★米国株式市場は上昇:米アトランタ連銀総裁のハト派発言を好感
NYダウは341.73ドル高の33003.57ドル、ナスダックは83.50ポイント高の11462.98ポイントで取引を終了した。前日に発表した決算と業績見通しが予想を上回ったセールスフォースが大幅高となり、相場を押し上げた。タカ派とされるボスティック米アトランタ連銀総裁が『21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%の利上げを支持する』と述べたことも買い安心感につながった。NYダウの上げ幅は420ドルを超える場面があった。VIX指数は20.58から19.59へ低下した。
★NY外国為替市場:強い米雇用指標受け米長期金利上昇でドル買い優勢に
ドル/円は、10-12月期米単位労働コスト改定値が前期比年率3.2%と予想の1.6%を上回り、前週分の米新規失業保険申請件数が19.0万件と予想の19.5万件より強い内容だったことが伝わると、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行し、一時137.09円と昨年12月20日以来の高値を更新した。米10年債利回りは一時4.0893%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録した。ただ、137円台では利食い売りや戻り売りなどが出たため、滞空時間は短かった。市場では『200日移動平均線が位置する137.27円付近が重要なレジスタンスとして意識されている』との声も聞かれ、136.55円付近まで下押しした。タカ派とされるボスティック米アトランタ連銀総裁はこの日、『米連邦準備理事会(FRB)による利上げの影響が本格的に発現するのは今春以降となる可能性がある』と述べたうえで、『この点が当面は0.25%の緩やかな利上げを行う根拠になる』と発言。市場では『21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が0.50%に拡大する』との観測が浮上していただけに、この発言がドルの重しとなった面もあるようだ。
ユーロ/ドルは、米労働市場の底堅さを示す指標が発表されると、FRBによる利上げが長期化するとの観測が改めて強まり、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、一時1.0577ドルと日通し安値を付けた。ただ、前日の安値1.0565ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。ボスティック総裁の発言で『今月のFOMCでの利上げ幅は警戒していたほど大きくならない』との見方が浮上したことも買い戻しを誘ったようだ。
★NY原油先物市場は3日続伸:中国の需要回復期待から買い優勢に
NY原油先物市場は77.23ドル‐78.59ドルのレンジ相場となった。前日に発表された中国の2月PMIが予想以上に改善され、中国経済への期待感が一段と強まり、石油輸入大国である中国のエネルギー需要が回復するとの思惑が相場の支えとなった。ただ、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化による米景気鈍化への懸念も強く、上値は限られた。アジア市場で77.23ドルまで下げたものの、まもなく反転し、米国市場の中盤にかけて78.59ドルまで買われた。ただ、その後は米長期金利の上昇やドル高を受けて上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では78ドルを挟んだ水準で推移した。
★N金先物市場は4日ぶりに反落:米長期金利高とドル高を嫌気した売り
NY金先物市場は1835.90‐1845.30ドルのレンジ相場となった。米長期金利の上昇が止まらず、金利がつかない金に売り圧力を強めた。また、為替相場でドル高が進んだことや、米株が上昇したことも金の売りを後押した。アジア市場で1835.90ドルまで売られたが、米国市場の中盤にかけて1845.30ドルまで買われた。ただ、ドル高を受けて上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に1842ドルを挟んだ水準で推移した。
★米国債券市場は続落:米FRBによる金融引き締め長期化懸念から売り
米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.01%高い(価格は下落)4.90%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%高い4.06%で終了した。米労働市場の底堅さを示す指標が発表されると、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が改めて強まり債券売りが広がった。利回りは一時4.0893%前後と昨年11月10日以来約4カ月ぶりの高水準を付けた。
