FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易協議の進展期待と円安を好感

前日米国市場で、米中貿易協議の進展に対する期待感からNYダウが91ドル続伸したことを囲う間した買いが先行した。また、1ドル=110円台後半への円安を受けて輸出関連株中心に買い安心感が広がり一時上げ幅を234円へと広げた。しかし、週末を控えて手仕舞い売りに押され上げ幅を縮小した。結局、前日比172円高の2万1205円で終了した。

 

東京外国為替市場:年度末に絡むドル買いも上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入企業などから年度末に絡むドル買い・円売りが持ち込まれ、110.91円まで上昇した。しかし、心理的な節目となる111.00円に接近すると、ドルの上げは一服した。その後は、世界経済の減速に対する根強い懸念から利食い売りに押されて110.70円近辺まで下落した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら110.70円を挟んだもみ合い相場となった。今晩予定されている米経済指標やFRB当局者の講演を見極めたいとの雰囲気もあり、上下に動きにくい展開となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

本来なら英国のEU離脱の期限到来:複雑怪奇な状態に

本日3月29日は、英国にとっては、ついにEU離脱の期限到来となる。昨日の英下院では、バーコウ議長が『29日に離脱協定案の採決を行う』ことを表明した。ただ、これまでの2回の採決と違って、離脱後の英国とEUとの関係などを示した『政治宣言』を取り除いたかたちで、全く新しい議案として採決することになった。メイ英首相としては、『政治宣言』が付帯しない『離脱協定案』であっても、EUの条件クリアできるという認識である。可決できれば、5月22日までの離脱延期となる。ただ、本日の採決が本当に『本採決』として認められるかどうかは『見解が分かれている』模様である。いよいよ複雑怪奇な状態に入り込んだ。問題は、この分割した離脱案さえ否決された場合、どういった展開となるのか。これまでのところ、『結局否決される可能性が高い』との声が多く聞かれている。

可能性としては2つある。4月12日までに合意ないまま離脱となるのか、5月23日の欧州議会選挙に英国から議員を織り込むことを条件に、やり直しのための相当期間の離脱期限延長を新たに申請するしかなく、その場合は、2回目の国民投票が行われて、ブレグジット自体がなくなってしまう可能性も出ている。

 

国際商品価格の高止まりは世界経済の底堅さを暗示

世界景気を反映する原油や銅など国際商品価格の高止まりが、過度な「逆イールド」恐怖症による世界経済リセッション懸念を後退させている。特に、銅は古来、産業用の電線から家庭用配線に自動車部品など広く人々の生活と密接に関わる商品として世界経済の先行指標として『ドクター・コッパー』と呼ばれる。むろん、電気産業活動に欠かせない銅の需要は電気自動車(EV)等で底堅く、原油価格の反発とともに銅価格は世界景気の再拡大に伴う需要増大を暗示するように高値圏で推移している。一方、Dr.コッパーだけでなく、原油価格も年初より米S&P500指数の『V字回復』と平仄を合わせて上昇し、世界経済の底堅さを暗示している。

 

米中貿易協議での合意成立は予想されず

米中閣僚級貿易協議が中国、北京で29日まで開催されている。中国側が技術移転に関して前例のない提案をしたと報じられており、市場の好感材料となった。米国債利回りも上昇した。景気後退の前兆を示すと注視されている3カ月物Tビルと10年債利回りの逆イールドも改善した。 米国の関税により、中国経済の成長は大きく鈍化している。景気底入れの財政刺激策などを実施しているが、何らかの合意を取り付けたいという意向が働いていると見られる。ただ、今回の会合で合意成立は予想されていない。米中首脳会談の開催は不透明で、6月くらいと見られている。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比5.30%)
○16:00   2月トルコ貿易収支(予想:22億ドルの赤字)
○16:00   2月独輸入物価指数(予想:前月比0.5%/前年比1.8%)
○16:00   2月独小売売上高指数(予想:前月比▲0.9%/前年比2.8%)
○16:00   3月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○16:45   2月仏財政収支
○16:45   2月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:45   3月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.9%/前年比1.2%)
○17:00   3月スイスKOF景気先行指数(予想:93.9)
○17:55   3月独雇用統計(予想:失業率4.9%/失業者数変化▲1.0万人)
○18:00   3月ノルウェー失業率(予想:2.4%)
○18:30   2月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○18:30   2月英マネーサプライM4
○18:30   10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.2%/前年比1.3%)
○18:30   10-12月期英経常収支(予想:230億ポンドの赤字)
○18:45   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   2月南アフリカ貿易収支(予想:20億ランドの黒字)
○21:30   1月カナダGDP(予想:前月比横ばい/前年比1.3%)
○21:30   2月カナダ鉱工業製品価格
○21:30   2月カナダ原料価格指数
○21:30   1月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
       2月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       1月米PCEデフレーター(予想:前年比1.4%)
       1月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○22:45   3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:61.0)
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比2.1%/62.0万件)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:97.8)
○23:30   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○30日01:05   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○米中閣僚級貿易協議(北京、最終日)
○英議会、EU離脱協定について採決(政治宣言は含まず)
○米格付け会社ムーディーズ、南アフリカの格付け発表
○31日 トルコ統一地方選挙
○31日 欧州が夏時間に移行

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