FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ高や円安を好感した買い

前日の米国株市場では、NYダウが小幅高で取引を終了したことや、為替が1ドル=108円後半と前日から円安方向に振れたこともあり、東京市場は上昇して始まった。その後、NYダウ先物市場や上海株の堅調推移も投資家心理を支えた。日銀が金融政策決定会合で金融政策の現状維持を発表したことを受け、為替がやや円高方向に振れ、日経平均先物も上げ幅を縮小した。結局、92円高の2万1709円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀政策決定会合に失望したドル売り

ドル/円は、日経平均株価の反発や国内輸入企業のドル買い・円売りに支えられて一時108.94円付近まで値を上げ、約3週間ぶりの高値を付けた。しかし、心理的節目の109.00円付近まで接近すると、上げが一服した。その後は、利益確定売りやも戻り待ちのドル売り・円買いに押されて、108.75円付近へじり安となった。日銀金融政策決定会合で現時維持となったことや、フォワードガイダンスも据え置かれたことにドル/円は失望感が広がり108.65円近辺まで値を下げた。午後もこの流れが続き、日経平均株価が伸び悩むと、さらにドル売り・円買いが進み108.57円付近まで下押しした。黒田日銀総裁の会見を控えていることから、様子見ムードが広がり下げ渋る展開となった。ユーロ/ドルは、1.114ドルっ前後で方向感を欠く展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易交渉の閣僚級協議が再開中

30-31日に米中貿易交渉の閣僚級協議が再開される。現状段階では『摩擦解消に向けた進展への期待は低い』、『中国の補助金や技術移転の強要、知的財産権侵害といった対立の本質的な問題で進展を見込むのは厳しい』といった慎重見通しが優勢になっている。一方で前週末までにはファーウェイ(華為技術)への部分的な制裁緩和や、中国による米国産農産物の購入といった動きも見られている。30-31日の会合では失望リスクと同時に、部分的な対立緩和と歩み寄りの動きも焦点になる。

 

週末の英紙は『合意なき離脱』一色の報道

英サンデー・タイムズ紙は、ジョンソン首相はブレグジットまで間もないことで『戦時内閣』を結成し、何が何でも必要なことを行い、『合意無き離脱』がとても現実的になってきたと報じている。首相はブレグジットがらみの全ての決定を『合意なき離脱』肯定派の(首相を含めた)6人の閣僚(ゴーブ国務相、ラーブ外相、ジャヴィド財務相、バークリーEU離脱相、コックス法務長官)で行うとしている。 同紙は、戦時内閣は『合意無き離脱』に際しての、緊急予算を10月7日の週に準備をしているとも報道している。また『サンデー・テレブラフ』紙も同様に、ジャヴィド財務相が10月31日のために、緊急予算を準備しているとも報じている。「サンデー・エクスプレス」紙は、仮に内閣不信任案が通ったとしても、法的に10月31日に英国はEUから離脱できると、コックス法務長官の発言を引用して報じた。法務長官は『仮に総選挙に突入しても、その間に離脱することができる』とも話したことを報じた。
 「ガーディアン」紙も、もしEUが現在の合意案と、アイルランドのバックストップ案を撤回しない限り、首相はEUとの交渉には応じず、『合意なき離脱』に進むだろうと報じた。 ここでは一部の英紙しか取り上げていないが、週末の英紙はまさにブレグジット一色だった。元々ジョンソン首相はトランプ米大統領の英国版と言われているだけあり、政策は分かりやすい。また、政治手法も側近や同じ考え方の人物だけの意見しか聞かない姿勢も似ている。『合意なき離脱』が現実的に見えてきたことで、英国だけでなく、本邦企業や投資家も『合意なき離脱』に備える必要がある。

 

貿易・通貨戦争リスク

米連邦準備制度理事会(FRB)は今週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年以降11年ぶりの利下げに踏み切る可能性が高い。FRBのイエレン前議長は28日にコロラド、アスペンで開催されたアスペン経済戦略グループ会合において、25ベーシスポイントの利下げを支持する考えを示した。世界経済の弱さに加えて、米国のインフレも『低すぎる』と指摘した。また、イエレン前議長は、『米国は島国ではなく、世界経済の一部である。欧州、アジア、世界で起こっていることは米国経済に影響する』『米国の金融政策が世界に影響を与えるとの考えもただしい』と指摘した。一方、トランプ大統領はFOMCを控え、『欧州や中国は利下げや金融システムに資金を供給することで自国通貨を安くし、製品を海外に売却しやすくしている。中国や欧州に比べてFRBは非常に小幅な利下げを行うようだ』『FRBは間違った動きをした。小幅な利下げは不十分。しかし、我々は結局勝つことになるだろう』
『利上げペースが速すぎ、過剰だった』と、FRBに大幅な利下げを実施するように圧力をかけた。 さらに、トランプ大統領は29日記者団に、ドルに関して何かする可能性は除外しないとした。貿易・通貨戦争のリスクは存続する。利下げに舵を切るFRBの次のタイミングは ISMや雇用統計次第で市場の反応も大きく変わる 。

 

市場予想を上回る好調な4-6月期米企業決算

今年4-6月期の米国企業の利益は予想以上に好調となっている。これを手がかりに今月に入り株式相場は上昇し、貿易と経済成長を巡る懸念から注意がそれている。S&P500種指数を構成する500社のうち221社が26日までに決算発表を終えた。調査会社ファクトセットによれば、そのうち170社で業績が市場予想を上回り、投資家を驚かせた。26日の米株式市場で、いずれも業績が予想を上回ったハイテク大手のアルファベットは9.6%高、ツイッターは8.9%高をつけた。

 

欧米市場のポイント

○15:00   8月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:9.7)
○15:45   6月仏財政収支
○15:45   6月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:00   7月スイスKOF景気先行指数(予想:93.0)
○16:30   4-6月期スウェーデンGDP(予想:前期比0.3%)
○18:00   7月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲6.6)
○18:00   7月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:102.6)
○21:00   7月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.5%)
○21:30   6月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
       6月米個人所得(予想:前月比0.4%)
       6月米PCEデフレーター(予想:前年比1.5%)
       6月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
○22:00   5月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.4%)
○23:00   6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.5%/前年比0.7%)
○23:00   7月米消費者信頼感指数(予想:125.0)
○米中閣僚級貿易協議(上海、31日まで)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○米大統領選に向けた第2回民主党討論会(デトロイト、31日まで)

 

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