FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:米利下げ観測が根強く買い優勢

NYダウは69.25ドル高の26786.68、ナスダックは17.93ポイント高の8109.09で取引は終了した。米通商代表部(USTR)が、検討中である欧州連合(EU)からの輸入品210億ドル相当の関税対象リストに40億ドル相当を新たに追加することを提案し、米欧貿易摩擦への懸念から売りが先行した。米利下げ観測が根強く残るなか、緩和政策が株価を押し上げるとの期待感が相場を支えた。半面、『露大統領・国防相の緊急会談』や『緊急事態のため、ペンス米副大統領がイベントをキャンセルしてホワイトハウスに戻る』との報道が伝わったため上値も限定的だった。 VIX指数は14.06から12.93へ低下した。

 

NY外国為替市場:地政学的リスク報道に振れる展開

ドル/円は、米長期金利が低下したことを背景とした売りに押された。カーニー英中銀総裁(BOE)総裁が『不確実性が短期的な政策対応を正当化する可能性』と発言したことで緩和再開の思惑が浮上し、英長期金利が大幅に低下。米長期金利も1.97%台まで低下幅を広げたため、ドル売りが加速した。『緊急事態のため、ペンス米副大統領はイベントをキャンセルしホワイトハウスに戻った』『プーチン露大統領が国防相と緊急会談』との一部報道が伝わったことが思惑的な売りを誘ったのではとの見方もあり、節目の108.00円を割り込んで一時107.77円まで値を下げた。もっとも、露大統領と国防相の緊急会談についてロシアのタス通信から『セヴェロモルスクの14名が死亡した潜水艦事故についての調査を指示したもの』との会談理由が伝わると売りも一服した。その後は107.90円前後でのもみ合いが続いた。

 ユーロ/ドルは、欧州タイムに欧州中央銀行(ECB)政策担当者の『7月に早急に利下げする理由はない』との発言に買いで反応し、一時1.1321ドルまで値を上げた。もっとも、買いは続かず、その後は引けにかけて1.1280ドル台まで売りに押された。EU首脳が次期ECB総裁にラガルドIMF専務理事を指名したことで、有力候補だったバイトマン独連銀総裁よりもハト派寄りとの見方が広がったこともユーロの上値を重くした。 

 

NY原油先物市場は大幅反落:世界的な需要後退懸念から売り優勢

NY原油先物市場は58.90ドルから56.09ドルまで下落した。石油輸出国機構(OPEC)の加盟国と非加盟国は、来年3月まで協調減産を延期することで合意した。減産量は今年1月から実施している日量120万バレル規模とした。また、生産調整で協力する連合体『OPECプラス』の設立でも合意に至った。もっとも、減産延期や新たな連合体については市場に織り込まれており、NY勢の本格参入後は利益確定売りが強まった。世界的な需要後退への懸念が強まり、売りが広がる展開に転じた。

 

NY金先物市場は反発:報道によりリスク回避への思惑高まり買い優勢

NY金先物市場は1392.60ドルから1410.80ドルまで上昇した。ペンス米副大統領は、緊急事態のためにイベントをキャンセルしホワイトハウスに戻ったとの一部報道や、プーチン露大統領が露国防相と緊急会談などが報じられるとリスク回避への思惑が高まった。ペンス副大統領の件は緊急事態ではないとされ、露大統領も潜水艦事故についてのこととされたが、金先物は底堅いままだった。米長期金利が低下傾向なことも金利が付かない金にとっては支持要因となった。 また、英中銀のカーニー総裁が英国の合意なきEU離脱や世界的な貿易摩擦に警戒感を示したことから、安全志向の買いが急速に広がった。

 

米国債券市場は反発:英国債買いにつれた買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前日比0.05%低い(価格は上昇)1.97%で終了した。カーニー英中銀総裁が短期的な政策変更の可能性を示唆したことで英国債が買われたため、米国債もつれ高(金利は低下)となった。その後も目立った下押しもなく、高値水準を維持して引けた。 

 

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