FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月3日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は小幅続落する一方で、ナスダック指数は小幅反発する展開になった。インフラ包括案を巡り上院が可決に向けて前進したため、インフラ計画が回復ペースをさらに後押しするとの期待に寄り付き後は大きく買われた。NYダウは日中取引で、史上最高値を更新した。その後、供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景況指数が予想外に低下したほか、新型コロナウイルスデルタ株流行拡大を警戒し長期金利が再び2月来の水準に低下すると、回復減速懸念に売りに拍車がかかり、下落に転じた。引けにかけては、ウォーラーFRB理事が労働市場の動向次第で9月にも緩和縮小を発表する可能性を示唆すると下げ幅を拡大した。一方、長期金利は、7月米ISM製造業景気指数が予想を下回ったことを受けて、相対的に安全資産とされる米国債が買われた(利回りは低下)。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.24から19.46へ上昇した。VIX指数は20を下回る展開になっており、株価は下落したもののリスク回避の動きが後退して相場安定の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・7月30日:▲3.190%⇒8月2日:予想▲3.328%(前日比で拡大:割安)

 

8月2日のNYダウが続落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.292%から+0.036%と平均値より上方かい離したことで割安になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.898%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.774%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.213%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.689%下回った。NYダウは、好調が続く4-6月期決算や超党派議員によるインフラ投資法案への期待から上昇してスタートしたものの、新型コロナウイルスの感染再拡大や景気回復の腰折れ懸念などから取引終盤は売りが優勢となった。NYダウは一時、256.64ドル高の35192.11ドルまで上昇し、2営業日ぶりに取引時間中の史上最高値を更新したが、97.31ドル安(-0.28%)の 34838.16ドルと2日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・7月30日:▲3.190%⇒8月2日:予想▲3.248%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は続落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.772%から+0.476%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.621%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.754%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲0.931%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.251%下回った。20年3月23日の6.222%から▲2.974%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・7月30日:▲1.780%⇒8月2日予想▲1.828%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが小幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.776%から+0.052%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.351%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.555%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.670%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲0.975%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.266%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価も小幅反発したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.8%台前半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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