FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月3日の米国株式市場を先取り!

 

11月29日(木)の米国3市場は、NYダウ:27.59ドル安、S&P500:5.99ポイント安、NASDQ総合:18.51ポイント安となり、全ての指数が小幅に下落した。一方で米長期金利が3.029%と前日3.056%から金利は低下した。そのため、29日付けイールドスプレッドは、NYダウ:▲3.125%、S&P500:▲2.782%、NASDAQ:▲1.239%とイールドスプレッドは拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。

 

29日(木)の米国株式市場は、早期の米利上げ打ち止め観測から前日に617ドルの大幅高となった反動や、FOMC議事録の内容を見極めたいとの思惑から利益確定目的の売りがやや優勢となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表後にプラス圏を回復する場面もあったが、買いの勢いは長続きしなかった。市場では『通商摩擦問題について協議する米中首脳会談を今週末に控えて神経質な展開だった』との声が聞かれた。 VIX指数は18.49から18.79へ上昇した。

 

11月30日(金)の米国3市場は、NYダウ:199.62ドル高、S&P500:22.41ポイント高、NASDAQ:57.45ポイント高と全面高の展開となった。また、米長期金利は前日比低下(価格は上昇)の2.992%と節目の3%割れまで低下した。29日付けPERと株価から逆算すると、30日はNYダウ:16.38倍、S&P500:17.35倍、NASDAQ:23.62倍となる。このPERを基に30日付けのイールドスプレッドを算出すると、NYダウ:▲3.113%、S&P500:▲2.770%、NASDAQ:▲1.242%となる。

 

参考となるのは、10月3日の株価下落直前のピークでは、NYダウ:▲2.468%、S&P500:▲2.146%、NASDAQ:▲0.601%となる。一方で10月29日に底値となったNYダウ:▲3.115%、S&P500:2.865%、NASDAQ:▲1.333%である。

 

30日(月)の米国株は、引けにかけて3指数とも上昇幅を広げたものの、米長期金利が低下した。3指数ともイールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。10月29日の反転した時のイールドスプレッドより縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)となってきた。NY市場では米長期金利が低下したものの、米国3指数がそれ以上に上昇したことから、イールドスプレッドが縮小する結果となった。週明け12月3日(月)では、イールドスプレッドの割安感は徐々に低下してきている。前週のNYダウは1,252.51ドル(5.07%上昇)ほど上昇しており、G20 や米中首脳会談を受けての状況となるが、一旦の利益確定売りなどが入りやすく上値は重そうである。週末の米国市場では米中首脳会談を控えて楽観的な見方が広がったことで、引けにかけて上げ幅を広げた。週明けは米中首脳会談の結果受けての動きとなる。

 

テクニカル的に見てみると、NYダウは、前日に出ていた転換暗示の『寄せ線』から一気に陽線高値引けとなった。そのため、前日ロウソク足に対して上値・下値を切り上げる上昇トレンドが持続しているロウソク足の並びとなった。上値では75日SMAの25,707ドルがレジスタンスとして意識されやすい。一方、米中首脳会談が不調となった場合は、25日SMAの25,182ドルや200日のSMAの25,105ドル、260日SAMの25,064ドルがサポートとして意識される。一旦の上げの勢いが止まると上昇のピッチが速いことから、利益確定売りに押されやすい。

S&P500は200日SMAの2,761ポイントがレジスタンスとして意識され上値を抑えられ終了した。また、NYダウ同様に前日ロウソク足に対して上値・下値切り上げロウソク足となっている。週明けは200日SMAのレジスタンスが上値を抑えるのか、それとも上抜け出来るかが注目点となる。一方で、下値では25日SMA2,715ポイントがサポートするかが注目される。

NASDAQも25日SMA7,225ポイントをサポートとなり上抜けを維持した。ロウソク足は他の指数同様に上値・下値を切り上げるロウソク足となっている。260日SMAの7,412ポイントまで上昇するかが注目される。ただ、他の指数同様、戻りが早いことで週明けのNY市場では上値の重さが意識されやすい。

 

中国からの輸入品の2000億ドル分の関税は、来年から10%から25%に引き上げることが決定している。そのため、米中首脳会談では、中国の歩み寄りで引き上げを延期し、貿易戦争の『一時休戦』が市場では期待されている。もし、関税引き上げの延期が決定した場合、市場は好感する可能性がある。しかし、今の関税でも中国経済は減速傾向が鮮明になっていることや、米国経済もその影響を受け始めている。そのため、延期で経済が上向くわけではないことには注意が必要となる。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していきますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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