FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/07/02/15:11:40

日経平均株価:東京都内の新規感染者100人以上を嫌気し売り

前日の米国株式市場でナスダックが上伸したことが好感され小高く始まったものの、失速してマイナス転換した。そこからしばらくは前日終値近辺で一進一退が続いた。ただ、アジア株の堅調スタートを確認すると上げ幅を広げる展開となった。しかし、午後に東京都内で新型コロナウイルスの新規感染者が100人以上になったと伝わり、一時下落に転じる場面もあった。ただ、アジア株やNYダウ先物が堅調なこともあり、再びプラス圏に転じて推移した。結局、前営業日比24円高の2万2145円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価ながめ107円半ば前後でもみ合い

ドル/円は、米国で南西部中心に新型コロナの新規感染者が増加していることが嫌気され、107.34円付近まで下落した。しかし、今晩発表される米6月雇用時計を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、107.55円付近へじり高となった。午後は、日経平均株価の伸び悩みをながめ、107.45円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1260ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

フォルクスワーゲン(VW)はトルコでの工場建設の中止を発表

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、トルコで計画していた11億ドル規模の工場建設の中止を発表した。昨年10月のトルコ軍シリア侵攻に対する国際的な批判の高まりを考慮し、VWは新工場建設に関する最終決定を延期した。今回の中止決定は、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の停滞で、需要回復の見通しが立たないことが大きな要因である。自動車製造に力を入れるトルコにとってかなりの痛手であり、期待していた雇用創出も消えた。トルコへの外国からの投資減は通貨リラを買い難くする材料となる。

 

リビア情勢でトルコとフランスとの対立深まる懸念

リビア情勢でトルコと立場を異にするフランスは1日、地中海での北大西洋条約機構(NATO)の作戦参加を一時取り止めると発表した。先月、仏海軍の船がトルコ軍に妨害を受けたことが理由とされる。フランスはリビアでの権益を守ろうと必死であり、トルコが支援する暫定政権軍が現状優位とされるなか、今後もトルコに様々な圧力をかけてくると思われる。トルコは反発し続けるが、欧州連合(EU)主要国との溝の深まりは、欧州と経済的な結びつきが強いトルコ経済にとり決して望ましいことではない。

 

新型コロナウイルスのワクチンで良好なデータが得られる

米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックは1日、両社が共同開発している新型コロナウイルスのワクチン候補について、臨床試験(治験)の初期段階で、良好なデータが得られたと発表した。両社は4種類のワクチン候補のうち、開発が先行している1候補について、暫定的な治験データを公表した。それによれば、24人の健康な被験者にワクチン候補を2回投与したところ、実際に新型コロナに感染した人に通常見られる水準を超える抗体が確認できた。また、発熱や注射した部位の痛みなどの副作用が表れたものの、おおむね軽度から中程度だった。

 

米FRBはゼロ金利政策を維持する新指針を作成:YCCは後回し

米連邦準備理事会(FRB)は新型コロナウイルスによる景気悪化を強く懸念し、ゼロ金利政策を長期にわたって維持する新指針をつくる。物価上昇率目標を緩め、2%を超えても当面は利上げをしないと明示する案が有力なっている。量的緩和の拡大も含め、7月末の次回会合で議論する。
前回FOMC会合では、中長期の金利に上限を設定する『イールドカーブ・コントロール(YCC)』の導入も議論した。FRBは中期金利に目標をつくる豪州型が望ましいとしたものの『YCCは政府債務の大量購入につながって、中央銀行の独立性に対するリスクを伴う』との異論も噴出した。FRBは第2次世界大戦時にYCCに踏み切り、低利の戦費調達を手助けした結果、その後のインフレを抑えきれなかった歴史がある。6月の前回会合では、YCCの効果やリスクをさらに検証していくと一致したものの、早期の導入には慎重な意見が強まりつつある。

 

米国市場では6月雇用統計が公表

市場は経済活動の再掲とともに労働市場の回復を期待している。しかし、先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の6月分は+236.9万人と、市場予想+290万人を下回った。ただ、5月分は+306.5万人と、速報の▲276万人からプラスに上方修正され過去最大の伸びを記録した。4月に過去最大の落ちこみを示し底入れ後増加傾向にあることは確かである。加えて、失業保険申請件数も減少傾向にあるとはいえ減少ペースは鈍い。ISM製造業景況指数の雇用も42.1と、4月に1949年来で最低に落ち込んだのち回復基調にあるものの11カ月連続で50割れで活動の縮小が示されている。アリゾナやフロリダなど数州でのウイルス感染の拡大で経済活動の段階的再開が中断、または、再開ペースが一段階前に戻されるなど雇用の増加が今後さらに停滞する可能性が懸念される。


