FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2023/12/15/15:15:43

日経平均株価:米株高と円高進行一服を好感

前日の米市場で金利低下・株高となったことや為替の円高進行が一服したことを好感して、日本株は堅調に推移した。指数寄与度の大きい半導体関連株が相場を押し上げ、相場をけん引した。18-19日に日銀の金融政策決定会合を控える中、市場では、株価の方向感が出てくるのは、来週後半(日銀会合後)ではないかとの声が聞かれた。とりわけ、日銀会合を経て為替がどのように反応するかが注目されている。結局、前営業日比284円高の3万2970円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:FRBの利下げへの思惑からドルの上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、142円台前半から142円台半ばへ水準を切り上げた。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、18~19日に開催される日銀金融政策会合のイベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、今週に行われた米連邦公開市場員会(FOMC)が予想外にハト派的な内容となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げベースが加速するとの思惑からドル売り・円買いに押されて142.00円近辺へ値を下げた。午後は、FRBの利下げ観測が高まっていることから、海外投機筋などがドル売り・円買いに動き、142.00円付近から一時141.57円付近まで下落した。オフショア市場での人民元高・ドル安が波及した面もあった。その後は、値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、値を切り返して141.80円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、フランスやドイツの12月購買部担当者景気指数(PMI)速報値を見極めたいとの雰囲気から、1.090ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ECB理事会は予想以上にタカ派で緩和が遅れれば一段の利下げ迫られる=ドイツ銀

欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、政策金利を2会合連続で据え置くと決めた。声明文では、インフレ率が「再び一時的に上昇する可能性が高い」との文言を盛り込んだほか、ラガルド総裁は理事会後の記者会見で「我々は利下げを議論していない」と述べ、市場の早期利下げ観測をけん制する場面があった。ドイツ銀行は14日付リポートで「このトーンは予想以上にタカ派的で、ECBが3月の理事会直後に利下げするリスクを低下させた」と指摘。ECBがインフレ率見通しを24年に2.7%と従来9月時点の3.2%から予想を下方修正し、25年は2.1%で、新たに加えた26年は1.9%としたのを踏まえ、「ECBのインフレ予想は高すぎる」とも指摘。そのうえで、「ECBは24年のインフレ率が目標に戻るスピードに驚き、4月からの利下げと来年末までの150bpの利下げという我々の見方を維持すると予想する。緩和サイクルが遅れれば、ECBは一段の利下げを迫られる可能性がある」との見解を示した。新型コロナウイルス禍対応で導入した資産購入策の特別枠(PEPP)は、従来は少なくとも24年末までは償還があった分の再投資を続ける方針だったが、完全な再投資を24年上半期までとした。下半期から月平均75億ユーロずつ削減し、24年末で再投資を打ち切る方針を示した。リポートでは「ECBはPEPPからの離脱を表明しているが、域内利回り格差が広がるフラグメンテーション(分断)リスクに対処するために必要であれば、24年まで柔軟な再投資を行うオプションを維持している」と分析した。

 

南アではインフレが抑制されている

昨日発表された南アフリカ卸売物価指数(PPI)は、前日に発表された消費者物価指数(CPI)に続いて市場予想よりも低下した。インフレが抑制されていることは南アにとっては好要因ということもあり、ランド売りには傾いていない。すでに政策金利が8.25%と高い水準で、国民や国の財政が苦しんでいることもあり、インフレ低下による利下げは決して南アにとっては悪いことではない。

 

メキシコ政策金利は据え置きは6会合連続

メキシコ中銀は14日開いた金融政策決定会合で、政策金利(11.25%)の据え置きを決めた。決定は全会一致で、据え置きは6会合連続となった。中銀は声明で「メキシコ経済は引き続き成長しており、労働市場も堅調だ」と説明した。米シティグループ系のバナメックスが5日公表したリポートによると、市場参加者の多くが、2024年2~3月にも中銀が利下げに踏み切る可能性が高いとみている。中銀のロドリゲス総裁も11月下旬、24年前半の政策決定会合で「利下げを議論する可能性がある」と認めている。メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)によると、11月の消費者物価指数は前年同月比4.32%上昇して10カ月ぶりに前月の上昇率を上回った。ただ、7月以降は5カ月連続で5%を下回る水準が続いている。食料品などの価格高騰が一服し、22年に8%を超えていたインフレ率も落ち着きを取り戻している。

