FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで7月19日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに全て下落する展開になった。6月小売売上高が予想外のプラスに改善したため強い回復への期待が高まり、寄り付き後、上昇。しかし、7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想外に低下したため期待が後退して下落に転じた。さらに、世界で感染力の強いインド発の新型コロナウイルス感染症『デルタ変異株』の感染が広がる中、景気の先行き不透明感が高まり売りが優勢となった。米カリフォルニア州ロサンゼルス郡はワクチン接種の有無に関係なく屋内でのマスク着用を17日深夜から再度義務付けるなど、ワクチン接種が進む国でも再び行動制限に踏み切る動きが相次いでいる。一方、長期金利は、6月米小売売上高が予想を上回ったことを受けて債券売りが先行したものの、新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されて次第に買い戻し(利回りは低下)が進んだ。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は幾分解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.01から18.45へ上昇した。VIX指数は上昇したものの、20を下回っていることから相場は安定している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.292%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・7月15日:▲2.989%⇒7月16日:予想▲3.031%(前日比で拡大:割安)

 

7月16日のNYダウが反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.292%から▲0.361%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.195%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.071%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.510%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.986%下回った。NYダウは、強い米6月小売売上高を好感し上昇してスタートしたものの、寄り後に発表された7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値の悪化を受けてセンチメントが悪化した。NYダウは朝方に102ドル高の35090.01ドルまで上昇し、5月10日に付けた史上最高値35091.56ドルに迫ったが、299.17ドル安(-0.86%)の34687.85ドルと、ほぼ一日の安値で終了した。3日ぶりの反落となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・7月15日:▲2.975%⇒7月16日:予想▲3.013%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は続落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.770%から+0.243%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.856%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.989%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.166%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.486%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.209%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.776%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・7月15日:▲1.580%⇒7月16日予想▲1.608%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.776%から▲0.168%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.571%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.775%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.890%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.195%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.486%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一うえ、株価も下落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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