FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安を好感した買い優勢

パウエル米FRB議長がFOMC後の会見で利下げサイクル入りを示唆せず、米国株主要3指数が急落した。日本株も朝方は売りが先行した。その後、為替市場で1ドル=109円台前半と約2ヵ月ぶりの円安水準となったことを横目に下げ幅が縮小しプラス展開した。市場では『リスク・パリティ系ファンドのアセット配分の見直しで、株の方にも資金が入ってきているのではないか』との観測も出ていた。結局、19円高の2万1540円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で109円台を回復

ドル/円は、FOMCで0.25%の利下げを実施した後に、パウエルFRB議長が『長期的な利下げ局の始まりではない』と発言したことから、ドル買いが優勢となった。この流れを引き継いで、上値を試す展開となった。心理的節目の109.00円を上抜けすると、ストップロスのドル買い・円売りオーダーを巻き込みながら一時109.31円付近まで上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。しかし、トランプ大統領の不規則発言が警戒されているため、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いが入り109.10円台へ小緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、109.20円前後でもみ合う展開となった。今晩予定されている英中銀金融政策委員会の結果発表や米7月ISM製造業景況感指数を控えて、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、FRBの利下げ期待が低下したことによる急激なユーロ安・ドル高が一服し、1.10ドル台半ばで小動きとなった。

 

韓国の7月貿易統計は8ヵ月連続マイナス:中国景気減速が影響

韓国政府が発表した7月の貿易統計によると、輸出は前年同月比11.0%減の461億米ドルとなった。前年実績からのマイナスは8ヵ月連続となった。米中貿易摩擦への懸念や半導体市況の悪化が輸出額を押し下げた。輸入は2.7%減の437億米ドルだった。

半導体の輸出は28%減と落ち込んだ。半導体を巡っては、日本が7月上旬に韓国への半導体材料の輸出規制を発動しており、先行きの生産への影響が懸念されている。また、地域別では中国向けが16%減となり、9カ月連続で減少した。中国企業が有機ELパネルを増産した。米国向けは0.7%減だった。一方で、自動車の輸出は22%増となった。

 

FRBのタカ派姿勢に投機筋のポジション解消の動き

FRBは米連邦公開市場委員会(FOMC)で10年半ぶりの利下げを決めたが、パウエル米FRB議長の『長期的な利下げ局面の始まりではない』との発言を受けて米国の継続的な利下げ観測がひとまず後退した。商品投資顧問(CTA)などが米債券の買い持ち高を外す動きを強め、米長期金利が上昇した。そのため米長期金利上昇に連動してドルの独歩高が鮮明になった。市場の想定以上にFRBが利下げに消極的な『タカ派』姿勢を見せたことにある。これまで金融緩和相場を想定して『株買い・債券買い・ドル売り』の持ち高を積み上げていたCTAが持ち高解消に走り、米長期金利が上昇したことにある。

 

米国の予防的利下げは過去3回が主流

パウエルFRB議長の発言『今回の利下げはサイクル中盤での金融政策の調整であり、長期的な利下げ局面の始まりではない』を受けてドルは全面高となっている。しかし、米連邦準備理事会(FRB)は、これまで1984年、1995年、1998年に『予防的利下げ』を行っているが、1995年と1998年は3回(x0.25%=0.75%)となっており、今回も2019年末にかけて、3回程度の利下げが見込まれている。

●1995年:①7月6日6.00%⇒5.75%、②12月19日5.75%⇒5.50%、③96年1月31日5.50%⇒5.25%

●1998年:①9月29日5.50%⇒5.25%、②10月15日5.25%⇒5.00%、③11月17日5.00%⇒4.75%

 

米中の溝深く進展が見られなかった米中閣僚級貿易協議

中国で開催されていた注目の米中貿易閣僚級は目立った進展もなく1日で終了した。当初の予定は2日間だった。関税の一部適用除外や交渉を継続することで合意した。次回の協議は9月にワシントンで開催される。トランプ大統領は『公約していた米国の農業製品を購入していない』と中国を非難した。また、中国は2020年の大統領選の結果を見極める長期戦の姿勢だと指摘しており、関税は長期にわたり維持される可能性が強く、景気を抑制していくと見られる。中国の国内総生産(GDP)は6%台の成長を維持しているものの27年ぶり低水準にとどまった。7月製造業PMIは3カ月連続で50割れで、活動の縮小となっている。トランプ大統領は中国が関税の損失を、人民元の切り下げ操作をすることによりある程度、相殺していると批判しており、米国がドル安政策をとるとの懸念はくすぶる。

 

欧米イベント

○16:00   7月トルコ製造業PMI
○16:50   7月仏製造業PMI改定値(予想:50.0)
○16:55   7月独製造業PMI改定値(予想:43.1)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:46.4)
○17:30   7月英製造業PMI(予想:47.7)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○20:00   MPC議事要旨
○20:00   英中銀イングランド銀行(BOE)、四半期ごとの物価報告(インフレリポート
○20:30   カーニーBOE総裁、記者会見
○20:30   7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.4万件/167.8万人)
○22:45   7月米製造業PMI改定値(予想:50.0)
○23:00   7月米ISM製造業景気指数(予想:52.0)
○23:00   6月米建設支出(予想:前月比0.3%)
○2日03:00   7月ブラジル貿易収支(予想:38.00億ドルの黒字)
○日米閣僚級貿易協議(ワシントン、2日まで)
○スイス(建国記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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