 

米個人に広がる楽観で弱気派が約6年ぶりの少なさ

米個人投資家協会(AAII)が毎週算出するアンケートによると、13日時点で今後6カ月の相場について『強気(ブル)』と答えた比率は51.3%と前週から4.0%ポイント上昇し、7月中旬以来の水準を付けた。『弱気(ベア)』と答えた比率は19.3%と8.1%ポイント低下し、18年1月10日時点(15.56%)以来約6年ぶりの少なさとなった。米主要株価指数が年初来高値を更新する中、米個人投資家の間で楽観ムードが強まっている。

 

米MMFの資産残高は10月以来の減少

米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)の資産残高が過去最高水準から減少した。四半期の納税期限を控えているほか、資金フロー転換の兆しである可能性が高い。来年の利下げ見通しを受け、投資家はよりリターンの高い他の資産に目を向けている。米投資信託協会(ICI)のデータによると、13日までの1週間に米MMFから流出した資金は約116億ドル(約1兆6500億円)。総資産は5兆8860億ドルと、前週の5兆8980億ドルから減り、10月18日終了週以来の減少となった。米金融当局が数十年ぶりの積極的な引き締めサイクルを開始した昨年以来、個人投資家はMMFに押し寄せてきた。だが当局は今週、2024年についてより大幅な利下げを予想し、引き締め局面が終了したことを示唆した。

 

積極的な利下げならバイデン再選に追い風:ユーラシア

12~13日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の四半期経済見通し(SEP)で、24年に25bpで3かいの利下げを行う見通しが示された。ユーラシア・グループは14日付のリポートで、パウエル議長は、最近の米連邦準備理事会(FRB)のメッセージとは正反対のハト派的なメッセージで、われわれと市場を驚かせたとしながら、「より早期で、より積極的な利下げは、24年後半に予定されている大統領選挙で接戦が見込まれているのを前に、金融環境の早期緩和と景気回復のための追加支援を提供し、苦戦しているバイデン大統領の再選への追い風となるだろう」との見解を示した。リポートでは、インフレ見通しが下方修正され、24年の成長率はわずかに低下したものの、失業率は引き続き低い見通しとなったとしながら、「それでも、急な方向転換を理解しようとすれば、景気後退への懸念がFOMCに重くのしかかっていることは用意に推測できる」と指摘した。その一方、金利先物市場で現在、来年3月から始まる25bpで6回の利下げを織り込んでいることについては「我々の見解では、その結果は現在の市場価格よりもFOMCの予測に近くなる可能性が高い」とし、市場の利下げ期待がいずれFRB予想並みに修正されると見込んだ。

 

欧米市場イベント

○16:45   11月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比3.4%)
○17:15   12月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:43.3)
○17:15   12月仏サービス部門PMI速報値(予想:46.0)
○17:30   12月独製造業PMI速報値(予想:43.2)
○17:30   12月独サービス部門PMI速報値(予想:49.8)
○18:00   12月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:44.6)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:49.0)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:30   12月英製造業PMI速報値(予想:47.5)
○18:30   12月英サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○19:00   10月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済100億ユーロの黒字)
○19:00   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:16.00%に引き上げ)
○20:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、記者会見
○20:20   バスレ・スロベニア中銀総裁、カジミール・スロバキア中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁、シクルーナ・マルタ中銀総裁、シムカス・リトアニア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○22:15   11月カナダ住宅着工件数(予想:25.71万件)
○22:30   10月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲1.1%)
○22:30   10月対カナダ証券投資
○22:30   12月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:2.0)
○23:15   11月米鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
          設備稼働率(予想:79.1%)
○23:45   12月米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:49.3)
○23:45   12月米サービス部門PMI速報値(予想:50.6)
○23:45   12月米総合PMI速報値(予想:50.5)
○16日02:25   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○16日06:00   10月対米証券投資動向
○南アフリカ(希望の日、祝賀・団結の日)、休場

 

