FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで8月12日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数は全て下落する展開となったものの、米長期金利は、『ロシア政府がコロナワクチンを承認した』との報道を受けて、経済正常化につながるとの期待から安全資産とされる米国債に売り(金利は上昇)が出た。また、今週予定されている国債入札による需給悪化への警戒感も相場の重石となった。このところ、米長期金利の変動幅が上下に大きくなっており、日々イールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割安感はなくなっている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りがでやすい。また、米国の追加財政策が先行き『財政の崖』問題につながりやすく、リスク回避の材料になりやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第2波』が懸念されている。米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は22.13から24.03へ再上昇した。 VIX指数が20台前半まで低下してきたが、20を上回っていることからリスク回避の動きは継続している。ただ、一時のVIX指数が高水準からは、だいぶ低下してきている。そのため、VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。

 

NYダウは、200日SMAの26,243ドルや260日SMAの26,306ドルから上方に放れる展開となっており、上昇基調は継続している。また、ロウソク足は上向きの5日SMAの27,500ドルと10日SMAの27,027ドルの上方に位置していることで、短期的にも上昇基調が継続している。心理的な節目となる28,000ドルを付けたことで達成感による売りが出やすかった。200日SMAと260日SMAを明確に下抜けするまでは強い相場が継続しそうである。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.328%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月10日:▲3.226%⇒8月11日:予想▲3.179%(前日比で縮小:割高)

 

8月11日のNYダウが反落したものの、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.328%から▲0.149%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.047%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.923%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.362%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.838%下回った。米国の追加経済対策への期待や『ロシア政府がコロナワクチンを承認した』との報道を好感して買いが先行すると、一時360ドル超上げた。ただ、アップルなど主力ハイテク株を中心に利益確定売りが強まるとNY午後に失速した。前日まで7日続伸し約5カ月半ぶりの高値を付けていただけに利益確定目的の売りが出た。『米追加景気対策を巡る米政権と与野党の協議が行き詰まっている』と伝わったことも市場心理を冷やした。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/04/25-▲2.966%

               20/08/11-▲2.887%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月10日:▲2.919%⇒8月11日予想▲2.887%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反落したものの、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.773%から+0.114%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.982%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.115%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.292%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.612%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.335%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.811%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月10日:▲1.769%⇒8月11日予想▲1.749%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続落したものの、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.811%から▲0.062%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.430%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.634%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.749%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.054%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.345%下回った。

 

NASDAQは、トランプ大統領による中国のアプリTikTokやWeChatを禁止する大統領令の影響でハイテク株は引き続き軟調で3日続落となった。連日史上最高値を更新して、イールドスプレッドは一時より半分以下まで縮小していた。そのため、利益確定売りが出やす地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは1.7%台半ばで推移しており、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。米中関係の悪化から売られやすい地合いとなっており、ネガティブなニュースが入ると下落しやすい。

 

三指数のイールドスプレッドは、全て縮小する展開となった。米長期金利が上昇したことで、三指数は全て下落する展開となったものの、イールドスプレッドは縮小した。米国の追加経済対策への期待や『ロシア政府がコロナワクチンを承認した』との報道を好感して買いが先行すると、一時360ドル超上げた。ただ、アップルなど主力ハイテク株を中心に利益確定売りが強まるとNY午後に失速した。トランプ大統領による中国のアプリTikTokやWeChatを禁止する大統領令の影響でハイテク株は引き続き軟調だった。今後も新型コロナウイルス感染報道や米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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