FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで5月18日の米国株市場を先取り!割安感は薄れている!

 

★NY株式市場では、三指数は全て上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。5月のミシガン大消費者信頼感が予想外に改善したほか、米国では30州以上が経済活動を再開し始めており、米景気が回復に向かうとの期待が高まった。原油先物6限が一時2カ月ぶりの高値を付けたことも投資家心理の改善につながった。米長期金利は、上昇基調となっていることでイールドスプレッドは縮小し、三指数とも以前より割安感は薄れてきている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りが出やすい。また、米企業の業績下方修正により、PERが上昇しやすく割安感がさらに薄まる可能性が高い。

 

今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は一時的なものになりやすい。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、景気後退は避けられないほか、どの程度速やかに救済資金が消費者や企業に供給されるかなどに不透明感もあるため、一方的な戻りにもなり難い。VIX指数は32.61から31.89へ低下した。VIX指数が30台へ上昇していることで、リスク回避の動きが継続している。未だにVIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。米中関係の悪化懸念も出始めていることは、株式市場の売り材料になりやすい。

 

NYダウは、続伸したものの緩やかに下向きとなっている5日SMAの23,709ドルと10日SMAの23,805ルがレジスタンスとなり上値を抑える展開となった。また、25日SMAの23,802ドルも上値でレジスタンスとして意識される。今までサポートラインとして意識されていたSMAを下抜けしたことで、一転してレジスタンスとして上値を抑えている。また、2月12日高値29,569ドルと3月23日安値18,214ドルの半値戻し23,891ドルを下回ったことも意識される。もう一段下落すると下値模索の展開となるため、週初の市場動向が重要なポイントとなる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.327 %

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・5月14日:▲3.727%⇒5月15日:予想▲3.689%(前日比で縮小)

 

5月15日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.327%から+0.362%と平均値より上昇かい離していることで割安になっている。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.537%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.413%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲0.852%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.328%下回った。米国政府が中国通信機器最大手ファーウェイへの制裁強化を発表するなど米中対立激化が懸念されたほか、4月小売売上高が過去最大の落ち込みとなったことを嫌気して、大きく下落して寄り付き、一時270ドル超下落したものの、下値は堅かった。ただ、5月のミシガン大消費者信頼感が予想外に改善したほか、米国では30州以上が経済活動を再開し始めており、米景気が回復に向かうとの期待が高まった。原油先物6限が一時2カ月ぶりの高値を付けたことも投資家心理の改善につながった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.767%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・5月14日:▲3.455%⇒5月15日予想▲3.411%(前日比で縮小)

 

S&P500が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.767%から+0.644%と平均値より上方かい離していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.458%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.591%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲0.768%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.088%下回った。20年3月23日の6.222%から▲2.811%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.812%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・5月14日:▲2.179%⇒5月15日予想▲2.131%(前日比で縮小)

 

NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.812%から+0.319%平均値より上方かい離していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.048%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.252%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.367%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲0.672%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲1.963%下回った。

 

NASDAQは過去の底値となったイールドスプレッドより縮小してきていることや、2.131%までイールドスプレッドが縮小してきていることから割安感は払しょくされてきている。新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き急速な戻り基調となりやすい。一方で、米中関係の悪化懸念も高まってきており、再び下値模索の可能性も残る。三指数の中での割安感が払しょくされてきている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が全て上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに縮小した。新型コロナウイルスの感染第2波への不安感や米中対立への懸念が高まる中、5月のミシガン大消費者信頼感が予想外に改善したほか、米国では30州以上が経済活動を再開し始めており、米景気が回復に向かうとの期待が高まった。原油先物6限が一時2カ月ぶりの高値を付けたことも投資家心理の改善につながった。今後も新型コロナウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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