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2023/12/14/15:14:25

日経平均株価:政局不安や円高を嫌気した売りが優勢に

米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げサイクルの終了が示唆され、米国株は大幅続伸となったものの、日本株は急速なドル安・円高を嫌気し、寄り付き以降は総じてさえない展開になった。個別では円高による企業業績の悪化懸念で輸送用機器が軒並み下落し、トヨタ自動車が3%超安となった。日本株は日銀の政策修正観測のほか、自民党の政治資金を巡る政局不安が相場の重しになっているとの見方もある。結局、前営業日比東証が14日発表した12月第1週(4日~8日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は5868億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続。個人投資家は4194億円買い越しとなり、買い越しは2週連続。信託銀行は1270億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の4%割れでドル売り強まる

ドル/円は、12~13日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)が予想外にハト派的な内容で、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが加速するとの思惑から下値を模索する展開となり、141.80円付近へ下落した。米長期金利が節目の4.00%を割り込んで低下したこともドル売りにつながった。午後は、本邦長期金利の上昇や日経平均株価の下げ拡大を眺めて141円を割り込み、一時140.97円付近まで急落して7月下旬以来となるドル安・円高をつけた。7日のNY市場でつけた直近の安値141.60円を下回ったことで、継続的にストップロスのドル売り・円買いオーダーも観測された。ただ、今晩発表される11月米小売売上高などの指標を見極めたいとの雰囲気から下げ一服した。その後、前日のNY市場から急ピッチの下げが続いていたため、利益確定や持ち高調整のドル買い・円売りが入り、値を切り返して141円台半ばを中心に取引された。ユーロ/ドルは、FRBの利下げ観測を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.0890ドル台で方向感に欠ける値動きとなった。今晩予定されている欧州中央銀行(ECB)理事会やラガルド総裁の定例記者会見を見極めたいとのムードが広がっている。

 

トリシェ元ECB総裁が利下げについて言及

元欧州中央銀行(ECB)総裁のトリシェ氏は13日、ブルームバーグテレビのインタビューで「最初の利下げが米国ではなく、欧州になると考えるのは不合理とはいえない」と語った。米国では景気やインフレが底堅く推移しており、利下げ開始は米連邦準備理事会(FRB)よりもECBが先になる可能性があるとの考えを示した。12日発表された11月の米消費者物価指数(CPI)で食品とエネルギーを除いたコア指数の上昇率は前年同月比で4%と高止まりしていた。トリシェ氏は「コア指数こそがインフレが減速基調となり、物価安定と定義される2%の水準に到達するかを示す指標だ」と主張。そのうえで、利下げ開始は「欧州よりも米国ではやや難しくなるかもしれない」と語った。ECBは14日に定例の理事会を開き、政策金利を発表する。市場では早ければ2024年3月にも利下げに踏み切るとの思惑が高まっているが、トリシェ氏は非現実的だとして来年の上半期の終わりが近付くと利下げがより合理的になると見込んでいる。

 

米MMFへの流入止まらず:バーンスタイン

バーンスタインは13日付リポートで2023年10~12月期のファンド・フローを分析した。リポートでは、マネー・マーケット・ファンド(MMF)の現金の壁がますます高くなっていると指摘。10~12月期の期初からの10週間で合計3700億ドルが流入したという。 米国の株式ファンドは10~12月期の10週間で650億米ドルの資金を受け入れ、流入額は7~9月期の418億米ドルから増加しており倍増ペースを維持している。欧州株式ファンドについては今四半期も投資家が売り続けており、これまでに123億ドルの資金が流出した。ただし、流出ペースは前四半期から鈍化傾向にある。日本の株式ファンドは、7~9月期の資金流入が好調だったのに続き、10~12月期は流出に転じた。もっとも、10~12月期の流出ペースは比較的軽く、直近10週間の総流出額は25億ドルにとどまるという。

 

FOMCでは利下げタイミングを検討:US Dashboard

13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で、米フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を現行の5.25~5.50%に据え置くと決定したことが公表された。3会合連続での据え置きで、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は会見で利下げの時期について議論したことを明らかにした。米利上げサイクルが終結し、利下げへと転換したと金融市場は受け止めた。同時に公表された政策金利見通し(ドットチャート)では、2024年末の中央値との見通しを示した。総じてみれば、FOMCメンバーの大勢はインフレ沈静化に自信を持ち景気減速に対応した利下げ(金融緩和)を見通すものの、年8回のうち利下げ開始は年後半あるいは極めて緩やかなペースを想定していることを示したと考えられる。

 