■市場予想失業率:12.5%(5月13.3%)非農業部門雇用者数:前月比+307.4万人(5月+250.9万人)民間部門雇用者数:前月比+300万人(5月+309.4万人)平均時給:予想:前月比-0.8%、前年比+5.3%(5月-1.0%、+6.7%)

 

欧米イベント

○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○18:00   5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.5%/前年比▲4.8%)
○18:00   5月ユーロ圏失業率(予想:7.7%)
○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:310億ランドの赤字)
○21:30   5月カナダ貿易収支(予想:30.0億カナダドルの赤字)
○21:30   5月米貿易収支(予想:530億ドルの赤字)
○21:30   6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化300.0万人/失業率12.3%/平均時給、前月比▲0.7%/前年比5.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:135.5万件/1900.0万人)
○22:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   5月米製造業新規受注(予想:前月比8.7%)
○3日02:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○米債券市場は短縮取引
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

メキシコペソ/円の中期トレンドでは転換線下抜け!

2020/07/01/16:15:44

 

★メキシコでは新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済への悪影響も懸念されているが、本日のアジア時間にはメキシコ最大の航空会社であるアエロメヒコ航空が米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請したと発表した。新型コロナウイルスの影響で旅客需要が急減したことが原因とされており、今後もこうしたメキシコ企業の動向には注意を払う必要がある。

なお、7月1日を迎えたことで北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定『米国・メキシコ・カナダ(USMCA)協定』が本日発効する。ロペス・オブラドール大統領は新協定が外国投資と雇用創出につながるとしているが、中長期的な影響はともかく、短期的には相場の材料とはなりにくい。

メキシコペソ/円の中期的トレンドを示す一目均衡表の週足では、2月21日高値6.015円と4月10日安値4.220円の半値戻しとなる5.1175円がレジスタンスとなり押し戻される展開となった。ちょうどこの半値戻しでは、26期間の高低の中心値である基準線(青線)と52期間の高低の中心値である先行スパン2の当日線(黒線)が重なっており、強固なレジスタンスとして意識された。

ちょうど雲のネジレ近辺で戻り場面から反転する展開となっている。先行き8月28日週から10月9日週まで雲のネジレが続くことから、荒れ相場となる可能性もあり、注意が必要となる。

一旦は転換線(赤線)がサポートラインとして意識され下げ止まる場面もあったが、結局は下抜ける展開となっている。その後は、一転してレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となっている。

 

一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%Dの勢いは鈍化してきており、以前のような戻りの強さは失われてきている。

 

メキシコペソ/円は転換線を下抜けしたことで、下値模索の展開となりそうだ。相場の方向性を示す基準線は横ばいとなっているが、下向きとなると再び加速的な下落基調となりやすい。また、先行き雲のネジレ期間中に変動幅が大きくなる可能性もあるので注意が必要となる。

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/07/01/15:12:15

日経平均株価:東京都の感染者拡大が嫌気され売り優勢に

前日の米国株が堅調推移したほか為替市場で円安に振れたことも好感され、買いが先行した。ただ、方向性を示す材料が見当たらず、模様眺めムードが支配している。NYダウ先物が軟調に推移していることが上値を抑えた。また、菅官房長官が会見で、東京都を中心に新型コロナウイルスの感染拡大が見られることについて、最悪の場合は再び緊張事態宣言の可能性もあり得るとの考えを示した。これを受けて、日経先物に売りが出た。結局、前営業日比166円安の2万2121円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価の下落幅拡大に伴ってリスク回避の円買い優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられて、約3週間ぶりの高値をつける場面があった。しかし、30日に米国で新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を記録したこともあって、追随する動きは見られなかった。その後は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じると、調整色が強まって107.65円付近へ下落した。午後もこの流れが続き、日経平均株価の下げ幅拡大をながめてさらにドル売り・円買いが進み、107.58円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ヘッジファンド清算は2015年以来の高水準

ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が公表したリポートによると、1-3月のヘッジファンド清算件数が4年あまりで最多となった。新型コロナウイルスのパンデミックで世界各地の市場が大混乱し、急激に損失が膨らんだことが原因とみられている。1-3月に清算されたファンドはおよそ304件に上り、2015年10-12月以来の高水準だった。2019年10-12月の198件と比べ、50%あまり増加している。

 

