FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全般ディフェンシブ株がけん引

前日の米株式市場でハイテク株高を好感した買いが先行し一時上げ幅を150円超に広げたが、世界減速懸念に売りが優勢となり一時下げに転じる景気動向に左右されない医薬品関連株への買いが全体相場を支えた。結局、前日比139円高の2万1646円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米国の感謝際を控え全般様子見ムード

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅が一時150円を超えたことに支えられ、一時113.13円へ上昇した。しかし、FRBの利上げ打ち止め観測が浮上しており、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の失速や中国株安をながめて持ち高調整などのドル売り・円買いが入り112.96円まで下げた。午後は、株価をにらみながら113.00円を挟んでもみ合いとなった。本日は米国が感謝祭で休場のため、積極的な売買は手控えられた。ユーロ/ドルは、1.1395ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

混迷を深める欧州問題

欧州については、欧州委員会が本日、イタリアの2019年予算案に関する制裁手続きの開始を勧告する予定であり、今後の両者の対立再燃による金融市場への影響が改めて注目される。一方、ブレグジットをめぐっては、メイ英首相への保守党党首不信任の動きはまだ限定的にとどまっているようだ。ただ、スペインのサンチェス首相が、ジブラルタルに関する条項修正なければ英離脱合意案に反対する、と主張しており、ブレグジットの前途が混迷の度合いを増す可能性が懸念される。

 

来年にかけてリスク資産の圧縮の可能性も

経済協力開発機構(OECD)は21日、世界経済が急激な減速に見舞われた場合、中央銀行には手段が残されていないため、減税と財政出動が必要になるとの見方を示した。OECDは世界の経済大国が財政出動で協調する用意が必要と主張しているようだが、財政支出の拡大を好まない欧州と米国の立場は大きく異なっている。中国の対応が注目されるが、需要を創出するために大規模な財政出動を行うことはないだろうとみられている。 また、報道によると、OECDのチーフエコノミスト、ローレンス・ブーン氏はインタビューで、『(経済の)軟着陸の予定が実際はより急激な景気悪化となった場合は、協力が必要だ。マクロ政策の道具箱にはあまり武器が残っていないからだ』と答えている。市場関係者の間で2019年の世界経済は予想以上に減速するとの思惑がすでに広がっているようだが、『世界経済の先行きが不透明であることから、リスク資産を一定の水準まで圧縮する動きが広がることは不思議ではない』と指摘している。

 

米中貿易戦争が長引くと中国リスクをはらむ

米中『貿易戦争』が本格化した場合の経済効果は、圧倒的に中国に不利となるという。むろん、中国は金融・財政による政策総動員で景気悪化を回避すべく裁量的な金融緩和に加え、インフラ投資拡大や所得税減税など積極財政に踏み切り、人民元安を容認し米国の関税に伴う需要減少分を吸収している。中国は17年以降、経済安定化の一環として、①民間企業の債務削減(デレバレッジ)、②非効率な国有企業の改革—等に乗り出し、一定の成果を上げてきたが、トランプ政権が仕掛けた米中『貿易戦争』で景気が減速、否応なく政策転換を余儀なくされた。
もっとも、政策総動員による金利上昇が債務水準の上昇となって副作用をはらみつつある。国際決済銀行(BIS)資料によれば、中国政府の債務比率は対GDP比50%と現時点では危険水域とは言い難い。しかし、過剰債務体質は金利上昇に脆弱であり、5年程度で対GDP債務水準が300%を超える可能性が懸念される。米中『貿易戦争』激化はそうした債務比率上昇となって資本流出リスクを高め中国経済及び株価に試練となる。

 

米国にも貿易戦争の返り血が降りかかりつつある

米国経済及び米国株に米中「貿易戦争」激化の返り血が降りかかりつつある。18日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)で通商問題を巡る米中の溝が改めて浮き彫りになり、貿易交渉への不透明感や住宅指標落ち込みが投資家心理を冷やし19日、20日の米ダウ平均はそれぞれ前週末比395ドル安、前日比551ドルの大幅安を余儀なくされた。特に、ハイテク株のシンボルであるアップル株が10月高値から下落率が20%を超え、高値から2割下落は『上げ相場』終焉、『弱気相場』の足音が忍び寄りつつある。アルファベット(グーグル)も7月高値からすでに下落率が20%に到達、米株高を牽引してきた『GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)』4銘柄すべてが『弱気相場』入りの様相を呈する。米WSJ紙(19日)電子版は『(アップルの)3機種の新製品全てで生産発注を減らした』と報じて前週末比の下落率が一時4%超へ広げ、フェイスブックやアマゾンも3-5%下落、ナスダック指数は前週末比3.0%安と急落し4月下旬以来約7ヶ月ぶり安値に沈んだ。

 

欧米イベント

○16:45   11月仏企業景況感指数(予想:104)
○17:15   7-9月期スイス鉱工業生産指数(予想:前年同期比6.2%)
○21:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(10月25日分)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:6.50%で据え置きと6.75%に引き上げで拮抗)
○24:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲3.0)
○23日01:30   バイトマン独連銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、ビスコ・イタリア中銀総裁が会合に参加
○23日02:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23日05:55   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○米国(感謝祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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