ガンドラック氏は米長期金利は来年3%台前半に:米CNBC報道

「新債券王」の異名を持つ米資産運用会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は13日、米CNBCのインタビューで「来年のどこかで米10年物国債の利回りは3%台前半になるのではないか」と予想した。米連邦準備理事会(FRB)は13日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の維持を決定。あわせて公表した政策金利見通しでは2024年に0.25%の利下げを3回実施することを示唆し、長期金利の指標となる米10年物国債の利回りは一時4.00%と8月以来の低水準をつけた。ガンドラッグ氏は米長期金利について「4%を下回れば、景気に火災警報が鳴っているようなものだ」と指摘。政策金利見通しで明らかになった3回の利下げに関しては「そうなる可能性は極めて低い」としつつも、「仮にそこまで利下げするのであれば、それ以上に利下げしなければならないことになるだろう」と語った。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比6.0%)
        コア指数(予想:前月比0.5%/前年比3.9%)
○16:30   11月スイス生産者輸入価格
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○18:30   11月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比5.5%)
○21:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:5.25%で据え置き)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
○21:00   10月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.8%)
○22:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○22:30   10月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲2.7%)
○22:30   11月米小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/188.7万人)
○22:30   11月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.8%)
○22:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○24:00   10月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○15日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○欧州連合(EU)首脳会議(15日まで、ブリュッセル)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2023/12/13/15:12:23

日経平均株価:日銀短観が強い内容だったことを好感した買い

米株が上昇した流れを引き継いだほか、日本企業の景況感をまとめた日銀短観が強い内容だったことを好感した。心理的節目の3万3000円近辺では上値が重くなり、市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表前に取引を手控える動きが広がっているとの声があった。市場では、FOMCを控えているものの、年末に向けて株価が上がるアノマリー(季節性)を期待する投資家も少なくない。乗り遅れまいと買っている投資家は一定数いる。結局、前営業日比82円高の3万2926円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:FOMC結果発表を控えた持ち高調整の売買中心

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅拡大に支えられ、145.60円付近へ上昇した。米長期金利が持ち直したことも、ドルの押し上げにつながった。その後、米長期金利が再び低下するとドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて145.40円台を中心に取引された。午後は、米FOMC結果発表を控えた持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、一時145.70円付近までじり高となった。ただ、前日の海外市場でつけた高値145.85円が視野入りすると上げは一服した。その後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、小幅に値を下げて145.55円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.07ドル台後半で小動きに終始した。

 

トルコはギリシャと仲直り?

先週のトルコ外交で最も重要なニュースと言えば、エルドアン大統領が6年ぶりに隣国ギリシャを訪れた。歴史上トルコとギリシャは対立することが多く、ここ数年も溝が埋まりつつあるかと思えば関係悪化の繰り返しだった。しかしながら今回、エルドアン・トルコ大統領とミツォタキス・ギリシャ首相は友好宣言に署名し、今後は良好な関係性を築いていくことを誓った。報道によれば、2人の首脳は「両国間に解決できない問題はない」とまで言い切っている。会談の結果で強調されたことの1つは、2国間貿易の総額をこれまでの2倍となる年100億ドルまで拡大することだった。5月のトルコ総選挙後、エルドアン政権は金融・財政政策の正常化を進めている。しかしながら、同国経済は依然としてインフレ高騰に苦しめられており、通貨安にも歯止めがかからない。来年には重要な地方選挙を控えているため、エルドアン政権にとっては経済のテコ入れは絶対である。またギリシャとの接近は、同国が加盟する欧州連合(EU)との関係改善を見越したものとも言える。キプロスを巡るトルコとギリシャの意見の相違はまだまだ大きいものの、まずは経済優先の関係性をトルコは重視せざるを得ない。

 

南アの複数の経済指標発表に注目

本日は南アからも複数の経済指標が発表される。11月のCPIは前年比で+5.6%と、10月の+5.9%から低下する予想になっている。これは、11月に入り南ア国内のエネルギー基準価格が大幅に下がったことが起因となっている。また、10月の小売売上高は前年比で予想は+0.9%となっているが、これは昨年10月の小売りが非常に弱かったことが原因で、前月比では+0.1%程度と伸びが弱いままの予想である。これらの指標で警戒するべきことは、インフレ率が予想より高く、小売りが予想より弱い場合である。7-9月期の国内総生産(GDP)がマイナスとなっていることで、インフレが高止まり小売りが伸びなければ、スタグフレーション懸念が高まりそうである。