中国景気への当たらな懸念材料

新型肺炎の感染拡大を受けて中国景気には急ブレーキが掛かったが、積極的な感染対策による事態収束を受けて経済活動の再開が進んできた。この動きに呼応するように企業マインドも幅広く改善してきたが、今月には北京での集団感染など感染拡大の『第2波』が懸念される動きが出ている。地方レベルで防疫政策を再度強化する動きも出ており、ヒトの移動も急速に頭打ちするなど企業マインドへの悪影響が懸念された。 6月の製造業PMIは50.9と前月比+0.3pt上昇するなど底入れしている。内需の底入れが下支えする一方、外需を巡る不透明感が重石となる状況が続く。非製造業PMIも54.4と前月比+0.8pt上昇するなど底入れしているが、製造業・非製造業ともに雇用調整圧力がくすぶるなど雇用回復は道半ばである。年明け直後にかけては米中摩擦の緩和が期待されたが、新型肺炎の感染拡大を契機に対立が再燃し、足下では香港問題が火種となっている。全人代常務委員会は香港国家安全維持法を成立させ、早期の施行に動く見通しである。先行きの企業マインドには米中摩擦の再燃が重石となる可能性には要注意となる。

 

資源安で英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも巨額減損

欧州石油最大手の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは30日、2020年4~6月期に最大220億ドル(約2兆3800億円)の減損損失を計上すると発表した。原油や天然ガスなど資源価格の低迷を想定し、事業資産の評価額を落とす。15日に最大1.9兆円の減損見通し示した英BPを上回る巨額の損失計上となる

 

米国市場では6月ISM製造業景況指数が公表

5月実績は43.1だった。また、先行指標となる6月マークイット製造業PMIは49.6で5月実績の39.8を大幅に上回った。ニューヨーク、フィラデルフィアの連銀が調査した6月の製造業景況感は大幅に改善していることから、6月のISM製造業景況指数は5月実績を大幅に上回り、49近辺まで改善する可能性がある。

 

米国市場ではFOMCの議事要旨(6月9-10日分)が公表

米国債相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)がいずれイールドカーブコントロールの導入に踏み切るとの見方を強めつつあり、特に短期債の利回りは過去最低水準で推移している。しかし、FRBはイールドカーブコントロール導入の選択肢を先送りすると見られる。イールドカーブコントロールに関する協議はおそらく7月28-29日の会合でも継続、市場は9月の導入を予想しているがウイルスや経済の動向次第になる。ウォールストリートジャーナル紙の調べでは市場参加者はFRBが2年債、または3年債の利回りの抑制に焦点を当てるとの見方を強めている。ただ、数人のメンバーは依然フォワードガイダンスや資産購入を好んでいる。結局、現時点では利回りの制限が必要ないとの見方から、研究も深く行われておらず、唯一意見が一致しているのは、ほとんどのメンバーが米国でのマイナス金利導入は有効ではないということだ。
FRBは1日に6月開催のFOMC議事録を公表予定だがイールドカーブコントロールに関する見解がより明らかになる。

 

欧米イベント

○15:00   5月独小売売上高指数(予想:前月比3.9%/前年比▲3.5%)
○15:00   6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.7%)
○16:00   6月トルコ製造業PMI
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○16:30   6月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:48.0)
○16:45   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:50   6月仏製造業PMI改定値(予想:52.1)
○16:55   6月独製造業PMI改定値(予想:44.6)
○16:55   6月独雇用統計(予想:失業率6.5%/失業者数変化12万人)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:46.9)
○17:30   6月英製造業PMI改定値(予想:50.1)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:30   6月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   6月ADP全米雇用報告(予想:300.0万人)
○22:45   6月米製造業PMI改定値(予想:49.6)
○23:00   6月米ISM製造業景気指数(予想:49.9)
○23:00   5月米建設支出(予想:前月比1.0%)
○23:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○2日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月9日-10日分)
○2日03:00   6月ブラジル貿易収支(予想:70億ドルの黒字)
○香港(香港特別行政区設立記念日)、カナダ(建国記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

朝の市場コメント!

