FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

英国議会でEU離脱合意案の採決

いよいよメイ英首相にとっては最も長い眠れない1日がやってきた。市場の話題は英国の議会一色。日本時間明日4時前後から開始されるEU離脱協定案を巡る承認投票は約2時間で終了する予定となっている。とりあえずは議会の採決は行われる模様だが、『承認の目処は全く立ってない』ことは確か。否決後にEU側が3月29日と定められている離脱のデットラインを3ヵ月程度延長する妥協案を出す予定であることも報じられている。ただ、英労働党など野党側はメイ首相の不信任案を動議するか、または、その動議前にメイ首相が自ら辞任する可能性も取り沙汰されている。また、その後はいずれにしても、総選挙になるのか、新たな国民投票が実施されることになるのか、3月29日の離脱日には『完全に間に合わない』ことだけは事実である。

 

日経平均株価:円安を好感して海外短期筋の買いで上げ幅拡大

中国12月輸出入の前年割れで中国景気減速懸念が広がったほか、NYダウの続落を受けて売りが先行した。ただ、1ドル=108円台半ばへの円安を好感してヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)など海外短期筋の先物買戻しに上げ幅を広げた。結局、前日比195円高の2万0555円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高と米長期金利上昇でドル買い戻し

ドル/円は、日経平均株価の続伸に支えられ108.50円付近までじり高となった。米長期金利が時間外取引で小幅ながら上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。午後もこの流れは続き、11日のNY市場で付けた戻り高値108.60円を上抜けすると、ストップロスのドル買い・円売りオーダーを巻き込みながら108.75円付近まで上げた。ただ、英議会でのEU離脱協定案採決を控えて、上値では利食い売りも見られ、108.70円を挟んでもみ合いの展開となった。ユーロ/ドルは、1.14ドル台後半で方向感の乏しい展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国12月貿易統計で米中貿易戦争の影響を実感

中国の12月ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比でプラス予想に反して▲4.4%と、約2年ぶりに大きく鈍化し、同輸入も▲7.6%と2016年7月以来の大幅な落ち込みとなった。米中貿易戦争を背景に輸出の伸びが予想以上に鈍化しているだけではなく、内需の冷え込みの影響が輸入の大幅な減少に表れている。中国の景気減速で世界経済のリスクが高まっている。米中貿易戦争の影響を実感している中国政府は米中貿易協議に積極的な姿勢を示し、国内では政策緩和強めているが、中国経済が2019年に一段と減速するとの見方が強い。2018年の対米貿易黒字は3233億2000万ドルと、前年比+17.2%増加した。黒字額は2006年以来の最大となり、トランプ米政権が貿易協議で中国に一段と圧力を強める可能性はある。 全国乗用車市場情報連合会(乗連会)の発表によると、2018年中国の自動車販売台数は2270万台と前年比で6%減少し、約20年ぶりの前年割れとなった。世界の自動車市場をけん引してきた中国の低迷は徐々にその影響が世界に波及する可能性が高まっている。

 

世界経済の成長への懸念が強まる

米FRBのパウエル議長も、世界経済の成長鈍化に焦点をあてている。中国の輸出やユーロ圏の鉱工業生産の落ち込みが激しい。ユーロ圏11月鉱工業生産は前月比▲1.7%と、市場予想を下回り10月+0.1%から2016年2月以降ほぼ3年ぶり低水準に落ち込んだ。欧州は中国の最大の貿易相手国だ。ユーロ圏の2018年国内総生産(GDP)は+1.9%だったが、2019年には1.5%に伸びが鈍化すると見られている。米国の関税の影響を受けて、中国12月輸出は前年比▲4.4%と、3月来のマイナスに落ち込んだ。下落率は2016年12月来で最大。輸入も前年比▲7.6%と2016年7月来で最低となった。 また、米国経済への懸念も一層強まった。アップルによる異例な業績見通し引き下げに加えて、米銀大手の中で初めて発表されたシティグループの2018年第4四半期決算でも収益悪化が示された。 政府機関閉鎖による経済への影響はおおよそ36億ドル規模に及ぶと報じられた。 政府機関閉鎖により、商務省が発表する貿易収支や小売りなどの発表が延期されており、経済の状況を判断するのも困難な状況となっている。米FOMCの金融政策判断にも影響を与えかねない。かろうじて資金が潤沢な米労働省はワシントンで15日生産者物価指数(PPI)を発表予定だが、悪天候のため、発表が困難になるとの報道もある。

 

トルコリラの重石になる対米関係悪化要因

トルコのチャブシオール外相は14日の記者会見で、トランプ米大統領が13日にツイッターで、トルコが米国と共闘してきたシリアのクルド人勢力を攻撃すればトルコ経済に大打撃を加えると警告したことに対し、『われわれは脅迫を恐れていない。トルコを経済的に脅しても何にもならない』と反発した。同外相は『(トルコと米国が)協調や解決策を見いだすことが重要だ』と指摘した。また、トルコ大統領報道官もツイッターに『トルコはクルド人ではなく、テロリストと戦っている。テロリストは米国のパートナーにはなり得ない』と投稿し、トルコがテロ組織と見なすクルド人勢力への攻勢を続ける考えを強調した。

 

第2のアップルに警戒:米企業の業績に警戒感

米株式市場が企業業績の先行きへの警戒を強めている。市場が予想する主要500社の2019年通期増益率は7%と3年ぶりの低水準のうえ、さらに下振れする懸念が拭えないからだ。米アップルの見通し修正のような景気減速や米中摩擦の悪影響を市場は測りかねている。14日から発表が本格化する18年10-12月期決算で示される企業側の見通しが株価の上値を抑える可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   10月トルコ失業率(予想:11.4%)
○16:45   12月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
○16:45   11月仏財政収支
○19:00   11月ユーロ圏貿易収支(予想:季調済126億ユーロの黒字)
      ユーロ圏貿易収支(季調前)
○20:00   11月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.2%)
○22:30   1月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:10.0)
○22:30   12月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比2.5%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.0%)
○24:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16日01:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○16日03:00   ジョージ米カンザスシティー連銀総裁、講演
○16日03:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
英議会、欧州連合(EU)離脱案採決

※米政府が一部閉鎖されているため、指標の発表は流動的となっています。

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