 

FOMC直前のFedウオッチは24年に5回利下げを見込む

米金利先物の動きから米政策金利を予想する「Fedウオッチ」では、5月に利下げに転じ、2024年末の政策金利は4.125%と5回の利下げを見込む。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示されたドットチャートの中央値は、23年末が5.625%、24年末は5.625%だった。12月は現行の政策金利(5.375%)の据え置きが確実視されており、ドットチャートは下方修正される公算が大きい。修正幅が大きければ早期利下げ観測が広がる可能性がある。一方、市場の想定とのかい離が大きければタカ派的と受け取られ、金利上昇要因になる可能性もある。

 

★S&P500に今年さらなる上昇は限定的:カナコード

カナコード・ジェニュイティは12日付リポートで10月末以降の米株式相場の反発局面を踏まえ、過去の類似した展開に関する分析を示した。限られた例ではあるものの、8~10月に連続して相場が下落した場合、その後は年末まで上昇が続き、S&P500種株価指数では5~8%上昇した。米大統領選挙前の10~12月期に関しては、1952年以降のS&P500のリターンの中央値と最大ドローダウン(ピークから最大下落)はそれぞれ7.80%、5.93%だった。こうした過去の例を踏まえ、S&P500種株価指数が今年10~12月期に8%超上昇していることから、さらなる上昇は限定的とみていると指摘。さらなる上振れには「お金の見通しにもっと劇的な改善が必要」とも指摘。そのうえで、「このような変化は米連邦準備理事会(FRB)の大幅な基調変化と政策金利の引き下げによって導かれなければならない。これは米国債、住宅ローン、企業信用の市場金利低下につながる」との見解を示した。リポートでは、「広範な市場で売られ過ぎの上昇と年末の追い上げを正当化するには十分な改善が見られたが、我々のコア・テーゼである転換を正当化する経済の再加速を生み出すにはまだ十分ではない。ただし、24年初頭にはその時が来ると予想している」との認識を示した。

 

米国ではディスインフレ傾向は維持されている:ノムラ

12日に発表された11月の米消費者物価指数(CPI)でコアCPIが前月比0.3%上昇し、前年同月比でも4.0%上昇となり、市場予想に一致した。ノムラ・セキュリティーズは12日付のリポートで、「11月のCPI上昇は主に、中古自動車や自宅から放れた宿泊施設など、10月に予想外の下落があった構成要素の平均回帰によるものだった」との見解を示した。リポートでは、スーパーコア・サービスのインフレ率と、住宅所有者が持ち家に払っていると想定して計算される帰属家賃(OER)のインフレ加速がインフレ圧力のリスクを高めるとしながらも、「ディスインフレ傾向は維持されているように見える」とも指摘した。コアCPIの年率6カ月平均は、前月時点の3.2%から2.8%へと引き続き緩やかになったという。その上で、コア財と賃料が主導するディスインフレ傾向は中期的に継続するとの見解を維持しながら、「米連邦準備理事会(FRB)は12月米連邦公開市場委員会(FOMC)で経済見通しの概要とドットプロットをハト派的に修正する可能性が高い」と指摘。FRBが24年6月に予防的な利下げに踏み切り、予想されるリセッションを受けて9月には積極的な利下げサイクルを開始するとみていた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○16:00   10月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.1%/前年比1.1%)
○16:00   10月英製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○16:00   10月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:143.00億ポンドの赤字/21.50億ポンドの赤字)
○17:00   11月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比5.6%)
○18:30   11月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○19:00   10月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年比▲4.6%)
○20:00   10月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.9%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   11月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.0%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○14日00:30   EIA週間在庫統計
○14日01:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比5.5%)
○14日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:5.25-5.50%で据え置き)
○14日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○14日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○14日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:11.75%に引き下げ)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2023/12/12/15:10:22