★ユーロ圏の消費者物価は4カ月連続鈍化もコアは過去最高を更新
欧州連合(EU)基準の2月ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比8.5%上昇と市場予想の8.2%上昇を上回った。しかし、資源価格高騰が落ち着いたことを反映して、2022年10月に10.6%上昇となって以降4カ月連続で伸び率は鈍化した。エネルギー価格は同113.7%上昇と22年10月の41.5%上昇をピークに4カ月連続で鈍化した。一方、欧州中央銀行(ECB)が注目する価格変動の大きいエネルギーや食品、タバコを除いたコア指数は前年同月比7.4%上昇と市場予想5.4%上昇を上回り、過去最高を更新した。サービス価格が同4.8%上昇と1月の4.4%上昇から大きく伸びが加速した。22年11月の4.2%上昇から再び騰勢を強め、賃金上昇の加速を示した。
★CTAの米株ポジションはほぼ変わらず:加TD証券
加TD証券は2日時点で商品投資顧問(CTA)の米株先物ポジションについて、Eミニ・S&P500種株価指数先物が過去最大ロング比でマイナス65、Eミニ・ナスダック100先物が同マイナス1%のポジショニングであると推計した。今週に入り、CTAの米株ポジションは小幅売り越しから大きく動いていない。TDは世界のリスク資産全体において方向性に乏しいことからトレンドシグナルが弱まっており、マクロ的なカタリストや大規模な現物フローがない限り、CTAによる大規模なフローが見込めず、短期的には控えめな値動きにとどまる可能性を指摘した。TDは最も近接したCTAの買いトリガーをS&Pで3951、ナスダック100で1万1934とそれぞれ推計している。
★米国株式市場はまちまち:値ごろ感による押し目買いが下支え
NYダウは5.14ドル高の32661.84ドル、ナスダックは76.06ポイント安の11379.48ポイントで取引は終了した。2月米ISM製造業景気指数は予想を若干下回ったものの、項目別で投入価格指数が予想を上回り、インフレが当面高止まりする可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が警戒され、株売りを誘った。ただ、相場は約4カ月ぶりの安値圏にあるだけに値ごろ感からの買いが入ると、指数は上げに転じた。VIX指数は20.70から20.58へ低下した。
★NY外国為替市場:独長期金利上昇でユーロ買い優勢に
ユーロ/ドルは、独10年債利回りが一時2.728%前後と2011年7月以来約12年ぶりの高水準を更新するなど、欧州債利回りが上昇したことを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行した。2月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を上回ったことが分かると、欧州中央銀行(ECB)の利上げ長期化観測が強まり一時1.0691ドルまでユーロ高が進んだ。その後の下押しも1.0644ドル付近にとどまった。
ドル/円は、米10年債利回りが3.91%台まで低下したことを受けて円買い・ドル売りが先行し、一時135.26円と日通し安値を付けた。ただ、米10年債利回りが4.0082%前後と昨年11月10日以来約4カ月ぶりの高水準を記録すると買い戻しが優勢になり、136.32円付近まで持ち直した。2月米ISM製造業景気指数は47.7と予想の48.0を若干下回ったものの、項目別で投入価格指数が51.3と予想の46.5を上回り、インフレが当面高止まりする可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識され、相場を下支えした面もあった。
★NY原油先物市場は続伸:時間外取引で再上昇
NY原油先物市場は76.12ドル‐77.85ドルのレンジ相場となった。2月のロシア産油量が増加したとの報道が重しとなるも、中国の2月製造業購買担当者景況指数(PMI)が予想以上に上昇し、中国の景気回復に伴うエネルギー需要の拡大期待が改めて意識され、買いが優勢となった。米エネルギー情報局(EIA)の石油在庫統計は、原油在庫が116.6万バレル増と予想以上の積み増しとなった一方で、ガソリンは在庫増の予想に反して87.4万バレル減少し、まちまちの結果となった。アジア市場で77.74ドルまで買われた後、ロンドン市場で76.12ドルまで下げたが、米国市場の序盤に77ドル台を回復した。米長期金利の上昇を受けて伸び悩んでいたが、通常取引終了後の時間外取引で77.85ドルまで再上昇した。
★NY金先物市場は3日続伸:中国で需要高まるとの思惑買い
