FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで4月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て反転する展開になった。連邦準備制度理事会(FRB)による急激な利上げを警戒した売りが継続し、寄り付き後は下落し一時300ドル超下落した。しかし、雇用関連指標の強い結果や一部長短金利の逆転が解消したため景気後退入り懸念も緩和したほか、値ごろ感からの買いが下値を支え、引けにかけてプラス圏に回復した。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)高官によるタカ派的な発言が相次ぐ中、積極的な米金融引き締めが意識されて債券売り(利回りは上昇)が継続した。良好な米雇用指標も相場の重しとなり、利回りは一時2.6710%前後と2019年3月以来約3年1カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数が反転する動きになったことで、イールドスプレッドは前日比で三指数全てで縮小した。割高感が強まっていることから上値追いよりも、下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.10から21.55へ低下した。VIX指数が再び20台乗せとなっていることで、米国株は不安定な動きになりやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.266%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/4/5-▲1.993%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・4月6日:▲2.003%⇒4月7日:予想▲1.927%(前日比で縮小:割高)

 

4月7日のNYダウが反転したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.266%から▲1.339%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.299%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.175%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.614%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.090%下回った。NYダウは、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締め策が引き続き嫌気されハイテク株を中心に大きく下落したが、売り一巡後は生活必需品やヘルスケアなどのディフェンシブ株を中心に買い戻された。NYダウは朝方に305ドル安まで下落後、終盤に209ドル高まで上昇し、87.06ドル高(+0.25%)と3日ぶりに反発して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.780%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/4/5-▲2.271%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・4月6日:▲2.281%⇒4月7日:予想▲2.195%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.780%から▲0.585%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.674%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.807%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.984%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.304%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.027%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.760%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/4/5-0.777%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・4月6日:▲0.814%⇒4月7日予想▲0.746%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.760%から▲1.014%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.433%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.637%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.752%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.057%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.348%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価は反転したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.7%半ばまで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