日経平均株価:利益確定売りも出て上値の重い展開

前日の米株高や半導体関連株上昇の流れを引き継いでハイテク銘柄がしっかりと推移し、相場を押し上げた。ただ、アジア時間に入り為替が円高に進んだことが重しとなったほか、日経平均が節目の3万3000円台を回復すると利益確定の売りも出て、上値の重さが意識された。市場では、日経平均株価が3万3000円台を回復し、戻り待ちの売りがが出ているほか、今週から来週は米日で金融政策イベントも予定されており、上値が重くなりやすいとの意見が聞かれた。国内政治の不透明感の強まりなどを背景に午後にかけては前日終値近辺まで伸び悩む場面があった。結局、前営業日比51円高の3万2843円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定やポジション騰勢のドル売りやや優勢

ドル/円は、前日の東京市場から一本調子の上昇が続いていたため、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押され、145.55円近辺へ軟化した。日銀が早朝に金融緩和を修正するとの観測が一部で浮上していることも円買いにつながった。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、145.80円付近へ値を戻した。午後は、米長期金利や日経平均株価の伸び悩みがドル売り・円買い要因となり、一時145.34円付近まで下落した。ただ、今晩発表される11月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。ユーロ/ドルは、1.07ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英中銀は利下げ観測に今週抵抗の公算

イングランド銀行(英中央銀行)は来年6月までに利下げするとの観測が市場で高まる中で、金融政策委員会(MPC)の金融政策決定を14日に公表する。英エコノミストによれば、政策金利が来年も高止まりせざるを得ないと警告する機会に利用する可能性がある。ベイリー総裁とMPC委員らは、金利が当面15年ぶりの高水準にとどまる必要があるというガイダンスの裏付けとして、インフレに対する根強い懸念を強調してきた。ラボバンクのシニアマクロストラテジスト、ステファン・コープマン氏は「21、22年にインフレで非常に不運な経験をしたことで、これが維持できないと痛々しいほど明らかになるまで、MPCはより高くより長くという戦略に引き続き固執するだろう」と見解を示した。

 

トルコ中銀の利上げがリラの重し

トルコ中銀の高金利政策が経済成長を鈍らせつつあることもリラの重しである。昨日発表された10月鉱工業生産は前月比-0.4%と前回-0.1%から減速し、4カ月連続のマイナスを記録した。また、改善が期待された10月経常収支も黒字は維持したが、その幅は1.9億ドルと予想の黒字幅7.5億ドルを大きく下回った。

 

メキシコ中銀の14日金融政策会合に注目

今週の国内イベントとしては、14日(日本時間4時)のメキシコ中銀の今年最後となる金融政策決定会合がある。先日発表された四半期インフレリポートではロドリゲス総裁やメヒア副総裁、ヒース理事が来年の利下げを支持していることが判明した。声明文で利下げについての文言が追加されるかどうかに注目である。

 

米消費者の短期インフレ見通しは約2年ぶりの低水準:US Dashboard

11日に米NY連邦準備銀行が発表した。11月の消費者調査では、短期のインフレ見通し(1年先のインフレ期待)が3.4%と10月の3.6%から0.2ポイント低下した。2カ月連続の低下で、2021年4月以来の低水準となった。ガソリン価格の予想が前月比0.5ポイント低下の4.5%、大学教育費が0.2ポイント低下の5.8%(21年1月以来の低水準)、家賃が1.1ポイント低下の8.0%(21年1月以来の低水準)となったことが主因である。3年先と5年先のインフレ期待は3.0%、2.7%と横ばいだった。一方、労働市場の予想はやや悪化した。賃金などの所得増への期待は0.1ポイント低下の2.7%となり、21年9月以降続いていた2.8~3.0%という狭いレンジを下方に割り込んだ。60歳以上の回答者が慎重だった。家計収入増への期待は3.1%と横ばいだった。

 

ゴールドマン「米利下げは来年2回」で初回を第3四半期に前倒し

ゴールドマン・サックスは、インフレ鈍化を理由に米連邦準備理事会(FRB)が来年2回利下げすると予想、最初の利下げ時期を第3・四半期に早めた。これまで最初の利下げは来年12月と予想していた。2回利下げが実施されれば、2024年末のフェデラルファンド(FF)金利は4.875%となる。8日発表された米雇用統計は労働市場の予想以上の好調さを示したが、市場は来年3月に最初の利下げがある可能性をある程度織り込んでいる。ゴールドマンのエコノミスト、ヤン・ハチウス氏は12月10日付のメモで「健全な成長と労働市場のデータは、保険的引き下げが差し迫ったものではないことを示唆する。しかしインフレの緩和で、正常化のための利下げは少し早まる可能性がある」と述べた。 もっとも、インフレ減速を受け、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの一部が従来よりも多い利下げを想定するかもしれないが、それ以外は、市場の見方が利下げに傾斜するのを防ごうとするだろうとの見方を示した。

