FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月25日の米国株市場を先取り!

 

3月22日(金)の米国3市場は、NYダウ:460.19ドル安の25,502.32ドル、S&P500:54.17ポイント安の2,800.71ポイント、NASDAQ:196.29ポイント安の7,642.67と三指数ともに大幅に下落した。一方、米長期金利は、世界的な景気減速懸念から2.50%割れとなる2.441%に大幅低下(価格は上昇)した。『21日付けPERと株価から逆算』して3月22日付け予想PER計算すると、NYダウ:16.90倍、S&P500:17.34倍、NASDAQ:24.20倍と、三指数とも前日比でPERは低下した。2011年4月21日以降の平均値は、NYダウ:14.99倍、S&P500:16.59倍、NASDAQ:21.76倍で現在3指数とも大幅に上回っている。このPERを基に22日付けのイールドスプレッドを算出すると、NYダウ:▲3.476%、S&P500:▲3.326%、NASDAQ:▲1.691%と、3指数ともにイールドスプレッドは前日比で大幅に拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)となった。

米長期国債金利は、欧米の経済指標が軒並み予想を下回り世界経済の減速懸念が強まると、安全資産とされる米国債に買いが集まった。利回りは一時2.416%前後と昨年1月上旬以来の低水準を付けた。なお、3カ月物財務省短期証券(TB)と10年債の利回りが約12年ぶりに逆転した(逆イールド)。『逆イールド』は先行きの景気後退を示唆するとして警戒感が高まった。米国株が大幅に下落したうえに米長期金利も大幅に低下したことで、イールドスプレッドは大幅に拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。

 

昨年12月3日の高値時のイールドスプレッドを参考にする。12月3日に戻り天井となり下落基調となった。NYダウ:▲3.069%、S&P500:▲2.731%、NASDAQ:▲1.198%だった。

 

22日(金)のNYダウの予想イールドスプレッドは前日▲3.281%⇒▲3.476%となり縮小(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。1月3日の直近割安となったイールドスプレッドの▲4.226%から0.750%に拡大(米国株に割高感)している。また、12月3日の戻り天井となった12月3日の▲3.069から0.407%へ縮小してきている。NYダウは、欧米の経済指標が軒並み予想を下回り、世界経済の減速懸念が強まった。ボーイング(2.83%安)やナイキ(6.61%安)など個別に悪材料が出た銘柄が売られ、指数の重しとなった面もある。債券市場では長期金利が急低下した一方、短期金利はそれほど下がらず、一部で長期金利が短期金利の水準を下回る「逆イールド」が発生した。金利低下により銀行の収益が圧迫されるとの見方からゴールドマン・サックス(2.89%安)やJPモルガン・チェース(3.02%安)など金融株が下落し指数を押し下げた。NYダウは460ドル超安のほぼ安値引けとなった。 VIX指数は13.63から16.48へ上昇した。

 

S&P500の予想イールドスプレッドは前日▲3.123%⇒▲3.326%となり、イールドスプレッドは拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。S&P500も割安感が徐々に払拭されていたが、大幅下落で修正されてきている。1月3日のイールドスプレッド▲3.869%から0.543%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の2.731%から▲0.595%へ縮小してきている。

 

NASDAQの予想イールドスプレッドは、前日▲1.496%⇒▲1.691%となり、イールドスプレッドは拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。1月3日のイールドスプレッド▲2.179%から0.488%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の▲1.198%から▲0.493%へ縮小してきている。

 

テクニカル的には、NYダウは、サポートとして意識された5日SMA25,802ドル、10日SMA25,748ドル、25日SMAの25,816ドルを一気に下抜けする展開となった。そのため、3月11日安値25,208ドルや200日SMA25,1880ドルが意識されやすい。ダブルトップの様相となっており、3月11日安値のネックラインを下抜けするとさらに調整基調が続きやすいので注意が必要となる。S&P500も、5日SMA2,829ポイントと10日SMA2,816ポイントを一気に下抜けたものの、25日SMA2,795ポイントがサポートとして意識されている。下抜けると200日SMAの2,755ポイントが視界に入る。NASDAQも同様に5日SMAの7,730ポイント、10日SMA7,676 ポイントを一気に下抜けたことで、25日SMAの7,579ポイントがサポートとなるか注目される。

ストキャスティクス(パラメータ:14、5、3、20、80)では、買われ過ぎ過熱感があるところから、三指数ともに%Kが%Dを下抜けたことで、下落調整局面となっている。世界景気減速懸念が一気に浮上したことで、相場が崩れる展開となっている。世界景気減速懸念というやっかいな材料での下落調整となっている。そのため、しばらく調整局面が続く可能性があるので注意が必要となる。

 

2011年4月21日以降のイールドスプレッドの平均値のNYダウ:4.218%、S&P500:3.495%、ナスダック:1.967%も下落時の節目となりやすい。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していきますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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