NY金先物市場は1829.60‐1852.50ドルのレンジ相場となった。為替相場でドルが対ユーロで弱含み、ドル建ての金は割安感から買いが優勢となった。また、中国の景気回復期待を背景に金の主要消費国である中国で現物需要が高まるとの思惑も金の買いを後押した。アジア市場で1829.60ドルまで売られたが、ドル高が一服したことから米国市場の前半にかけて1852.50ドルまで買われた。ただ、米長期金利の上昇を受けて上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に1845ドルを挟んだ水準で推移した。
★米国債券市場は続落:米FRBによる金融引き締め長期化観測から売り優勢
米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.08%高い(価格は下落)4.89%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%高い3.99%で終了した。2月米ISM製造業景気指数は予想を若干下回ったものの、項目別で投入価格指数が予想を上回り、インフレが当面高止まりする可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が高まり、債券売りが広がった。利回りは一時4.0082%前後と昨年11月10日以来約4カ月ぶりの高水準を付けた。
★3月日銀会合は現状維持がベースケース:モルガン
日銀が9~10日、黒田総裁の下での最後となる金融政策会合を開く。モルガン・スタンレーMUFG証券は1日付のリポートで『金融政策の現状維持を蓋然性の高いベースケースとして予想する』との見解を示した。リポートでは、3月会合でもイールド・コントロール(YCC)のサプライズ修正リスクが残るとしながら、『この確率は20%程度とみている』と指摘。同社としてはYCC修正時期のベースケースは23年7月頃との見方を維持した。その上で、仮に3月会合でYCCが修正される場合、『YCCの撤廃や目標年限の短期化ではなく、市場機能の改善を目的として10年物国債利回りの変動幅を±100bpに広げる可能性の方が高いだろう』とみていた。
★日本の10年債利回りは23年末には90bpになると予想=ゴールドマン
ゴールドマン・サックスは1日付のリポートで、新日銀総裁候補の植田和男氏が国会での所信聴取で金融緩和を続ける姿勢を示したことについて『日銀の金融政策の正常化が慎重かつ徐々に進むであろうという見方を補強するものである。日本のインフレ率が上振れするようなことがあれば、この考えは変わるかもしれないが、日銀の現在の2%のインフレ目標の枠組みの下では、マクロの状況はまだ政策の大きな転換を正当化するものではないと我々は考えている』との見解を示した。リポートでは、『とはいえ、植田氏がイールドカーブ・コントロール(YCC)の継続を望んだとしても、その持続性を強化するためには技術的な調整が必要だ』とも指摘した。10年国債よりも短い利回りの方がフォワードガイダンスの効果が高いとし、『コントロールもしやすく、日銀の国債購入額を大幅に削減できる可能性が高いからだ』という。したがって、日本国債10年物利回りは今年後半に75~80bpのフェアバリューに収束し、オーバーシュートの可能性も含め、23年末には90bpになると予想した。その一方、日銀の柔軟性により円高リスクは軽減されるものの、『日銀の政策よりも米国の実質金利が円相場の最大の変動要因であることから、戦略的な円安の可能性を引き続き見込んでいる』とも指摘した。
★米国株式市場は反落:欧州のインフレ加速を嫌気した売り優勢に
NYダウは232.39ドル安の32656.70ドル、ナスダックは11.44ポイント安で取引は終了した。欧州のインフレ加速で国内のインフレも抑制が困難との見方に金利上昇を警戒した売りに寄り付き後は下落した。金融ゴールドマンの業績低迷に失望した売りがNYダウのさらなる重しとなった。また、2月の消費者信頼感や製造業指数が予想外に悪化し、消費、成長減速への懸念もさらなる売り圧力となり、終日軟調推移となった。ハイテクは値ごろ感からの買いに底堅い展開もプラス圏を維持できず。結局主要株式指数はマイナス圏で終了した。VIX指数は20.95から20.70へ低下した。
★NY外国為替市場:予想下回る米経済指標結果受けドル売り優勢に
ドル/円は、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識される中、米10年債利回りが一時3.9806%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録すると円売り・ドル買いが先行し、一時136.92円と昨年12月20日以来約2カ月ぶりの高値を付けた。ただ、2月米シカゴ購買部協会景気指数や2月米消費者信頼感指数が予想を下回ったことが分かると一転売りが優勢になった。米10年債利回りが3.89%台まで低下したことも相場の重しとなり、一時135.74円と日通し安値を更新した。もっとも、引けにかけては136円台前半まで下げ渋った。
