★日経平均株価:米国株安と米欧貿易摩擦の過激化懸念で売り優勢
前日米国株の下落や米欧貿易摩擦の過激化が懸念され、ヘッジファンドなど海外投資家のリスク回避の先物売りが強まった。一時下げ幅は200円超に広がった。ただ、売り一巡後は個人投資家の押し目買いに支えられ下げ幅を縮小した。結局、前日比115円安の2万1687円と反落して終了した。
★東京外国為替市場:111.15円前後でもみ合う展開
ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ111.23円まで上昇した。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が後退したことも、円売りを誘った。ただ、前日にトランプ大統領がEU製品に報復関税を課す方針を示し、米欧の貿易摩擦が激化するとの懸念から上値を追う動きは限られ、111.15円台前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.15円前後でもみ合い展開となった。本日のEU首脳会議やFOMC議事要旨などのイベントを控えて様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.1260ドル前後で方向感を欠く値動きが続いた。欧州勢待ちの様相となっている。
★欧州市場では欧州中央銀行(ECB)政策金利を発表
ECBのドラギ総裁は2018年ECB年次報告で、『中期的に域内の物価圧力の継続的な上昇を確実にするために、大幅な金融刺激策が引き続き必要不可欠となる』との見解を表明している。世界経済の減速懸念は消えていないことから、現行の金融政策を長期期間維持する姿勢を再度表明する見込み。
★G20の議題は『米中貿易摩擦の影響や経常収支の不均衡と是正』
11-12日に米ワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題が9日、固まった。米中貿易摩擦の影響や経常収支の不均衡是正について議論する。貿易摩擦に端を発し世界経済の減速懸念が強まる中、G20が結束して対応できるかが試される。混迷する英国の欧州連合(EU)離脱問題についても議論する見通しだ。共同声明は出さない予定。トランプ米大統領は2国間協議を通じて貿易赤字の削減を日中などに迫っている。これに対し、G20議長国を務める日本は、モノの輸出入だけでなく、サービスや金融のやりとりを含む経常収支で経済不均衡の問題を議論すべきだと主張。G20会議の主要議題に掲げている。
★米国では労働市場ひっ迫緩和を示唆
米労働省が発表した2月JOLT求人件数は前月から53.8万件減の708.7万件となった。予想755万件を下回り、昨年4月以降で最低となった。主に、食品サービス、不動産、レンタルやリースなどでの求人件数減少が目立った。減少幅は2015年以降で最大を記録。労働市場のひっ迫具合がいくらか緩む兆候が見られた。求人件数の急減は予想外に低調だった2月の雇用統計に一致する。ただ、700万件を維持したほか、失業者総数を85.2万人上回っている。ただ、その差は過去8カ月間で初めて、100万人を割った。
注目の退職率(Quits rate)は2.3%と1月と変わらず。昨年同月や金融危機前の水準2.1%を依然上回っており、労働市場への自信は相変わらず強いことが証明された。2月求人率(Job openings rate)は4.5%と、1月4.8%から低下した。昨年同月の4.2%からは上昇。
労働市場のひっ迫が緩和した場合、賃金の上昇圧力も後退することになる。米連邦公開市場委員会(FOMC)の慎重な姿勢も正当化される。米金利先物市場での年内の利下げ確率はほぼ50%となっている。
★米国市場では3月消費者物価コア指数が公表
2月実績は前年比+2.1%になった。新車、処方薬の価格は低下したが、住居費は4ヵ月連続で前月比+0.3%の上昇を記録した。3月については、複数の項目で物価下落が予想されるが、住居費の上昇が続くことから、コアの物価上昇率は2月実績と同水準となる可能性が高い。
★米国市場ではFOMC議事要旨が公表(3月19-20日実施分)
FOMC議事要旨は、ハト派姿勢の度合いが注目される。金利引き上げについて極めて慎重であることが判明下場合、長期金利は低下し、ドル売りを誘発させやすい。
★欧米イベント
○15:00 3月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい/前年比2.8%)
○15:45 2月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.5%)
○17:30 2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:127億ポンドの赤字/38億ポンドの赤字)
○17:30 2月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比▲0.9%)
製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○17:30 2月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○20:00 MBA住宅ローン申請指数
○20:45 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00 3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.62%)
○21:30 ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30 3月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.8%)
エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○23:30 EIA週間在庫統計
○11日00:50 クオールズFRB副議長、討論会に参加
○11日02:00 米財務省、10年債入札
○11日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月19-20日分)
○11日03:00 3月米月次財政収支(予想:1800億ドルの赤字)
○臨時の欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル)
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