FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

2023/10/25/06:54:27

米国株式市場は上昇:中東情勢の警戒感緩和と好決算を好感した買い

NYダウは204.97ドル高の33141.38ドル、ナスダックは121.55ポイント高の13139.88ポイントで取引を終了した。中東情勢悪化への警戒感が緩和し寄り付き後は上昇した。10月のPMIが予想を上回ったため成長期待も買い材料になったほか、工業製品の3M(MMM)や通信のベライゾン・コミュニケーション(VZ)などの好決算を好感した買いも目立ち一段高となった。金利が安定したほか今週発表される決算への期待にハイテクも強く相場を押し上げた。終日堅調に推移し、終盤にかけて上げ幅を拡大し終了した。VIX指数は20.37から18.97へ低下した。

 

NY外国為替市場:米PMI速報値の上振れでドル底堅い展開

ユーロ/ドルは、欧州時間に発表されたドイツやユーロ圏の10月購買担当者景気指数(PMI)速報値が低調な内容となったことを受けて全般ユーロ売りが先行した。米国の同月PMI速報値が予想より強い内容だったことが分かるとドル買いも優勢となり、一時1.0583ドルと日通し安値を更新した。ユーロは対豪ドルでは一時1.6652豪ドル、対NZドルでは1.8120NZドル、対カナダドルでは1.4532カナダドル、対スイスフランでは0.9458スイスフランまで下落した。

 

ドル/円は、米PMI速報値の上振れを受けて一時149.93円と日通し高値を付けたものの、心理的節目である150円に近づくと、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まったため伸び悩んだ。ただ、全般ドル買いが進む中、下押しは149.75円付近にとどまった。

 

メキシコペソは軟調となった。WTI原油先物価格が2%超下落したことを受けて産油国通貨とされるメキシコペソには売りが出た。ドル/ペソは一時18.3464ペソ、ペソ/円は8.16円までペソ安に振れた。同じく産油国通貨であるノルウェークローネも対ドルで11.1983クローネ、対円で13.39円まで値を下げた。

 

NY原油先物市場は3日続落:ポジション調整の売り強まる

NY原油先物市場は82.94ドル‐86.30ドルのレンジ相場となった。中東情勢の不透明感はくすぶっている一方、国際エネルギー機関(IEA)関係者の「市場安定のために必要な戦略的石油備蓄量は十分」との話も伝わり重い動きが続いた。アジア市場の序盤に86.30ドルまで買われたが、ポジション調整的な売りが強まり、ロンドン市場で85.09ドルまでじり安となった。その後、86.14ドルまで買われたが、米国市場の後半にかけて82.94ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に83ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は小幅に続落:米長期金利の低下を受けて下げ渋り

NY金先物市場は1964.60‐1992.00ドルのレンジ相場となった。日中取引の開始時間にかけて米金利水準が持ち直したことが重しとなった。金利が付かない資産である金を売る動きが優勢となった。12月限は時間外取引で一時1964.6ドルまで下落。ただ、金利水準の戻りが頭打ちとなると金相場は下落幅を縮小した。アジア市場で1992.00ドルまで買われたが、中東情勢の悪化を警戒した買いは一巡し、ロンドン市場の中盤にかけて1964.60ドルまで反落した。ただ、米長期金利の低下を受けて下げ渋り、米国市場の後半にかけて1989.00ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では主に1984ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:長期ゾーンは売り一巡後は買戻し

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.06%高い(価格は下落)5.11%で終了した。また、長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)4.82%で終了した。10月米PMI速報値の上振れを受けて売りが先行したものの、長期ゾーンは売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。米財務省が実施した2年債入札は落札利回りが市場実勢を下回り、「堅調」と受け止められた。

