FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで4月23日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに全て反発する展開になった。新型コロナウイルス変異種感染拡大を受けて、国務省が100カ国近くを渡航禁止国に指定したため経済活動の再開が抑制されるとの懸念に、下落して寄り付いた。しかし、米疾病対策センター(CDC)によると、米国の新型コロナワクチン接種回数は2億回を超え、バイデン米大統領の目標接種回数を達成した。ワクチン普及への期待から景気敏感株中心に買い戻しが広がった。好決算を発表したIBMが3.9%ほど上昇し、1銘柄でNYダウを36ドル程度押し上げた。一方、米長期金利は、米国株相場の上昇を受けて債券売り(利回りは上昇)が先行したものの、20年債入札が好調な結果になると買い(利回りは低下)戻しが入ったため持ち直した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.29から17.50に若干上昇した。ただ、VIX指数が20割れ定着してきていることから、市場は安定方向に向かっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.302%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・4月21日:▲2.643%⇒4月22日:予想▲2.698%(前日比で拡大:割安)

 

4月22日のNYダウは大幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.302%から▲0.604%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.528%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.404%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.843%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.319%下回った。NYダウは、午前の取引では良好な決算発表が続いたことや、新規失業保険申請件数が強い結果となったことで堅調に推移したが、午後にバイデン米大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン課税を強化すると報じられたことで大きく上昇したグロース株を中心に利益確定売りが強まった。NYダウは一時420ドル安まで売られ、321.41ドル安(-0.94%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・4月21日:▲2.548%⇒4月22日:予想▲2.601%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は反落したうえ、米長期金利の低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.770%から▲0.169%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.268%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.401%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.578%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.898%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.621%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.783%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・4月21日:▲1.216%⇒4月22日予想▲1.259%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.783%から▲0.524%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.920%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.124%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.239%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.544%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.835%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価が反落したことで拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台半ばまで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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