FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月8日の米国株市場を先取り!割高感が強い!

 

★NY株式市場では、三指数ともに反発する展開になった。2月米雇用統計が予想より良好な内容となったことで投資家心理が改善し、幅広い銘柄に買い戻しが入った。また、1.9兆ドル規模の追加経済対策が速やかに成立する可能性があること、いくつかの州が来週からパンデミック対策の規制緩和を計画していることから経済活動の再開を期待した買いが支えた。原油先物価格の上昇を受けて石油株が買われたことも相場の押し上げ要因となり一時650ドル超上げた。ただ、米長期金利の上昇が警戒されて、指数はマイナス圏で推移する場面もあった。一方米長期金利は、良好な2月米雇用統計を受けて債券売りが先行し、10年債利回りは一時1.6238%前後と昨年2月以来の高水準を付けた。ただ、売り(利回りは上昇)一巡後は値ごろ感からの押し目買い(利回りは低下)が入り上げに転じる場面もあった。週末を控えたポジション調整目的の買いも入った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は28.57から24.66へ低下した。VIX指数がえ24半ばで推移していることで不安定な値動きが継続しやすい。20を割れるまでは不安定な動きが継続する。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.310%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月4日:▲2.924%⇒3月5日:予想▲2.839%(前日比で縮小:割高)

 

3月5日のNYダウは反発したうえ、米長期金利が小幅に上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.310%から▲0.471%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.387%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.209%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.702%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.178%下回った。NYダウは、米2月雇用統計が強い結果となり早期景気回復期待が高まったほか、一時、今年最高まで上昇した米10年債利回りが反転したことも安心感につながった。NYダウは100ドル以上上昇してスタート後、157ドル安まで下落したが、長期金利の低下を受けて656ドル高まで上昇し、572.16ドル高(+1.85%)とほぼこの日の高値圏で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月4日:▲2.837%⇒3月5日:予想▲2.750%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は反発したうえ、米長期金利も小幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.773%から▲0.023%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.119%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.252%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.429%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.749%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.472%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.791%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月4日:▲1.397%⇒3月5日予想▲1.349%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利も小幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.791%から▲0.442%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.830%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.034%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.149%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.454%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.745%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が小幅上昇したうえ、株価も反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%台半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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