ユーロ/ドルは、フランスとスペインの消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことを受けて欧州債利回りが上昇すると、NY勢もユーロ買いで参入した。予想を下回る米経済指標が相次いだこともユーロ買い・ドル売りを促し、一時1.0645ドルと日通し高値を更新した。ただ、買い一巡後は次第に上値が重くなった。市場では『月末のロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだユーロ売りのフローが観測された』との声も聞かれ、一時1.0574ドルと日通し安値を付けた。
★NY原油先物市場は反発:神経質な動きも方向感は限定的
NY原油先物市場は75.55ドル‐77.83ドルのレンジ相場となった。足もとでは米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化観測が引き続き上値圧迫要因となっている一方で、中国での景気回復に伴い、エネルギー需要も拡大するとの期待が相場の支えとなっており、神経質な動きも方向感は限定的だった。アジア市場で75.55ドルまで下げたが、ロンドン市場で77ドル台に上昇した。米国市場の序盤に77.83ドルまで一段高となった。その後は上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では株安を意識して77ドルを下回った。
★NY金先物市場は続伸:ドル高一服から買い優勢に
NY金先物市場は1810.80‐1838.60ドルのレンジ相場となった。この日発表の米経済指標が予想を下回る結果が相次ぎ、安全資産の金に買いが入った。為替相場でドルが重い動きになったこともドル建ての金の買いを後押した。アジア市場で1810.80ドルまで売られたが、ドル高が一服したことから米国市場の後半にかけて1838.60ドルまで買われた。通常取引終了後の時間外取引では主に183ドルを挟んだ水準で推移した。
★米国債券市場は反落:米FRBによる金融引き締めが長期化観測から売り
米国債券市場で中長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)4.81%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.01%高い3.92%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が高まる中、債券売りが先行した。利回りは一時3.9806%前後と昨年11月10日以来の高水準を付けた。ただ、そのあとはポジション調整目的の買いなどが入り下げ渋った。市場では『月末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った』との声も聞かれた。
★米インフレ期待が低調基調で消費も将来の鈍化を示唆
米コンファレンスボードが発表した2月消費者信頼感指数は102.9と、1月106.0から上昇予想に反して低下し昨年11月来の低水準となった。現況は改善し22年4月来で最高に達したものの期待が落ち込み、全体指数を押し下げた。将来のビジネス、雇用、賃金の状況は需要の鈍化を示唆した。高インフレにより家計の貯蓄は減少傾向で、クレジットカード依存度が増している。連邦準備制度理事会(FRB)が政策決定において重要視している今後12カ月のインフレ期待は6.3と、6.7から大幅低下した。結果は、ペースは遅いが、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ効果が出てきた証拠となる。
★米12月S&P住宅価格指数は予想以上に鈍化
米12月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数は前年比+4.65%となった。伸びは4月に2001年来最大を記録したのち、8カ月連続で鈍化。パンデミックにより経済が封鎖した直後の20年7月来で最低となった。米連邦住宅金融庁(FHFA)が発表した12月FHFA住宅価格指数は前月比‐0.1%と、11月-0.1%に続き2カ月連続のマイナスとなった。事前に発表された米1月卸売在庫速報値は前月比-0.4%と、予想外に12月+0.1%から20年7月来のマイナスに落ち込み、20年6月来で最低。米1月前渡商品貿易収支は915億ドルの赤字と、赤字幅は12月897億ドルから予想以上に拡大した。
★米国株式市場は反発:米長期金利低下から買い戻し
