FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで6月4日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数は全て上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは三指数とも前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。米長期金利が0.70%台まで上昇してきたことで、イールドスプレッドの縮小要因となる。そのため、米長期金利が上昇基調となると米国株価に割高感が強まる。経済活動の再開で米景気が回復に向かうとの期待が高まった。また、米国政府が第4弾の経済支援策を検討中との報道も好感され、引けにかけてさらに上げ幅を拡大した。イールドスプレッドからは、三指数とも割安感は消えきている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りが出やすい。また、米企業の業績下方修正により、PERが上昇しやすく三指数ともに平均値を大きく上回っているため、割安感がさらに薄まる可能性が高い。

 

今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は一時的なものになりやすい。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、景気後退は避けられないほか、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されてきており、一方的な戻りにもなり難い。VIX指数は26.84から25.66へ低下した。未だにVIX指数が20台半ば近辺で推移していることで、リスク回避の動きは継続している。VIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。

 

NYダウは、5日SMAの25,654ドルの上方に位置しており、短期的にも上昇基調は継続している。下値では上向きの10日SMAの25,232ドルや100日SMAの25,260ドルがサポートラインとして意識される。さらに、2月12日高値29,569ドルと3月23日安値18,214ドルの半値戻し23,891ドルを上回ったことでサポートとして意識される。ただ、イールドスプレッドからは割安感が払しょくされていることから、200日SMAの26,298ドルと260日SMAの26,319ドル近辺が戻り上値目処として意識され上値を抑える展開となっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.328 %

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月2日:▲3.423%⇒6月3日:予想▲3.278%(前日比で大幅に縮小)

 

6月2日のNYダウは大幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.328%から▲0.05%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.948%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.824%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.263%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.739%下回った。中国の5月サービス業PMIが予想外のプラス成長に回復したほか、5月ADP全米雇用リポートや5月米ISM非製造業指数など予想を上回る経済指標が相次ぎ、経済活動の再開で米景気が回復に向かうとの期待が高まった。旅客が増えれば航空機需要も持ち直すとの見方から、航空機のボーイングが13%近く上昇し、1銘柄でダウ平均を153ドルほど押し上げた。また、米国政府が第4弾の経済支援策を検討中との報道も好感され、引けにかけてさらに上げ幅を拡大した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月2日:▲3.042%⇒6月3日予想▲2.929%(前日比で大幅に縮小)

 

S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.769%から+0.160%と平均値より上方かい離していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.940%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.073%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.250%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.570%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.293%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.812%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月2日:▲1.860%⇒6月3日予想▲1.779%(前日比で縮小)

 

NASDAQが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.812%から▲0.033%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.400%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.604%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.719%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.024%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.315%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは一時より半分以下まで縮小してきている。また、1.8%台割れまでイールドスプレッドが縮小してきたことで、割安感はほぼ払しょくされている。ただ、景気回復期待や新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き戻り基調となりやすい。一方で、米中関係の悪化懸念も高まってきており、再び下値模索の可能性も残る。さらに、米国内では抗議デモの拡大と暴徒化しており、トランプ政権のリスク要因となる。三指数の中での割安感が払しょくしている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数ともに上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。5月ADP全米雇用リポートや5月米ISM非製造業指数など予想を上回る経済指標が相次ぎ、経済活動の再開で米景気が回復に向かうとの期待が高まった。また、米国政府が第4弾の経済支援策を検討中との報道も好感され、引けにかけてさらに上げ幅を拡大した。今後も新型コロナウイルス感染報道や米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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