FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦の拡大が意識され売り優勢

トランプ米政権が中国の監視カメラ大手に対する禁輸措置を検討していると報じられ、米中貿易摩擦の拡大が意識された。朝方から半導体製造装置や電子部品などの主力銘柄で売りが先行し、下げ幅を一時200円超に拡大した。市場では『米政府による中国企業への締め付けがファーウェイ以外にも広がる可能性が出てきた。米中対立の先行きが不透明な状況の中、懸念が先行しやすい』との指摘があった。結局、前営業日比132円安の2万1151円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:心理的な節目110.00円近辺ではドル買いも

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことや上海総合株価指数のさえない動きをながめて110.09円まで下落した。米長期金利が低下したこともドル売りにつながった。しかし、心理的な節目となる110.00円が視野に入ると、下げは一服した。その後は、国内の輸入企業や機関投資家などがドル買い・円売りに動き、110.25円前後まで値を戻した。午後に、日経平均株価の下げ幅縮小で過度なリスク回避姿勢が和らぐと、ショートカバーが入って110.36円付近まで値を上げた。しかし、トランプ米政権が対中強硬姿勢を崩していないため、ドル買いも続かず110.30円近辺でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台半ばでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中通商協議は新たなステージ突入の可能性も

通商問題などを巡る米中の対立は長期化の様相を呈している。市場参加者の間では『米国側は二国間の貿易不均衡を是正することよりも、中国の経済的、軍事的膨張を阻止することを優先しているように思える』との声が聞かれている。貿易・通商問題を巡る米中の対立は両国による覇権争いとの見方も少なからず存在する。 米国は5月10日午前0時1分から、中国から2000億ドル相当の輸入品に対する関税率を現行の10%から25%に引き上げており、課税対象外となっている3250億ドルの中国製品についても25%の関税を課す可能性があると伝えた。米国はさらなる動きを見せており、商務省は政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する『エンティティーリスト』に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と同社の関連68社を正式に追加した。市場関係者の間からは、『米国はファーウェイ排除の方針を変えていないが、中国側の対応を探っており、強硬姿勢で協議に臨むことは避けるのではないか』との声が聞かれている。また、『中国はレアアース(希土類)の輸出停止を視野に入れている』との思惑も浮上しており、通商問題などを巡る米中対立は新たなステージに突入し、対立の長期化は避けられないとの懸念が広がっている。

 

欧米市場では5月マークイット製造業PMIが公表

4月実績は47.9となった。5月については製造業の生産ペースが上がっていないことや、国際貿易環境の改善が遅れていることなどから、大幅な改善は期待できない。好不調の節目となる50を大幅に下回る状態が続く見込みとなっている。

 

26日にかけ欧州議会選を実施:EU懐疑派がの得票率に注目

5月23日から26日かけて欧州議会選が実施され、751人の欧州議会議員が選出される。5年に1度改選される同議会は今回で9回目の選挙となるが、これまでは欧州の人々にとってそれほど身近なものではなかった。全体得票率をみると、1979年に9カ国で始まった第1回直接選挙では62%弱だった数値が、そこからは毎回低下しており、前回2014年では約42%まで下げた。 ただし、今回は今までと様相が変ってきた。これまで2大政治会派を形成していた、中道右派・キリスト教民主党系の『欧州人民党(EPP)』と中道左派・社会民主党系の『社会民主進歩同盟(S&D)』が、2つの政治会派を合わせても過半数に届かない可能性がでてきた。一方で、イタリアの『同盟』やフランスの『国民連合』(旧「国民戦線」)を始めとしたEU懐疑派の支持率が予想以上に上がってきている。懐疑派が実際にどの程度まで得票率を伸ばしてくるか、親EU派がどの程度まで議席を維持できるか、人口約5億1000万人を擁するEUの決断待ちとなる。また、予定通りであればEUを離脱していた英国が参加することになり、大苦戦が予想される与党・保守党がいったいどの程度まで得票率を減らすのかもポイントとなる。

EU28カ国で行われる欧州議会選だが、投票日は国によって若干異なる。以下がその予定。
5月23日 英国、オランダ
5月24日 アイルランド
5月25日 ラトビア、マルタ、スロバキア
5月24-25日 チェコ
5月26日 他21カ国

 

米国市場では5月マークイット製造業PMIが公表

4月実績は52.6となった。5月については複数の地区連銀の景況指数が市場予想を上回っていることや、雇用情勢が良好であることから、4月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   1-3月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比0.4%/前年同期比0.7%)
○15:00   1-3月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.6%)
○15:30   1-3月期スイス鉱工業生産指数(予想:前年同期比▲0.3%)
○15:45   5月仏企業景況感指数(予想:105)
○16:15   5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.0)
○16:15   5月仏サービス部門PMI速報値(予想:50.8)
○16:30   5月独製造業PMI速報値(予想:44.8)
○16:30   5月独サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○16:30   4月スウェーデン失業率(予想:6.8%)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:48.1)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○17:00   5月独Ifo企業景況感指数(予想:99.1)
○17:30   4月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.2%)
○17:40   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:30   ECB理事会議事要旨(4月10日分)
○21:30   3月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/167.0万人)
○22:45   5月米製造業PMI速報値(予想:52.5)
○22:45   5月米サービス部門PMI速報値(予想:53.2)
○22:45   5月米総合PMI速報値
○23:00   4月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.8%/67.5万件)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○24日01:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○24日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、討論会に参加
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○インド総選挙の開票
○欧州議会選挙(26日まで)

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