FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで7月28日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに全て下落する展開になった。6月耐久財受注速報値が予想を下回ったことが回復への懸念に繋がり、寄り付き後は下落した。アメリカ疾病管理予防センター(CDC)がワクチン接種完了者も一部の地域で室内でのマスク着用を推奨する方針に転じると報じられ、新型コロナ・デルタ株流行への警戒感も重石となった。さらに、連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表を明日に控えた調整と見られる売りも目立ち、終日軟調推移となった。決算を控えた主要ハイテク株も売られた。中国政府による規制強化の影響を巡る懸念から中国株相場が大幅に続落したことも投資家心理の悪化につながり、一時260ドル超下落する場面があった。ただ、『シューマー米民主党・上院院内総務が超党派のインフラ法案の上院通過について楽観的な見通しを示した』と伝わると、下げ幅を縮めた。一方、長期金利は、中国や欧米の株式相場の下落を受けて、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)の感染拡大で、世界経済の先行き懸念が強まったことも相場の支援材料になった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.20から17.58へ上昇した。VIX指数は再び20を下回る展開になっており、リスク回避の動きが後退して相場安定の動きになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・7月26日:▲3.001%⇒7月27日:予想▲3.063%(前日比で拡大:割安)

 

7月27日のNYダウが反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.292%から▲0.229%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.163%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.039%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.478%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.954%下回った。NYダウは、アジア・欧州株が下落した流れを受けて警戒感が強まる中、引け後に決算発表を控えるアップル、マイクロソフト、アルファベットなどのハイテク・ジャイアントにも調整売りが入った。前日引け後に好決算を発表したテスラは1%超上昇後に2%近く下落した。前日まで連日で史上最高値を更新した主要3指数はそろって6日ぶりに反落した。NYダウは一時266ドル安まで下落後、85.79ドル安(-0.24%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・7月26日:▲2.959%⇒7月27日:予想▲3.030%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は反落したうえ、米長期金利も低下ことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.771%から+0.259%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.839%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.972%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.149%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.469%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.192%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・7月26日:▲1.519%⇒7月27日予想▲1.604%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.776%から▲0.172%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.575%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.779%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.894%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.199%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.490%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下したうえ、株価も反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台前半までスプレッドが拡大してきた。そのため、割高感はだいぶ薄れてきた。しかし、米長期金利の上昇やネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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