FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで4月22日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに全て反発する展開になった。新型コロナウイルス変異種感染拡大を受けて、国務省が100カ国近くを渡航禁止国に指定したため経済活動の再開が抑制されるとの懸念に、下落して寄り付いた。しかし、米疾病対策センター(CDC)によると、米国の新型コロナワクチン接種回数は2億回を超え、バイデン米大統領の目標接種回数を達成した。ワクチン普及への期待から景気敏感株中心に買い戻しが広がった。好決算を発表したIBMが3.9%ほど上昇し、1銘柄でNYダウを36ドル程度押し上げた。一方、米長期金利は、米国株相場の上昇を受けて債券売り(利回りは上昇)が先行したものの、20年債入札が好調な結果になると買い(利回りは低下)戻しが入ったため持ち直した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は17.29から17.50に若干上昇した。ただ、VIX指数が20割れ定着してきていることから、市場は安定方向に向かっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.302%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・4月20日:▲2.670%⇒4月21日:予想▲2.632%(前日比で縮小:割高)

 

4月21日のNYダウは反発した一方で、米長期金利はほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.302%から▲0.670%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.594%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.470%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.909%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.385%下回った。NYダウは、ネットフリックスが成長鈍化懸念で大幅安となったものの、クルーズ、空運などの経済活動再開銘柄が軒並み上昇したほか、テスラなどのグロース株も買われた。NYダウは朝方に47ドル安まで下落したが、316.01ドル高(+0.93%)とほぼ一日の高値圏で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.770%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・4月20日:▲2.581%⇒4月21日:予想▲2.544%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反発した一方で、米長期金利がほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.770%から▲0.226%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.325%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.458%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.635%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.955%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.678%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.783%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・4月20日:▲1.240%⇒4月21日予想▲1.209%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発した一方で、米長期金利がほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.783%から▲0.574%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.970%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.174%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.289%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.594%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.885%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利がほぼ横ばいだった一方で、株価が大幅反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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