NYダウは72.17ドル高の32889.09ドル、ナスダックは72.04ポイント高の11466.98ポイントで取引は終了した。製造業関連指標が冴えず金利低下を受けた買いに、寄り付き後は上昇した。その後、戻り高値から株価が依然過大評価されているとの見方を受けた売りに押され、一時NYダウは下落に転じる局面もあった。しかし、ハイテクが支え、主要株式指数はプラス圏で終了した。VIX指数は21.67から20.95へ低下した。
★NY外国為替市場:米長期金利低下でユーロ買い戻し
ユーロ/ドルは、一時は3.9766%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録した米10年債利回りが3.89%台まで低下したことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行した。独10年債利回りが2.593%前後と2011年以来約12年ぶりの高水準を付けたこともユーロ買いを促し、一時1.0620ドルと日通し高値を更新した。なお、市場では『ユーロ圏経済の底堅さやインフレ基調の高止まりから、欧州中央銀行(ECB)による利上げの最終的な到達点が想定より引き上げられる』との見方が強まっている。
ドル/円は、NY市場に限れば136円台前半での狭いレンジ取引に終始した。ポンドやユーロ絡みの取引が中心となったため、ドル円自体は大きな方向感が出なかった。
ポンドは全面高。英国と欧州連合(EU)が北アイルランド問題で合意したと伝わると、ポンドを買う動きが広がった。ポンド/ドルは一時1.2066ドル、ユーロ/ポンドは0.8790ポンド、ポンド/円は164.35円までポンド高に振れた。スナク英首相とフォンデアライエン欧州委員長はこの日、『英国のEU離脱以降、両者の関係を険悪にさせていた英領北アイルランドの物流規則を巡り合意した』と発表した。
★NY原油先物市場は反落:短期筋の利食い売り
NY原油先物市場は74.99ドル‐76.82ドルのレンジ相場となった。ロシアのポーランドへの原油輸出停止を背景とした買いが一巡し、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化が米景気後退を招くとの警戒感で反落した。ロンドン市場で76.82ドルまで買われたが、米国市場の後半にかけて74.99ドルまで下げた。短期筋などの利食い売りが増えたことが要因となった。ただ、押し目買いも観測されており、通常取引終了後の時間外取引では75ドル台で推移した。
★NY金先物市場は6日ぶりに反発:ユーロ安一服を意識した買い
NY金先物市場は1812.70‐1827.30ドルのレンジ相場となった。米長期金利が低下し、為替相場でドル安・ユーロ高が進んだことを受けて、5日続落した金相場に反動の買い戻しが入った。アジア市場で1812.00ドルまで売られたが、ユーロ安が一服したことから米国市場の後半にかけて1827.30ドルまで値上りした。通常取引終了後の時間外取引では主に1825ドルを挟んだ水準で推移した。
★米国債券市場は反発:ポジション調整目的の買い優勢
米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)4.78%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い3.91%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が高まる中、債券売りが先行した。利回りは一時3.9766%前後と昨年11月10日以来の高水準を付けた。ただ、そのあとはポジション調整目的の買いなどが入り上げに転じた。市場では『利回りが節目の4%に接近したことで買いが入りやすかった』との声も聞かれた。
★YCCを5年に短期化なら円安が助長される可能性も:BofAセキュリティーズ
2月に発表された1月分の強い米経済指標を受けてドル高円安基調が再開する中、BofAセキュリティーズは27日付のリポートでドル円相場の見通しを上方修正した。23年1~3月期(1Q)を130⇒133円と引き上げた一方、23年4~6月期(2Q)は138円で維持し、23年7~9月期(3Q)は136⇒142円へと上方修正した。リポートでは、FF金利が6月までに75bp引き上げられてターミナル・レート5.25~5.5%となり、来年3月に利下げが開始されると見ているとしながら、『米短期金利の上昇はドル円ショートのコストを引き上げ、ドル円ロングに余裕を与える』と指摘した。他の中銀も政策金利を大きく引き上げており、環境としては海外と日本の金利差が数カ月にわたり開いた状況が継続すると見込まれるといい、『キャリートレードが円を押し下げた2006年から2007年にかけての時期を彷彿(ほうふつ)とさせる』とみていた。植田氏が日銀総裁に就任した場合、イールドカーブ・コントロール(YCC)の調整リスクが高いとも指摘した。市場は日銀のYCC調整を待っている節があるとしながら、『実際、日銀がYCCの調整を行えば、政策不確実性と為替ボラティリティが低下し、円キャリートレードを後押しする可能性がある』とも指摘した。YCCの対象年限が10⇒5年に短期化された場合、『短期金利のフォワードガイダンスとしても機能し得るため、円安が助長される可能性がある』ともみていた。
