見解も示した。国際通貨基金(IMF)や世界銀行、大手格付け会社がトルコのマイナス成長を予測しており、この財務相の見通しはあまりにも楽観的過ぎると言える。先週半ばにかけて強まっていたリラ売りは週末にかけて一服したものの、トルコを取り巻くネガティブ材料は多く、トレンド転換はまだ早いかもしれない。

 

南アランドは買い戻されても上値は限定的

南アフリカ国税庁は『新型コロナウイルスの影響で150億ランドの歳入が不足している』と、前回の130億ランドからさらに歳入不足額が増加したことを発表した。また、モガジャネ南ア財務長官がラジオでのインタビューで『南アの失業率は40%に達するだろう』『税収は2000億ランド不足するだろう』と、新型コロナウイルスの影響が南アフリカ経済に与える影響を予測している。どれをとってもランドを買う材料がないことで、原油先物価格などの動きで一時的にランドが買い戻される局面があっても、上値は限られ可能性が高い。また、週末の新型コロナウィルスの感染者数の増加も懸念材料として残る。 

 

米国では雇用削減の第2波に警戒

4月の雇用統計は失業率が大恐慌以降で最高となったほか、非農業部門雇用者数も過去最大の落ち込みとなった。最悪期は脱したとの見方もあるが、雇用削減の第2波に警戒される。小売りのJクルーに続き百貨店のニーマンマーカスが破綻申請。今週は小売りのJCぺニーが破綻申請すると報じられておりかなりの雇用が削減されることになる。加えて、企業の収益率が悪く、一時解雇(レイオフ)から恒久的な解雇になる可能性も十分にある。Airbnb は全従業員の25%、ウーバーが14%、ユナイテッドは30%の雇用削減計画を発表している。

 

欧米イベント

○15:00   4月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比0.4%)
○16:00   2月トルコ失業率
○19:45   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○ロシア(戦勝記念日の振替休日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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