 

24年末のS&P500は来年も米経済が底堅くEPSは9%増:オッペンハイマー

オッペンハイマーは11日付リポートで2024年のS&P500種株価指数の目標株価について言及した。24年末のS&P500は5200とし、1株利益(EPS)は240ドル、株価収益率(PER)は21.7倍、EPS成長率は9%と予想した。23年は急速な利上げが実施されたものの、「多くの人が予測していた23年の米国経済のリセッション(景気後退)に陥らなかったことは、非常に驚くべきことだ」と指摘。24年は米連邦準備理事会(FRB)が警戒を続ける中でも、「強じん性(レジリエンス)は経済成長、雇用、消費者、企業収益に関わる、今後も重要なキーワードであり続ける」とも指摘。米経済の底堅さを踏まえ、FRBによる金融政策について、「少なくとも来年後半まで、そしてインフレがさらに堅調になった場合にはおそらく10~12月期まで利下げを待つだろう」とみていた。

 

米国市場では11月消費者物価コア指数:予想は前年比+4.0%

10月実績は前年比+4.0%だった。サービス、住居費の上昇率は鈍化しており、この傾向は11月も変わらないとみられている。そのため、11月のコアインフレ率は10月実績と同水準が若干下回る見込み。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   11月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移1.50万件/失業率なし)
○16:00   8-10月英失業率(ILO方式、予想:4.2%)
○19:00   12月独ZEW景況感指数(予想:8.8)
○19:00   12月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00   10月インド鉱工業生産(予想:前年同月比10.0%)
○21:00   11月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.70%)
○21:00   11月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.70%)
○21:00   10月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲0.1%)
○22:30   11月米CPI(予想:前月比横ばい/前年比3.1%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比4.0%)
○13日02:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○13日03:00   米財務省、30年債入札
○13日04:00   11月米月次財政収支(予想:3010億ドルの赤字)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○メキシコ(聖母グアダルーペの日)、休場

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2023/12/11/15:13:21

日経平均株価:円高一服を好感した買い優勢に

前週末の米国株の上昇に加え、外為市場で急速に進行していたドル安/円高が一服したことが好感された。前週の株安を受け、自立反発期待の買いも優勢となった。一方、心理的節目の3万3000円手間では上値が重く、買い一巡後はもみ合いが継続した。8日に発表された米雇用統計が底堅い内容となり、利下げ観測が後退してドル安/円高が一服したことも、株価を押し上げる要因となった。ただ、買い一巡後は週内の米連邦公開市場委員会(FOMC)などを控え伸び悩んだ。結局、前営業日比483円高の3万2791円で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が小幅上昇でドルは底堅く推移

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、145.50円台へ上昇した。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて145.40円前後で取引された。午後は、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測がやや後退していることから、海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、一時145.67円付近までじり高となった。オフショア市場での人民元安・ドル高が波及した面もあった。ただ、今週予定されている11月米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、日銀が早期にマイナス金利を解除するとの見方からドル売り・円買いも見られ、145.50台を中心とする狭いレンジで推移した。ユーロ/ドルは1.0765ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが11日算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買い比率は8日時点で57.8%だった。前の週末から2.5ポイント低下した。一時1ドル=141円台に急伸した円相場が再び145円台に戻る局面で、相場の流れに逆らう「逆張り」と戦略をとる傾向の強い個人投資家は円買い・ドル売りを増やした。前週の外国為替市場では7日に一時141.60円と8月上旬以来の高値をつけた。だが、11月の米雇用統計の結果などを受けて8日には145円台前半まで円安・ドル高が進み、FX勢は円買い・ドル売りの持ち高を形成した。日銀がマイナス金利政策を早期に解除するとの観測が急速に広がったことで円相場の値動きは荒くなっており「早めに円売り・ドル買いの持ち高を解消しておく動きが出た」との指摘もあった。「豪ドル/円」取引での豪ドル買い比率は前の週末比15.1ポイント高い63.5%と、10月下旬以来の高水準となった。豪準備銀行(中央銀行)の利上げの打ち止め観測が強まったとして豪ドルが対円で下げる局面で、逆張りの個人が豪ドル買い・円売りを増やした。