2020/07/01/07:41:19

米国株式市場は続伸:ウイルスワクチンに関して楽観的な見解を好感

NYダウは217.08ドル高の25812.88、ナスダックは184.61ポイント高の10058.77ポイントで取引を終了した。ウイルス感染拡大への懸念や、6月シカゴ購買部協会景気指数が予想を下回ったことで下落して寄り付いた。しかし、6月消費者信頼感指数が予想以上の改善を示したことに加え、国立アレルギー・感染症研究のファウチ所長が議会証言で、ウイルスワクチンに関して楽観的な見解を示したことが好感された。またフロリダ州のウイルス感染者数の増加率が、先週の平均を下回ったため安心感も広がった。パウエルFRB議長とムニューシン財務長官の議会証言後、追加支援策への期待も高まり引けにかけても堅調推移となった。大型ハイテク株などに買いが集まり指数を押し上げた。VIX指数は31.78から30.43へ低下した。

 

NY外国為替市場:ドル買い優勢も108.00円目前で足踏み

ドル/円は、対ポンド中心にドル売りが先行すると一時107.50円と日通し安値を付けたものの、6月米消費者信頼感指数が98.1と予想の91.1を上回ったことが分かると買い戻しが優勢になった。前日の高値107.88円を上抜けて一時107.98円と9日以来3週間ぶりの高値を付けた。ロンドン・フィキシングに絡んだ円売りや、米長期金利の上昇に伴うドル買いも観測された。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、米下院金融委員会で『われわれは重要な新段階に予想より早く入った』と述べた一方、『経済の今後の経路は極めて不確実であり、ウイルス抑制の成否に大きく左右される』『人々が幅広い活動を再開しても安全と確信するまで、完全な回復の可能性は低い』との見解を示したが、前日に証言原稿が伝わっていたこともあり相場の反応は限られた。

 

ユーロ/ドルは、ロンドン・フィキシングに絡んだドル売りが出て一時1.1262ドルと日通し高値を付けたものの、米長期金利の上昇に伴うドル買いが出ると1.1227ドル付近まで押し戻された。なお、欧州連合(EU)はこの日、7月1日から渡航を解禁する域外14カ国の『安全リスト』を公表。日本が含まれた一方、焦点となっていた米国は外れた。米国のほか、ロシアやブラジル、トルコも渡航解禁が見送られた。 

 

NY原油先物市場は弱含み:利食い売り優勢で伸び悩む

NY原油先物市場は38.85ドル-40.08ドルのレンジ相場となった。関係者筋の『OPEC(石油輸出国機構)やロシアが減産規模を縮小する可能性』との見解が伝わり、圧迫要因となった。需要回復への期待を背景とした買いを支えに持ち直す場面を挟みつつも、強い反発力を示せなかった。米国株式の不安定な動きを嫌って利食い売りが優勢となり、伸び悩んだが、通常取引終了後の時間外取引では株価反発を好感して39.66ドルまで戻している。 

 

NY金先物市場は続伸:心理的節目の1,800ドル上回る

NY金先物市場は1774.80-1804.00ドルのレンジ相場となった。コロナ感染拡大の第2波への懸念や、米中対立など地政学要因を背景としたリスク回避から、安全資産とされる金への買いが続いた。対欧州通貨などに対するドル安も、ドル建て金価格の押し上げに寄与した。ロンドン市場で1774.80ドルまで売られたが、ニューヨーク市場の中盤にかけて節目の1800ドルを突破し、1804.00ドルまで買われた。

 

米国債券市場は反落:米国株高に伴る売り優勢

米国債券市場の長期ゾーンは3営業日ぶりに反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)0.65%で終了した。月末特有のデュレーション(保有債券の平均残存期間)長期化目的の買いが先行したものの、そのあとは米国株の上昇に伴う売りが出たため失速した(金利は上昇)。

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/06/30/15:16:23

日経平均株価:米景気先行き楽観論で買い優勢

前日の米ダウ平均580ドル高の反発や米景気先行き楽観論に投資家のリスク回避姿勢が和らぎ前日の大幅安からの自律反発狙いの買い戻しが入り中国6月製造業PMI(購買担当者景気指数)上ぶれも追い風となった。新規手掛かり材料難に積極的な取引を手控える投資家が増え7月入りの経済指標を見極めたいと様子見ムードが広がった。結局、前日比293円高の2万2288えんと反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りで底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅反発に支えられ、107.80円付近へ上昇した。アジア主要株価が全面高となったことも、リスク選好の円売りを誘った。複数のメディアが『中国全国人民代表大会の常務委員会は、香港国家安全法を全会一致で可決した』と報じたものの、市場は全てに織り込んでいたため、反応は限られた。午後は、日経平均株価をにらみながら、107.75円を挟んでもみ合いとなった。月末に絡む本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、今晩発表される米経済指標を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.12ドル台半ばから1.12ドル台前半へ水準を切り下げた。

 

日本企業による配当払いこみが7月上旬に予定

日本では、コロナ影響で不透明感はあるものの、3月決算企業による配当払い込みが7月上旬にかけて予定され、内外投資家による配当資金の再投資が見込まれる。
日本株の下支え効果を通じて、為替相場はリスク選好の円安や円高歯止め要因となる可能性は無視できない。同時に配当を受け取った外国人投資家に関しては、配当利益の部分的な本国送金を通じたドル転やユーロ転(円安要因)などが注目される。