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2023/10/24/06:48:38

米国株式市場はまちまち:米債金利低下で買戻しが優勢に

NYダウは90.87ドル安の32936.41ドル、ナスダックは34.52ポイント高の13018.33ポイントで取引を終了した。中東情勢の一段の緊迫化を警戒した売りに寄り付き後は大幅下落した。その後、10年債利回りが2007年以降で初めて5%に達したのち値ごろ感から低下に転じたことに連れハイテク中心に買戻しに拍車がかかりナスダックはプラス圏を回復した。さらに、終盤にかけて、ハマスが新たに人質2人解放したと発表したほか、政府がイスラエルに対しガザ地上戦を延期するよう要請しているとの報道で警戒感が緩和し下げ止まった。ただ、石油関連が重しとなりダウは下げを消せず、まちまちで終了した。VIX指数は21.71から20.37へ低下した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下でドルの上値重く

ユーロ/ドルは、一時は5.0187%前後と2007年7月以来の高水準を記録した米10年債利回りが4.82%台まで低下すると全般ドル売りが優勢となった。市場では「26日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前にポジション調整目的のユーロ買いが入った」との声も聞かれ、一時1.0678ドルと9月20日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。

 

ドル/円は、週明け早朝取引では一時150.11円まで上昇する場面もあったが、NY市場に入ると徐々に弱含んだ。米長期金利が急速に低下したため全般ドル売りが優勢となり、オセアニア時間の安値149.74円を下抜けて一時149.56円と日通し安値を更新した。

 

オセアニア通貨は堅調だった。米長期金利が低下に転じたほか、中東情勢の緊張から上昇していた原油先物価格も下落した。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ、リスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨には買い戻しが入った。豪ドル/米ドルは0.6349米ドル、NZドル/米ドルは0.5858米ドルまで上げたほか、豪ドル/円は95.02円、NZドル/円は87.67円と日通し高値を更新した。

 

NY原油先物市場は続落:ポジション調整的な売りが強まる

NY原油先物市場は85.35ドル‐88.29ドルのレンジ相場となった。中東情勢鎮静化のため、各国が停戦を目指す動きがエネルギー供給停滞の懸念を和らげた。この日から中心限月となった12月限は17日以来、4営業日ぶりの安値85.35ドルまで一時下落した。アジア市場の序盤に88.29ドルまで買われたが、まもなくポジション調整的な売りが強まり、じり安となった。米国市場の後半にかけて85.35ドルまで一段安となり、通常取引終了後の時間外取引では主に86ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は5日ぶりに反落:戻る売りに押される展開

NY金先物市場は1971.00‐1994.30ドルのレンジ相場となった。安寄りした米株がプラス圏へ浮上。リスク回避資産とされる金を買う動機が弱まり、戻りを鈍らせた。アジア市場の序盤で1971.00ドルまで売られたが、中東情勢の悪化を警戒した押し目買いが増えたことによって反転し、ロンドン市場の序盤にかけて1994.30ドルまで戻した。ただ、その後は上げ渋り、米国市場の前半にかけて1981.30ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1985ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は続伸:割安感が意識され買戻しの展開に

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)5.05%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.06% 低い4.85%で終了した。時間外取引では売りが優勢となり、利回りは一時5.0187%前後と2007年7月以来の高水準を付けた。ただ、節目の5%近辺では割安感が意識されて買いが入ったため、持ち直した。米著名投資家のビル・アックマン氏が「米長期債のショートを買い戻した」と明らかにすると、市場では「他の参加者が追随して買い戻しに動いた」との見方が広がった。

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2023/10/23/03:00:44

米国株式市場は続落:中東情勢の一段の悪化を警戒した売り優勢に

NYダウは286.89ドル安の33127.28ドル、ナスダックは202.37ポイント安の12983.81ポイントで取引を終了した。金利先高観に伴う売りに寄り付き後は下落した。イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地上侵攻が迫り、週末にかけて中東情勢の一段の悪化を警戒した売りに続落となった。さらに、下院議長選で第3回投票でも決定ができず、政局混乱への懸念も売り材料となり、終日軟調推移した。金利低下にもかかわらずハイテクも売られ、相場は戻り鈍く終了した。VIX指数は21.40から21.71へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下でドルの上値の重い展開

