FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安につれた売り優勢

前日米国株市場でNYダウの下げ幅が2018年10月以降で最大を記録するなど主要3指数が大幅安となったことを受けて、東京株式市場も先物主導でほぼ全面安商状で始まったが、売り一巡後は徐々に戻り歩調となった。米中貿易戦争や英国のEU離脱のほか、地政学的な緊張の高まりにより世界経済が減速しつつある可能性が示唆されたことで、投資家心理が冷え込んだ。ただ、ドル/円相場が105円台後半で推移し、円高に進まなかったことで追撃して売る動きは見られず、下値不安が徐々に後退した。結局、前日比249円安の2万0405円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は105円台後半で底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時106円台を回復する場面があった。しかし、世界経済の景気減速懸念が強まっており、追随する動きは見られなかった。その後は、米長期金利の低下を眺めたドル売りに押され、105.80円付近へ軟化した。しかし、今晩の米経済指標を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り105.90円台へ切り返した。午後になると、経済産業省が発表した6月鉱工業生産(季節調整済み)確報値は、前月比▲3.3%と速報値の▲3.6%より上方修正されたが、市場の反応は限定的だった。日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら105.90円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.11ドル台半ばで方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

経済対策発表でもアルゼンチンペソ安止まらず

南米アルゼンチンのマクリ大統領は14日、今月11日の大統領選予備選挙での敗北と通貨ペソの急落を受け、減税や最低賃金の引き上げなどの経済対策を発表した。現地からの報道によると、ペソは前日比8%安の1ドル=60.4ペソで取引を終え、下落に歯止めはかからなかった。予備選では市場経済や財政規律を重視する中道右派マクリ氏が、野党の中道左派候補に大差をつけられて2位となり、10月に予定される本選での再選が危うくなったことで市場の懸念が強まった。選挙対策のポピュリスト的政策で市場が納得するかどうかは不透明な状況となっている。

 

英首相交代してもまとまらないEU離脱

英野党・労働党は、可決できると踏めばすぐさまジョンソン政権に対する不信任投票を求める意向だ。欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を遅らせるため、コービン党首率いる暫定政権の樹立を模索する。ジョンソン首相は合意あるなしにかかわらず10月31日までにEUから離脱すると主張している。合意なしでの離脱に反対する議員が反発している。 コービン党首はその他の野党指導者や政界重鎮に宛てた書簡の中で、自身が率いる『厳格に期間を限定した暫定政権』がEUからの離脱を10月31日よりも後に延期し、総選挙を実施するとの方針を示した。
労働党は選挙戦で、EU残留の是非に関する選択肢を含め、ブレグジットの条件を巡り2度目の国民投票を実施すると訴えるという。

 

トルコでは犠牲祭明けの本日5月失業率が公表

1、2月は14.7%と2009年以来の水準まで悪化した指標は、その後3月の14.1%、4月は13%と改善傾向となった。5月失業率も市場予想では12.7%と18年11月以来の水準回復が見込まれている。もっとも、このところの弱いトルコ経済指標をみると、素直に雇用指標の持ち直しを期待してよいかは迷うところだ。今回の失業率は、ロシア製ミサイル購入を巡り米国によるトルコ制裁への懸念が高まっていたときだ。イスタンブール市長選を1カ月後に控えて、先行き不透明感も漂っていた。

 

米国債券の逆イールドは景気後退の前兆だが

1978年以降、米国の2年債と10年債の利回りの逆転は5回で、いずれもリセッションの前兆となった。ただ、①景気後退を確実視するためには長期間の逆転維持される必要がある。また、②実際に利回りが逆転してからリセッション入りするまで、平均で22カ月を要する。さらに、③現在の金利水準自体がかなり低水準であるため、過去の例と比較は困難との意見もある。 過去3回の利回り逆転時の水準2000年:6.4% -5.9%、2006年:4.8%-4.6%、2019年:1.6%-1.6%
短長期債の利回り曲線が一時的に景気後退の兆候を示唆したことは、市場が連邦準備制度理事会(FRB)に対して9月連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイントの利下げのような積極的な対処を求めている証拠となる。

 

米国市場では7月小売売上高が公表

6月実績は前月比+0.4%となった。主要13項目のうち11項目で増加した。7月については、個人消費者が順調であることから、主要13項目における減少を数項目にとどまる可能性があることから、反動減となる可能性は低いと見られる。市場予想の前月比+0.2%は妥当な水準といえる。

 

欧米イベント

○15:30   7月スイス生産者輸入価格(予想:前月比▲0.2%)
○16:00   5月トルコ失業率(予想:12.7%)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.25%で据え置き)
○17:30   7月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.2%/前年比2.6%)
      英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比2.3%)
○21:30   8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:3.0)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比1.5%)
○21:30   4-6月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比年率2.0%)
○21:30   8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:10.0)
○21:30   7月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.4万件/168.5万人)
○22:00   7月ロシア鉱工業生産(予想:前年比3.0%)
○22:15   7月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
       設備稼働率(予想:77.8%)
○23:00   8月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:65)
○23:00   6月米企業在庫(予想:前月比0.1%)
○16日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置きと8.00%に引き下げで拮抗)
○16日05:00   6月対米証券投資動向
○インド(独立記念日)、韓国(解放記念日)、ポーランド(聖母被昇天祭)、休場

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