FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中通商協議報道で振れる展開

米中通商協議を巡り『第1段階』の合意が近いとの期待が高まり、主要3指数はいずれも最高値を更新した。さらに外国為替市場ではドル/円が109円台まで円安に振れたことが好感され、輸出関連株を中心に幅広く買われた。中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は25日、米中通商交渉は『第1段階』の合意が非常に近いと報じ、これに先立ちオブライエン米大統領補佐官も23日、年末までに中国と『第1段階』の通商合意に達する可能性は依然としてあるとの認識を示しており、合意が来年にずれ込むとの懸念が和らいだ。結局、前日比80円高の2万3373円と3日連騰となった。

 

東京外国為替市場:米中通商協議報道で上下に振れる展開

ドル/円は、中国商務省が『米中は貿易協議の第1段階合意について重要問題解決に向けた共通認識に達し、残る課題の交渉を継続する』との見解を示した。これを好感して、一時10-9.20円近辺まで急騰する場面があった。しかし、重要問題について具体的な内容は示されず、市場が期待していた進展が見られなかったため、ドル買い・円売りは続かなかった。その後は、日経平均株価の上げ幅縮小を眺めたドル売り・円買いに押され、109.00円近辺へじり安となった。午後は、一部の中国メディアが『米中は関税引き下げの規模について、意見の相違がある』と報じると、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、108.93円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国が米国産農産物の購入を継続

中国が米国産農産物の購入を継続している。米農務省のデータによると、米国産大豆の前週の輸出出荷量は190万トンに上り、約2年ぶりの高水準に達した。うち70%は中国向け。『香港経済日報』が26日伝えた。一方、米農務省が21日に公表したデータでは、中国が56万8000トンの大豆、約4万トンの豚肉、239トンの牛肉を買い付けた。

 

バンカメ・メリルの顧客が3週ぶりに売り越す

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの26日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は18~22日の1週間に米国株を1億1400まんドル売り越した。前週は43億5500万ドルの大幅買い越しだったが、3週ぶりに売り越しに転じたことになる。個別株買い・ETF売りの動きが強まり、ETFを除けば買い越しだった。主体別動向ではヘッジファンドが4億9100万ドルの売り越しで、3週連続の売り越し。機関投資家は14億9400万ドルの売り越しで3週間ぶりに売り越しに転じた。個人投資家は6600万ドルの小幅買い越しで8週ぶりに買い越しに転じた。企業の自社株買いは18億500万ドルの買い越しだったが、過去最高を記録した前週(42億6200万ドル)から大きく減った。

 

NY連銀の年末越え資金供給始まる:さらに強化される可能性も

ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は25日、年末を越える資金を金融機関に供給した。短期金融市場でドルの需給が逼迫しており、早めに資金を供給することで金利の高騰を抑える狙い。金融機関からの応札が多く、予定された250億ドル(約2兆7千億円)の全額が落札された。NY連銀は米連邦準備理事会(FRB)の金融調節を担当する。9月以降、ドルの短期金利が上昇しやすい状況が続いており、NY連銀は翌日物など短期間の資金を金融機関に供給してきた。年末にかけてはさらに需給が逼迫するとの見方が多く、今回は年をまたぐ期間の長い資金供給を新たに加えた。
NY連銀は12月12日に今後1カ月程度のオペの運営方針を見直す。翌日物の資金供給量の増額など、対応がさらに強化される可能性もある。

 

米年末商戦を控え米中通商協議の交渉決裂は回避

米国による対中国関税第4弾の判断期限は12月15日となっており、それまでは米中双方が少しでも有利な合意を得ようとしたり、両国とも自国内での『弱腰譲歩批判』を回避させるために、硬軟取り混ぜた駆け引き応酬が続くと予想される。ただし、トランプ米大統領からすると、①ウクライナ疑惑や弾劾問題などで窮地にある、⓶米国では28日の感謝祭明けから年末商戦が本格化する、⓷野党・民主党の大統領候補争いや討論会が、メディアや世論の関心を集めている、といった問題に直面している。自身の存在感や成果アピールのほか、年末商戦サポートの目的もあり、少なくとも交渉決裂のリスク自体は回避される。
最悪事態回避の可能性については、前週に『米中が第1段階の合意で12月15日の期日までに署名しなかった場合でも、米国が中国製品への関税引き上げを先送りする可能性がある』、『米国が12月15日発動予定の関税を遅らせる可能性がある』といった報道が見られている。
米中協議や香港問題には不透明感が根強いが、追加関税の発動といった最悪事態が回避されると、米FRBによる利下げ休止が後押しされやすい。ドル/円ではドル安抑制や緩やかなドルの下限切り上がりにつながっていく。

 

米国市場では11月消費者信頼感指数が公表

10月実績は4ヵ月ぶりの低水準となり、125.9に低下した。9月実績は126.3に上方修正された。ただ、現況指数は172.3に上昇しており、消費者信頼感がさらに低下する状況ではないと予想され、10月実績に近い水準となる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○16:00   12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:9.6)
○17:15   クーレ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:05   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○23:00   9月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
       7-9月期米住宅価格指数
○23:00   9月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.1%)
○24:00   11月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:5)
○24:00   10月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.1%/70.9万件)
○24:00   11月米消費者信頼感指数(予想:127.0)
○27日03:00   米財務省、5年債入札
○17日03:00   ブレイナードFRB理事、講演

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