 

英中銀は来年8月に利下げ開始し急ペースで緩和へ:ゴールドマン

ゴールドマン・サックス・グループは10日、バンク・オブ・イングランド(英中央銀行)の金融政策について、来年8月に利下げを開始した後、従来予想よりも速いペースで追加利下げを進めるとの見通しを示した。ヤリ・ステーン氏らエコノミストはリポートで、英中銀が最初の0.25ポイント利下げに続き、その後の毎回の会合で同幅の利下げを進め、2025年半ばに3%に達するまで政策金利を引き下げると予想。従来は四半期ごとに1回のペースの利下げを見込んでいた。ゴールドマンのエコノミストは「こうした急ペースは過去の利下げサイクルや、欧州中央銀行(ECB)を巡る当社の新たな見通し、一段と急速なインフレ鈍化予想に一層沿ったものだ」と説明した。

 

FRBやECBが今年最後の政策決定へ

世界的にインフレサイクルがどのように転換しているのか不安がある中、今週はワシントンからフランクフルト、ロンドンなどに至る世界各地の中央銀行が今年最後の金融政策決定を下す。主要10通貨(G10)諸国・地域のうちの半数の金融政策当局が今後数日に会合を開く予定で、世界経済の60%の金利が60時間の間に決まることになる。最も注目されるのは13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)。14日には欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)などがそれに続く。
借り入れコストを引き上げる可能性があるノルウェーを除いて、大半の政策当局は金融緩和への転換を急いでいない理由を説明するよう求める金融市場の圧力に直面している。同時的に起きているインフレデータの弱含みと景気軟化を示す一部証拠を受けて、投資家は2024年前半の利下げ観測を強めている。こうした見方は、米金融当局などの中銀が3カ月余り前に唱えた「より高くより長く」の方針と衝突する可能性がある。JPモルガン・チェースのグローバル分析部門責任者、ジョイス・チャン氏は「このディスインフレの状況が持続可能かどうか様子見している、というのが中銀当局者らの姿勢だ」と指摘。「来年の後半まで利下げはないと当社では考える」と述べた。

 

2024年に向けた南アのリスク

先週、クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁が現地の報道機関のインタビューで、2024年に向けて主に3つのリスクがあると述べている。1つ目は、先進国の金利が長期間にわたって高止まりする可能性がある。先進国が高金利を維持することで、南アをはじめとした新興国から資金が流出し、ランド相場に悪影響を及ぼすリスクがあるとしている。2つ目は、世界の地政学的な緊張が予想よりも長く続くことになることと指摘している。ロシアとウクライナの戦争開始時に、SARBのエコノミストは短期、中期、長期の戦争のシナリオを描いていた。1年を超える戦争は長期シナリオでしたが、今でも戦争は終わりに近づいていないことで「地政学的な緊張は、穀物、食料、ガスの価格、肥料などにさまざまな影響を及ぼしている」「エネルギー価格は食料価格に影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

 

米メキシコ国境での薬物押収量が激減

米国税関国境警備局のデータによると、メキシコとの国境で押収された違法薬物フェンタニルの量が4月から10月にかけて約60%減少した。これは、米国が「チャポの息子」ことシナロア・カルテルのグスマン兄弟をフェンタニル密輸の罪で起訴した後の動き。セキュリティ専門家の見方では、グスマン兄弟が米政府への譲歩からフェンタニルの密輸量を意図的に減らしている可能性がある。一方、押収量の減少が実際の密輸減少を反映しているかは不確実とのこと。ジャリスコ新世代カルテルなど他組織による供給が影響している可能性があるほか、米国のフェンタニル需要自体が減少している影響も指摘されている。メキシコ当局もフェンタニル取り締まりを強化しており、1-11月の押収量は過去最多。米国との法執行協力が密輸撲滅のカギとなる。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月トルコ経常収支(予想:7.5億ドルの黒字)
○16:00   10月トルコ失業率
○16:00   10月トルコ鉱工業生産
○16:00   11月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比4.9%)
○12日01:30   米財務省、3年債入札
○12日03:00   米財務省、10年債入札

 

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