FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:FOMCの結果を好感した買い優勢

米FOMCが年内の利下げを示唆した。米国株が上昇した流れを引き継ぎ、日本株も買いが先行した。外国為替市場でドル/円は一時107円半ばまで下落し、1月4日以来のドル安・円高を付けたものの、日本株はプラス圏は維持した。また、日銀が20日まで開いていた政策決定会合で大規模緩和の現状維持を決めたが、事前予想に沿った結果であり持ち高を一方向に傾ける動きが限られた。結局、前日比128円高の2万1462円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米FRBの早期利下げ観測から全般ドル売り

ドル/円は、前日の米FOMCで、早期利下げの可能性が示唆されたことを背景に、ドル売りが優勢となった流れを引き継いだ。米長期金利が節目の2.00%を割り込むと、108円台前半から継続的にストップロスのドル売り・円買いが入り一時107円台半ばまで急落した。下げが一服すると107.80円近辺まで値を切り返した。昼前に、日銀金融政策決定会合の結果、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和の現状維持を賛成多数で決定した。欧米中銀は緩和に前向きな姿勢を示しているが、市場の一部で期待されていた金融政策の先行き方針(フォワードガイダンス)を延長しなかった。これを受けて、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、107.60円付近までじり安となった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、107.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。

ユーロ/ドルは、FRBが早ければ7月にも利下げに踏み切るとの思惑から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.12ドル台後半の高値圏で推移した。

 

日銀政策決定会合では新味に欠ける結果

日本銀行は20日に開いた金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みを維持する方針を7対2の賛成多数で決定した。片岡審議委員と原田審議委員が反対票を投じた。長期金利が0%程度で推移するよう国債買い入れを行い、ある程度の金利変動を許容する方針と、-0.1%の短期金利を維持する。指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も変わらず。政策金利のフォワードガイダンスも据え置いた。

 

欧州市場では英国中央銀行MPCが金融政策発表

英中央銀行のブロードベント副総裁は6月11日に『英国の欧州連合(EU)離脱が円滑に進み、経済が予想通りに成長すれば、英国の金利は市場の予想よりもやや速いペースで上昇する必要がある』との考えを示した。将来的な利上げの可能性はやや高いものの、英国は合意なきEU離脱に向かう可能性は残されており、金融政策の運営は難しい局面を迎えることになる。

 

ドラギECB総裁の置き土産

ドラギ総裁は毎年恒例のシントラでの政策フォーラムで、追加緩和の必要性と近い将来の検討開始を強く示唆した。これを受け、次回7月の理事会でフォワード・ガイダンスを修正し、9月の理事会で追加緩和を決定すると予想する。 追加緩和のメニューは、預金ファシリティ金利の10bps引き下げが有力視される。金利階層化論者のビルロワドガロ仏中銀総裁がドラギ氏の後継総裁に内定していれば、同時にマイナス金利による副作用の軽減措置が導入される可能性が高まる。 一方で、タカ派のバイトマン独連銀総裁がドラギ氏の後継総裁に内定している場合、ドラギ総裁は自らの任期中に資産買い入れの再開を決定し、後継総裁のタカ派傾斜に待ったを掛けようと考える可能性もある。後継総裁人事の行方が、追加緩和メニューにも影響する可能性がある。

 

FOMC結果を受けて7月の利下げ観測強まる

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。声明は前回から大きく修正された。次の行動に『辛抱強くなる』との文言が削除されたことから、早くて7月の利下げ観測が強まった。そのほか、見通しの不透明性が上昇したと指摘されたことや、成長を持続させるために行動することを強調したことが利下げ観測につながった。
さらに、ブラード・セントルイス連銀総裁が据え置き決定に反対票を投じ、0.25%の利下げを主張。パウエル議長が率いるFOMCとして初めての反対票となった。パウエル議長は反対票に関して、『健全だ』との見方を示している。会合後の会見では、パウエル議長は多くのメンバーが利下げの論拠が強まったと主張したことを明らかにした。

『経済金利見通し』のドットチャートでは、2019年末の中央値は現状水準で据え置いた。2020年末は1回の利下げ。2021年は1回の利上げ。そして長期的見通しでは2.50%と前回3月の2.75%から下方修正となった。一番重要だった2019年末の予想では、1回の利下げを1人、2回の利下げを7人が予測している。逆に、据え置きを8人、1回の利上げを1人が予想していることが分かった。要するに、タカ派とハト派が両極端に偏ってい状況となっている。市場が織込んでいる2回から3回の利下げが実現する可能性は、今後のデータや国際情勢などにかかっている。

 

欧米イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○15:30   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.25%に引き上げ)
○17:30   5月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.5%/前年比2.7%)
      英小売売上高指数(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比2.5%)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○20:00   MPC議事要旨
○21:30   1-3月期米経常収支(予想:1246億ドルの赤字)
○21:30   6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:11.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/168.8万人)
○22:00   5月ロシア失業率(予想:4.6%)
○23:00   5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.1%)
○23:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲6.5)
○21日01:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○英保守党党首選、第4回及び第5回投票
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、21日まで)
○ポーランド、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

 

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