FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:欧米市場の下落の流れを引き継ぐ下げ

トランプ大統領が中国警告を発し、通商協議に対する懸念が出ている。投資家心理が圧迫され、欧米市場で主要株価指数が下落した流れを引き継ぐ形で、東京市場も幅広い業種で売りが先行した。国内企業の冴えない決算や、米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後の円高リスクに対する警戒なども上値を重くした。一時233円まで下げ幅を広げたがNYダウダウ先物の上げ幅拡大したこともあり、下げ幅を縮めた。結局、前日比187円安の2万1521円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられて、108.65円近辺まで下落した。しかし、トランプ米大統領による中国に批判的な発言が相次ぎ、上海で行われている米中通商協議が難航するとの思惑から、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大や上海株安をながめ108.55円近辺でもみ合う展開となった。午後は、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが広がり、108円台半ばでこう着相場となった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台半ばで小動きな値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国経済は低迷が続く:景気刺激策による改善見られず

中国国家統計局が発表下7月の製造業購買部担当者景気指数(PMI)は49.7と、6月の49.4から上昇したが、景況拡大と悪化の分かれ目となる50は3ヵ月連続で割り込んだ。輸出受注が14ヵ月連続で悪化し、外需の低迷が輸出業者を圧迫していることが浮き彫りになった。7月は国内の受注減少が続いていることも明らかになった。需要はやや改善したものの、一連の景気刺激策にもかかわらず依然として低迷していることが示された。また、同時に発表された7月の非製造業PMIは53.7と、前月の54.2から低下し、8ヵ月ぶりの低水準となった。

 

ECBのハト派を後押しする欧州経済指標内容

30日に発表された一連のユーロ圏統計は軟調な結果となった。フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した第2四半期国内総生産(GDP)速報値は前期比0.2%増となり、第1四半期の0.3%増から伸び率がやや減速した。また、ドイツでは、8月消費者信頼感指数が9.7で前月の9.8から低下した。指数の低下は3ヵ月連続で、2017年4月以来の低水準となった。さらに、7月消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合EU)基準(HICP)で前年比1.1%上昇と、前月の1.5%上昇から鈍化した。域内の成長見通しが悪化しており、一段の緩和が必要とするドラギECB総裁の見解を支える。

 

トランプ大統領の中国非難再開:中国非難はリスク回避の動きに

ムニューシン財務長官やライトハイザーUSTR代表は中国を訪問。大阪のG20での米中首脳会談以来初めて中国との貿易協議が再開される。今会合で、合意成立するとの期待は薄い。協議直前、トランプ大統領は『中国経済は過去27年間で最低の伸びに落ち込んでいる。農業製品を購入するとの公約だったが、いまだその兆候が見られない』と中国を非難した。トランプ政権が残り3250億ドル規模の中国製品に対して追加関税を発動した場合、世界経済の成長をさらに減速させる可能性が懸念される。

 

米国も日韓関係に危惧を示す:米国が日韓関係に圧力も

米政府高官は30日、貿易問題などで対立が深まる日韓両国に対し、争いを一時休止する合意を交わすよう提案する考えを示した。米国としてこれ以上の関係悪化を望まない姿勢を鮮明にした。米高官はこの提案について『両国の立場の違いを解決するものではないが、これ以上の応酬を一定期間回避することで、対話の時間を確保できる』と説明した。国務省当局者は取材に対し、米国として日韓関係を『仲裁』する意図はないとしつつ、『二つの同盟国が、誠実な対話を通じて問題解決できるよう引き続き奨励していく』と述べた。
ポンペオ国務長官は8月1日から東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議出席のためタイのバンコクを訪れる。河野太郎外相や韓国の康京和外相と会談し、こうした考えを直接伝える可能性がある。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表

FRBがこの会合で25ベーシスポイントの利下げを実施することはほぼ確実視されている。 FOMCを控えて経済専門局CNBCがマネーマネジャー、ヘッジファンドマネジャー、アナリストを対象に実施した調査で、回答した41人のうち98%が今回のFOMCでFRBが利下げを実施すると見ていることが明らかになった。そのうち95%が25ベーシスポイントの利下げを予想している。また、平均で年2回の利下げを予想している。ただ、『利下げが必要かどうか』の質問では意見が分かれた。回答者の半数は『利下げは必要ない』と見ていることも明らかになった。利下げ反対派は、『利下げの論拠は明らかではなく、経済は弱くなく、金利もも比較的低水準にあり景気を支援する』と主張している。一方で、利下げ賛成派は『潜在的な将来の問題に早めに対処する保険としての利下げは短期的に適切だ』と主張している。実際、平均の国内総生産(GDP)見通しは、2019年が+2.3%、2020年が+2.1%と、2018年の実質+2.5%から成長は減速するもののリセッション入りは予想されていない。FRBが利下げに踏み切るとしたら、保険的なものにとどまると見られ、トランプ大統領が望むような大幅な利下げは期待できない。

欧米イベント

○15:00   6月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%/前年比横ばい)
○15:00   7月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○15:45   7月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.3%/前年比1.1%)
○16:00   6月トルコ貿易収支(予想:32億ドルの赤字)
○16:55   7月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化2000人)
○17:30   4-6月期香港域内総生産(GDP、予想:前期比0.9%)
○18:00   6月ユーロ圏失業率(予想:7.5%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比1.0%)
○18:00   7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.1%)
○18:00   7月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.0%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   4-6月期メキシコGDP速報値(予想:前期比▲0.1%/前年比0.2%)
○21:00   6月南アフリカ貿易収支(予想:42億ランドの黒字)
○21:15   7月ADP全米雇用報告(予想:15.0万人)
○21:30   4-6月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.7%)
○21:30   5月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
○21:30   6月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.1%)
○21:30   6月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲3.0%)
○22:45   7月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:50.6)
○23:30   EIA週間在庫統計
○1日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:2.00-2.25%に引き下げ)
○1日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○1日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.25%に引き下げ)
○英中銀金融政策委員会(MPC、1日まで)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○米中閣僚級貿易協議(上海、最終日)
○米大統領選に向けた第2回民主党討論会(デトロイト、最終日)

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