★米国株式市場は下落:金利先高観を背景にした売り優勢に
NYダウは336.99ドル安の32816.92ドル、ナスダックは195.46ポイント安の11394.94ポイントで終了した。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目のPCEコア価格指数の1月分が改善予想に反し前月からさらに悪化したためインフレ抑制には時間がかかるとの警戒感に売られ、寄り付き後は大幅下落した。同時に、同月個人支出の伸びは予想以上のプラス回復、2月ミシガン大消費者信頼感指数確報値や1月新築住宅販売件数も予想を上回ったためFRBが従来想定されていた以上の高水準に金利を引き上げるとの見方が強まり、金利先高観を背景とした売りに一段安となった。金利上昇でハイテクも大幅下落した。VIX指数は21.14から21.67へ上昇した。
★NY外国為替市場:FRBによる金融引き締めの長期化が意識されドル買い
ドル/円は、日銀総裁候補の植田和男氏が衆院の所信聴取で『現在の金融政策は適切』との見解を示すと、金融緩和策の修正に対する警戒感が後退した。海外市場に入っても円売りが出やすい地合いとなった。NY市場に入ると、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している1月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが前年比4.7%上昇と予想の4.3%を上回ったことが明らかに。FRBによる金融引き締めの長期化が意識されて、米金利上昇とドル買いが進み、一時136.52円と昨年12月20日以来約2カ月ぶりの高値を更新した。ジェファーソンFRB理事が『インフレに迅速かつ強力に対処する』と述べたほか、コリンズ米ボストン連銀総裁が『米インフレはなお高すぎる、インフレ抑制に向け一段の利上げが必要』との考えを示したことも相場の支援材料となった。
ユーロ/ドルは、欧州時間発表の10-12月期独国内総生産(GDP)改定値が予想を下回ったことでユーロ売りが先行した。米インフレ指標の上振れで米利上げが長期化するとの観測が高まるとドル買いが活発化し、一時1.0536ドルと1月6日以来の安値を更新した。NY午後に入っても戻りは限定的となり、1.05ドル台半ばでの推移が続いた。
★NY原油先物市場は続伸:供給減を警戒する買いがやや優勢に
NY原油先物市場は74.09ドル⁻76.63ドルのレンジ相場となった。ロシアが3月の原油輸出を前月比で最大25%削減するとの報道が材料視された。その後、米国のインフレ指標が予想を上回ったことで金融引き締めが長期化する可能性が高まると、景気の減速が懸念されて原油売り戻しが強まった。しかしながら、今週安値の手前では底堅さを確認し、再び供給減を警戒する声が広がるなか本日高値圏まで上昇して終えた。ドル高などを意識して米国市場の前半にかけて74.09ドルまで下げたが、押し目買いが入ったことで通常取引終了後の時間外取引で76.63ドルまで反発した。
★NY金先物市場は5日続落:ドル高と米長期金利の上昇を嫌気した売り
NY金先物市場は1815.50‐1835.10ドルのレンジ相場となった。1月米PCEデフレーターや同コアデフレーターが市場予想を大きく上回ると、米金融引き締めの長期化が意識されて中長期金利が上昇した。金利がつかない金に対する投資妙味が薄れた。また、為替でドル高が進行しドル建ての金に割高感が生じたことも重しとなり、約2カ月ぶりの安値水準まで売られた。アジア市場で1835.10ドルまで買われたが、米国市場の序盤にかけて1815.50ドルまで反落した。ドル高や米長期金利の上昇を意識した売りが観測された。通常取引終了後の時間外取引では1818ドルを挟んだ水準で推移した。
★米国債券市場は下落:米物価指標の上振れで売りが優勢に
米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.10%高い(価格は下落)4.79%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.06%高い3.94%で終了した。米物価指標の上振れで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化観測が高まると債券売りが広がった。利回りは一時3.9745%前後と昨年11月10日以来の高水準を付けた。