FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで4月7日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て続落する展開になった。3月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表を控えた金利高に伴うハイテク株の下落が重しとなり、寄り付き後は下落した。 議事録では、保有資産縮小計画で削減ペースが明らかになり、さらに、年内数回0.5%の利上げが実施される可能性が示唆されたため、急激な引き締めで景気減速に繋がるとの懸念も強まり、ウクライナ情勢も引き続き投資家心理の重荷となり、一時360ドル超下げた。同時に、想定通りの内容でほぼ織り込み済みと見られ、引けにかけては押し目買いに下げ幅を縮小した。一方、長期金利は、前日のブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事のタカ派的な発言を受けて、米金融引き締めが加速するとの観測から債券売りが優勢となった。利回りは一時2.6557%前後と2019年3月以来約3年1カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、主要三指数は続落する動きになったものの、イールドスプレッドは下落率の低いNYダウは縮小したものの、下落率の大きかったS&P500とナスダック総合指数は拡大する展開になった。割高感が強まっていることから上値追いよりも、下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は21.03から22.10へ上昇した。VIX指数が再び20台乗せとなっていることで、米国株は不安定な動きになりやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.266%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/4/5-▲1.993%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・4月5日:▲1.993%⇒4月6日:予想▲1.969%(前日比で縮小:割高)

 

4月6日のNYダウが続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.266%から▲1.297%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.257%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.133%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.572%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.048%下回った。NYダウは、午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、バランスシートを毎月950億ドルのペースで縮小する方針が明らかになった。インフレ抑制のための積極的な引き締め姿勢を受けて長期金利が上昇し、ハイテク・グロース株が幅広く下落した。NYダウはFOMC議事要旨公表後に364ドル安まで下落後、144.67ドル安(-0.42%)と下落幅を縮小して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.780%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/4/5-▲2.271%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・4月5日:▲2.271%⇒4月6日:予想▲2.276%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.780%から▲0.504%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.593%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.726%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.903%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.223%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.946%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.760%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/4/5-0.777%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・4月5日:▲0.777%⇒4月6日予想▲0.811%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.760%から▲0.949%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.368%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.572%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.687%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.992%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.283%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は大幅続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.8%前半まで縮小していることで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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