FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで4月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は小反発した一方で、ナスダック総合指数は小幅続落する展開になった。新型コロナウイルスのワクチン普及による米経済再開への期待や、米金融緩和の長期化観測を背景に買いが入った。半面、NYダウは史上最高値圏にあるだけに、利益確定の売りなどが出て下げに転じる場面もあった。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した3月分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受け、早期の緩和策縮小観測が後退したことが下支えとなりNYダウは小幅高で引けた。一方、米長期金利は、注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では『経済は改善しているものの、FRBの目標には程遠い』『先行きはなお極めて不確実』『支援策の引き揚げを検討できるほど状況が改善するまではしばらく時間がかかる』との見解が示されたが、市場では『新味に乏しい内容で、持ち高調整の売り(利回りは上昇)が出た』との指摘があった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.12から17.16に低下した。VIX指数が20割れ定着となるようなら、市場は安定方向に向かう。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.305%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・4月6日:▲2.555%⇒4月7日:予想▲2.537%(前日比で縮小:割高)

 

4月7日のNYダウは小幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.305%から▲0.768%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.689%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.565%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.004%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.480%下回った。Nダウは、FOMC議事要旨で緩和的金融政策の長期化が示されたことが好感された。そのため、NYダウも16.02ドル高(+0.05%)とわずかながら上昇して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.771%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・4月6日:▲2.461%⇒4月7日:予想▲2.438%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は小反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.771%から▲0.333%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.431%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.564%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.741%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.061%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.784%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.786%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・4月6日:▲1.166%⇒4月7日予想▲1.152%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小幅続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.786%から▲0.634%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.027%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.231%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.346%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.651%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.942%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価が小反落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.1%台半ばまで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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