FITS エコノミックレポート

★欧州市場序盤の取引では、欧州株が軟調に推移、NYダウ先物も155ドル安に反発となる中、前日比横ばいの106.93円前後でもみ合い推移となった。NYダウ先物が230ドル超安に下げ幅を拡大、日経先物も110円安に続落となる中、全般的にリスク回避によるドル高の流れが進行した。欧州株・NYダウ先物の軟調な動きを眺めながら、全般リスク回避のドル買いが継続した。

6月米小売売上高や7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が市場予想を上回るなど、米経済指標が良好な結果となったが、反応は限定的となった。ECBの金融政策イベントを無難に通過したほか、NYダウがプラス圏を回復したことで、リスク回避のドル買いが後退した。ドルがユーロに対して強含むと共に下値を切り上げる中、円売りも強まった。一部報道で米政府は全ての中国共産党員とその家族の米渡航禁止を検討と伝わった。米疾病予防管理センターは、米国の新たな感染者が6万7404人と前日比10.5％増加、死亡者数も前日比22.5％増の947人と伝えた。米国株が下落するとリスク回避のドル買いがじわりと強まり一時107.40円と日通し高値を付けた。

★欧米主要経済指標

・ユーロ圏・5月貿易収支：+94億ユーロ（4月：+29億ユーロ）

・米・6月小売売上高：前月比＋7.5％（予想：+5.0％、5月：＋18.2％←+17.7％）
・米・6月小売売上高(自動車除く)：前月比＋7.3％（予想：+5.0％、5月：＋12.1％←+12.4％）
・米・7月フィラデルフィア連銀製造業景況指数：24.1（予想：20.0、6月：27.5）
・米・先週分新規失業保険申請件数：130万件（予想：125万件、前回：131万件←131.4万件）
・米・失業保険継続受給者数：1733.8万人（予想：1750万人、前回：1776万人←1806.2万人）
・米・7月NAHB住宅市場指数：72（予想：61、6月：58）
・米・5月企業在庫：前月比‐2.3％（予想：-2.3％、4月：‐1.4％←-1.3％）
・米・5月対米証券投資収支：＋1270億ドル（4月：ネット長期有価証券－1308億ドル←-1284億ドル）
・米・5月対米証券投資全体：－45億ドル（4月：＋1217億ドル←+1253億ドル）

★欧米市場のポイント

・ドル/円相場は106.91-107.40円のレンジ

・ECBは市場予想通り政策金利を据え置き

・パンデミック緊急資産購入プログラムは1.35兆ユーロで維持

・中国や欧州の株式相場が下落したことでリスク回避のドル買い

・米経済指標は概ね良好な結果

・米国内の新型コロナウイルス感染者が前日比で急増

・VIX指数は27.76から28.00へ上昇