ユーロ/ドルは、米10年債利回りが一時4.9927%前後と2007年7月以来の高水準を記録するとユーロ売り・ドル買いが先行し、1.0565ドルとアジア時間に付けた日通し安値に面合わせした。ただ、米10年債利回りが4.89%台まで低下すると全般ドル売りが優勢となり、一時1.0604ドルと日通し高値を付けた。もっとも、前日の高値1.0616ドルが目先レジスタンスとして意識されたため、上値も限定的だった。なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「インフレ率はかなり低下しており、今後も続くはず」と述べたほか、メスター米クリーブランド連銀総裁は「インフレ見通しのリスクは依然として上向き」「あと1回の利上げは自身の見解と一致」などと語った。

 

ドル/円は、植田和男日銀総裁が「賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指す」としたうえで、「粘り強く金融緩和を継続していく」と改めて表明したため円売りが出やすく、一時149.99円と日本時間夕刻に付けた日通し高値に面合わせした。ただ、政府・日銀による為替介入への警戒感は根強く、心理的節目である150円に迫る水準では足踏み状態となっている。NY時間の安値は2時過ぎに付けた149.78円で値幅は21銭程度と非常に小さかった。なお、今日の安値は夕刻に付けた149.69円で一日の値幅も30銭程度だった。

 

NY原油先物市場は4営業日ぶりに反落:持ち高調整の売りが優勢に

NY原油先物市場は87.53ドル‐89.85ドルのレンジ相場となった。中東の地政学リスクへの警戒感が高まり続けるなか時間外から買いが強まり、90.70ドル台まで上値を伸ばした。しかしながらNY勢参入後からは、週末を控えた持ち高調整の売りで伸び悩む展開になった。「欧米がイスラエルに対してガザ地区への地上侵攻を遅らせるように圧力をかけている」との一部報道も重しとなり、一時88ドル前半まで売られた。ロンドン市場で89.85ドルまで買われたが、その後は伸び悩み、株安を意識して米国市場の後半にかけて87.53ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に88ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は4日続伸:週末のポジション調整の売りが優勢に

NY金先物市場は1983.70‐2009.20ドルのレンジ相場となった。中東情勢の混迷が深まるなかでこの日もリスク回避目的の金買いが先行し、米国勢の本格参入後は2000ドル超えに成功した。もっともその後、7月31日高値に迫ったところで買いの勢いは止み、週末を控えた持ち高調整の売りに押される展開になった。一部報道から、欧米がイスラエルに対してガザ地区への地上侵攻を遅らせるように圧力をかけていると伝わると、1985ドル付近まで上値を切り下げる場面があった。アジア市場の前半で1983.70ドルまで売られたが、中東情勢の悪化を警戒した買いが増えたことで反転し、米国市場の前半にかけて節目の2000ドルを突破し、一時2009.20ドルまで上昇した。しかしながら、週末前のポジション調整的な売りが観測され、1985.60ドルまで下落。通常取引終了後の時間外取引では主に1992ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は上昇:ポジション調整と中東情勢による買いが優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.06%低い(価格は上昇)5.10%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%低い4.91%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)が高金利を長期間維持するとの見方から、この日も売りが先行した。利回りは一時4.9927%前後と2007年7月以来の高水準を記録した。ただ、売り一巡後は急速に買い戻しが入り上げに転じた。週末を控えたポジション調整目的の買いが入ったほか、市場では「中東情勢を巡る地政学リスクが一段と高まる中、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った」との声も聞かれた。

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2023/10/20/06:53:10

米国株式市場は続落:引き続き米長期金利上昇を嫌気した売り

NYダウは250.91ドル安の33414.17ドル、ナスダックは128.13ポイント安の13186.18ポイントで取引を終了した。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長講演を控え、まちまちで寄り付いた。その後、議長が長期債利回りの上昇で利上げの必要性が低下する可能性に言及し金利が伸び悩むと相場は一時上昇した。同時に、高いインフレが依然リスクで、経済の強さが続いた場合は追加利上げが正当化されるとの見解を示すなど、利上げ終了が示唆されず長期金利が再び上昇するに連れて警戒感から売りに転じた。終盤にかけて主要株式指数は下げ幅を拡大して終了した。VIX指数は19.22から21.40へ上昇した。20を超えてきたことで、ボラティリティが高まる可能性も。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇がドルの下支え

ユーロ/ドルは、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日の講演で「リスクや累積利上げを踏まえ、FOMCは進んでいる」「地政学的緊張は非常に高まっており、主要なリスクに」と述べた一方、「インフレは依然として高すぎる、さらなる進展が必要」などと発言した。また、質疑応答では「金利の高さ、期間が十分でない可能性がある」「現在の政策が引き締め過ぎでないことは明らか」と述べた半面、「利回りの上昇は利上げの必要性低下を意味し得る」などと語った。パウエル氏の発言を受けて売買が交錯したため、NY市場では大きな方向感が出ず、一時1.0616ドルと12日以来の高値を付ける場面もあったが、1.06ドル台では戻り売りなどが出たため、すぐに失速した。そのあとは1.05ドル台後半でのレンジ取引に終始した。なお、パウエル氏の発言については「他のFRB高官の発言よりもややハト派的だったうえ、最近の金融情勢の引き締まりや地政学的な緊張のリスクについても言及した。ただ、インフレ率がFRBにとって望ましい水準まで低下していないことから、高金利長期化バイアスも排除しなかった」との指摘があった。

 

ドル/円は、パウエルFRB議長の発言が伝わった直後に149.96円と3日以来の高値を付けたものの、米10年債利回りが4.88%台まで低下すると149.68円付近まで下押しした。ただ、東京時間に付けた日通し安値149.67円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢になり、149.93円付近まで持ち直した。米10年債利回りが一時4.9920%前後と2007年7月以来の高水準を記録したことも相場を下支えした。なお、売買一巡後は149円台後半でのもみ合いに終始した。今日一日の値幅は29銭程度と非常に小さい。市場では「政府・日銀による為替介入への警戒感は根強く、150円の心理的節目に迫る水準で足踏み状態となっている」との声が聞かれた。

 

NY原油先物市場は続伸:中東情勢の悪化を警戒した買いが優勢に

NY原油先物市場は85.44ドル‐89.54ドルのレンジ相場となった。時間外では86ドル半ばまで売り戻される場面があった。米政府がOPEC加盟国ベネズエラに対する制裁を緩和すると発表し、ベネズエラの石油生産拡大への期待が高まった。もっとも、NY勢が本格参入すると再び買い優勢になった。イスラエルと中東イスラム諸国との対立激化により「産油国からの石油供給が不安定になるのではないか」との懸念が高まった。引け後の時間外取引でも強含み、90ドル台に乗せている。ロンドン市場で85.44ドルまで売られた後、米国市場の前半にかけて87ドル台を回復。中東情勢の悪化を警戒した買いが再び強まり、通常取引終了後の時間外取引で89.54ドルまで一段高となった。

 

NY金先物市場は3日続伸:地政学リスクを意識した買いが継続

NY金先物市場は1957.00‐1990.20ドルのレンジ相場となった。中東情勢の緊迫感は高まったままであり、地政学リスクを意識した安全資産の金買いが続いた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言で長期金利は上昇したものの、金相場は底堅さを確認するに留まった。場中では1984ドル台まで上昇し、引け後の時間外でも上値を伸ばして8月初旬以来の高値を更新している。アジア市場の前半にかけて1957.00ドルまで売られたが、中東情勢の悪化を警戒した買いが入ったことで反転し、米国市場の終盤にかけて1990.20ドルまで一段高となった。株安も意識されたようだ。通常取引終了後の時間外取引では主に1987ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:米FRBの高金利長期化観測を嫌気した売り

米国債券市場で中期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は反発)5.16%で終了した。また、長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.08%高い(価格は下落)4.99%で終了した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は講演で「インフレ率は依然として高すぎる」と述べ、「物価上昇率が目標の2%に向かって低下すると確信できるまで金融引き締め的な政策を維持する」との考えを改めて表明した。FRBが高金利を長期間維持するとの見方から、債券売りが続いた。利回りは一時4.9920%前後と2007年7月以来の高水準を付けた。