 

トヨタ自動車の世界生産の減少は過去最大

乗用車メーカー8社が29日発表した5月の世界生産台数は、前年同月比61.4%減の91万6758台となり、100万台を割り込んだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界各地の工場で生産調整が実施されたため生産台数は大きく落ち込んだ。トヨタ自動車の世界生産の減少率は過去最大となった。8社の国内生産は61.9%減の28万7502台だった。トヨタの世界生産は54.4%減の36万5909台となり、減少率はデータがある2004年以降、最大だった。スズキとSUBARUも8割減となった。

 

露プーチン大統領の長期政権継続の可能性が濃厚

ロシア政府系『全ロシア世論調査センター』は29日、今月25日から始まった憲法改正案の是非を問う全国投票の初日から4日間の出口調査結果を発表し、76%が賛成、23.6%が反対と回答したと明らかにした。全国投票は7月1日まで。現在通算4期目のプーチン大統領に2024年の任期切れ後も続投を認める条項が最大の焦点で、改憲案は成立する勢いであることが示された。

 

メキシコの感染者数増で経済の先行き不透明感は強まる

メキシコ国内では新型コロナウイルスの感染者数が計20万人を超え、世界で11番目の感染国となった。経済活動再開の動きも遅れ気味で、メキシコ市は段階的な経済再開計画を一部延期した。先週にはロペスオブラドール大統領が新型コロナウイルス感染拡大で最大100万人の雇用が失われる恐れがあると言及したほか、国際通貨基金(IMF)は今年のメキシコ経済は10.5%のマイナス成長に陥るとの見方を示すなど、経済の先行き不透明感は益々強まっている。 一方で、今週1日には米国・メキシコ・カナダ(USMCA)協定が発効される。メキシコ国内での投資家の対応を巡って米国側からは不満が伝わるなど懸念材料も聞かれているが、長期的にメキシコにとってポジティブな要因となることは間違いない。

 

好調な米住宅販売もウイルス拡大で再び落ち込む可能性も

全米不動産業者協会(NAR)が発表した5月中古住宅販売成約指数は前月比+44.3%となった。伸びは3カ月ぶりのプラスで予想+19.3%を上回り過去最大を記録した。3月、4月はパンデミックの影響でそれぞれ20%超落ち込んだ。同指数は将来の中古住宅販売指数の先行指標として注目される。前年比では‐5.1%。ウイルスの影響で労働市場は弱いが、30年物住宅ローン金利の平均は3.2%で歴史的な低水準で推移していることが奏功した。ウイルスパンデミックにもかかわらず物件の内見・下見をバーチャルで行うあるいは、下見なく購入に踏み切る消費者もいる。住宅市場の先行指標とされる新築住宅販売も5月に17%増となり、前年比でも13%増で好調推移している。ただ、6月に入り再び、アリゾナ、テキサス、フロリダでウイルス感染者数が急増しているため、今後再び住宅販売ペースが鈍化する可能性をエコノミストは懸念している。

 

米国市場では6月CB消費者信頼感指数

5月実績は86.6に改善した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は短期間で消えないとの見方が増えている雇用情勢は改善しつつあるが、すみやかな景気回復への期待はやや低下しており、5月実績をやや上回る水準にとどまる見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲2.0%/前年比▲1.6%)
○15:00   1-3月期英経常収支(予想:150億ポンドの赤字)
○15:00   5月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比10.25%)
○15:30   5月スイス小売売上高
○15:45   6月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比0.4%)
○15:45   5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   5月仏消費支出(予想:前月比30.0%)
○16:00   6月スイスKOF景気先行指数(予想:77.0)
○16:00   5月トルコ貿易収支(予想:34.0億ドルの赤字)
○18:00   6月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比0.2%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.8%)
○18:30   1-3月期南アフリカGDP(予想:前期比年率▲4.0%/前年同期比▲0.9%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○19:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   5月南アフリカ貿易収支(予想:98億ランドの赤字)
○21:30   4月カナダGDP(予想:前月比▲12.0%/前年比▲16.9%)
○22:00   4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比3.8%)
○22:45   6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○23:00   6月米消費者信頼感指数(予想:91.1)
○23:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○24:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○1日01:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長とムニューシン米財務長官が米下院金融委員会で新型コロナウイルス対応めぐり証言
○1日03:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、パネルディスカッションに参加

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