★NY株式市場では、三指数はまちまちの展開となった。米金融緩和策が長期化し、米株式市場に資金流入が続くとの期待が高まった。また、トランプ政権がアボットが開発したウイルス検査キットを1.5億個購入すると発表し、ウイルス検査の拡大期待が強まり、引けにかけて再び上昇幅を拡大する展開となった。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。米長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)が完全雇用達成と物価を健全な水準に戻すための新戦略を発表すると、ゼロ金利が長期化し米景気回復を後押しするとの見方から安全資産とされる米国債に売り(金利は上昇)が出た。このところ、米長期金利の変動幅が上下に大きくなっており、日々イールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割安感はなくなっている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りがでやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』が懸念されている。さらに、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は23.27から24.47へ上昇した。 VIX指数が20台前半まで低下してきたが、20を上回っていることからリスク回避の動きは継続している。ただ、一時のVIX指数が高水準からは、かなり低下してきている。そのため、VIX指数が20を割ってくると、さらに市場に落ち着きが出たことになる。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.327%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%、20/08/26-▲2.980%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・8月26日:▲2.980%⇒8月27日:予想▲2.901%(前日比で縮小:割高)
8月27日のNYダウは続伸したもうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.327%から▲0.426%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.325%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.201%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.640%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.116%下回った。米連邦準備理事会(FRB)はこの日、インフレが一時的に2%を超えることを容認する新たな金融政策の方針を決めたと発表した。米金融緩和策が長期化し、米株式市場に資金流入が続くとの期待が高まった。金融や資本財など景気敏感株が買われ、NYダウは一時300ドル超上げた。また、トランプ政権がアボットが開発したウイルス検査キットを1.5億個購入すると発表し、ウイルス検査の拡大期待が強まり、引けにかけて再び上昇幅を拡大する展開となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%
20/08/26-▲2.739%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・8月26日:▲2.739%⇒8月27日予想▲2.674%(前日比で縮小:割高)
S&P500は続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.773%から▲0.099%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.195%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.328%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.505%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.825%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.548%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.810%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
20/08/26-▲1.499%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・8月26日:▲1.499%⇒8月27日予想▲1.448%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反落したものの、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.810%から▲0.362%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.731%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.935%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.050%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.355%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.646%下回った。
NASDAQは、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。連日で史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。しかし、イールドスプレッドは、長期金利上昇したことで一時より半分以下まで縮小している。そのため、今後も利益確定売りが出やす地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、1.5%割れまで低下推移しており割高感も出てきている。2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。米中関係の悪化から売られやすい地合いとなっており、ネガティブなニュースが入ると下落しやすい。
三指数のイールドスプレッドは、三指数ともに全て縮小した。三指数はまちまち展開になったものの、米長期金利が大幅上昇したことで、イールドスプレッドは縮小する展開となった。米金融緩和策が長期化し、米株式市場に資金流入が続くとの期待が高まった。金融や資本財など景気敏感株が買われた。また、トランプ政権がアボットが開発したウイルス検査キットを1.5億個購入すると発表し、ウイルス検査の拡大期待が強まり、引けにかけて再び上昇幅を拡大する展開となった。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。連日で史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。今後も新型コロナウイルス感染報道やワクチン開発の進展、米国追加財政策の行方、米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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