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2023/10/19/06:44:54

米国株式市場は下落:中東情勢や米長期金利上昇を嫌気した売り優勢

NYダウは332.57ドル安の33665.08ドル、ナスダックは219.44ポイント安の13314.30ポイントで取引を終了した。中東情勢の緊迫化を警戒した売りに寄り付き後は下落した。さらに、原油高が警戒されたほか、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で国内経済の底堅さが再確認されたため長期金利が一段と上昇し、ハイテクを中心にさらに売られた。終日軟調に推移し、終盤にかけて、主要株式指数は下げ幅を拡大して終了した。VIX指数は17.88から19.22へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇でドル買いが優勢

ユーロ/ドルは、米長期金利の指標である米10年債利回りが一時4.9255%前後と2007年7月以来の高水準を記録すると全般ドル買いが先行した。前日の安値1.0533ドルを下抜けて一時1.0523ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時106.64まで上昇した。ただ、米20年債入札が『堅調』と受け止められると米長期金利が上昇幅を縮小。ユーロドルにも買い戻しが入り、1.0554ドル付近まで下げ渋る場面があった。なお、米連邦準備理事会(FRB)はこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「ほとんどの地区では9月以降、経済活動にほとんど変化は見られなかった」「労働市場の逼迫は引き続き緩和した」「米経済の短期的見通しは安定、もしくは成長がやや軟化している」と指摘した。

 

ドル/円は、米長期金利の上昇を受けて円売り・ドル買いが優勢となった。前日の高値149.85円を上抜けて一時149.94円と3日以来の高値を更新した。ただ、ユーロ/円などクロス円の下落につれた売りが出たため、上昇のスピードは緩やかだった。心理的節目である150円に近づくと、政府・日銀による為替介入への警戒感も高まる。

 

NY原油先物市場は上昇:中東情勢の悪化を懸念した買い優勢に

NY原油先物市場は86.25ドル‐88.57ドルのレンジ相場となった。パレスチナ自治区ガザを巡り、イスラエルとアラブ諸国との溝が更に広がった。中東情勢の悪化を懸念した原油買いが時間外から強まり、一時89.80ドル台まで大幅に上昇した。米国勢の参入後は調整売りに押されるも、米エネルギー省(EIA)の週間在庫統計が発表されると再び堅調さを取り戻した。週間統計では、原油とガソリン在庫がともに一部予想より取り崩し幅が大きかった。ロンドン市場で88.57ドルまで買われた後、米国市場の前半にかけて86.25ドルまで下げたが、中東情勢の悪化が引き続き警戒されており、押し目買いが入ったことで87.75ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では主に87ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は大幅に続伸:地政学リスクの高まりから買い優勢に

NY金先物市場は1935.90‐1975.80ドルのレンジ相場となった。パレスチナ自治区ガザの病院で大きな爆発があり、多数の犠牲者がでたことが報じられた。これを受けて中東の地政学リスクの高まりが更に意識され、安全資産の金に資金が向かった。先物は一時1975ドル台と9月1日以来の高値をつけている。その後、米10年債利回りが2007年7月以来の高水準を記録し、為替のドル高進行も重しとなって急ピッチで売り戻される場面はあったが、引けにかけて下値を切り上げた。アジア市場の序盤で1935.90ドルまで下げたが、安全逃避的な買いが強まることでじり高となり、米国市場の序盤にかけて1975.80ドルまで上昇した。しかしながら、米国市場の中盤以降は長期金利の上昇を嫌気した売りが増えたことで伸び悩み、一時1950.60ドルまで反落。通常取引終了後の時間外取引では主に1963ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は続落:米FRBの高金利長期化懸念の高まりから売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比5.21%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%高い4.91%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)が高金利を長期間維持するとの見方から、この日も売りが続いた。市場では「米財政の先行きに対する懸念も高まっている」との声が聞かれ、利回りは一時4.9255%前後と2007年7月以来の高水準を付けた。

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