FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月20日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数は全て下落する展開となった。新型コロナウイルスのワクチン早期開発への期待や米小売り大手の決算を好感した買いが先行した。しかし、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で『回復してきた個人消費が新型コロナ感染拡大で再び減速している』との見解が示され、景気への懸念が表明されたほか、イールドカーブ・コントロール(YCC)には前向きでないことが明らかになると、株式への売りが優勢となった。一方、米長期金利は、20年債入札で『低調な需要』が示されたほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で『イールドカーブ・コントロール(YCC)などのハト派的な政策の導入に現時点で否定的な見解』が示されたことを受けて債券売り(金利は上昇)が強まった。 このところ、米長期金利の変動幅が上下に大きくなっており、日々イールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割安感はなくなっている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りがでやすい。また、米国の追加財政策が先行き『財政の崖』問題につながりやすく、リスク回避の材料になりやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』が懸念されている。さらに、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は21.51から22.54へ上昇した。 VIX指数が20台前半まで低下してきたが、20を上回っていることからリスク回避の動きは継続している。ただ、一時のVIX指数が高水準からは、かなり低下してきている。そのため、VIX指数が20を割ってくると、さらに市場に落ち着きが出たことになる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.328%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月18日:▲3.129%⇒8月19日:予想▲3.130%(前日比で拡大:割安)

 

8月19日のNYダウは続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.328%から▲0.198%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.096%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.972%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.411%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.887%下回った。新型コロナウイルス追加経済救済策を巡り共和党・民主党指導者は交渉を再開する見通しで、当初の計画よりも規模を削減し5000億ドル前後の規模での合意の可能性が報じられ、上昇して寄り付いた。また、新型コロナウイルスのワクチン早期開発への期待や米小売り大手の決算を好感した買いが先行した。しかし、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で『回復してきた個人消費が新型コロナ感染拡大で再び減速している』との見解が示され、景気への懸念が表明されたほか、イールドカーブ・コントロール(YCC)には前向きでないことが明らかになると、株式への売りが優勢となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/12-▲2.844%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月18日:▲2.838%⇒8月19日予想▲2.843%(前日比でわずかに拡大:割安)

 

S&P500は反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.773%から+0.070%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.026%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.159%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.336%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.656%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.379%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.810%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月18日:▲1.623%⇒8月19日予想▲1.625%(前日比でわずかに拡大:割安)

 

NASDAQが反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.810%から▲0.185%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.554%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.758%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.873%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.178%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.469%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、一時より半分以下まで縮小している。そのため、今後も利益確定売りが出やす地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、1.6%台前半まで低下推移しており割高感出てきている。2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。米中関係の悪化から売られやすい地合いとなっており、ネガティブなニュースが入ると下落しやすい。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数とも下落したにも関わらず、米長期金利が上昇したことで、わずかに拡大する展開となった。新型コロナウイルスのワクチン早期開発への期待や米小売り大手の決算を好感した買いが先行した。しかし、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で『回復してきた個人消費が新型コロナ感染拡大で再び減速している』との見解が示され、景気への懸念が表明されたほか、イールドカーブ・コントロール(YCC)には前向きでないことが明らかになると、株式への売りが優勢となった。今後も新型コロナウイルス感染報道やワクチン開発の進展、米国追加財政策の行方、米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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