★NY株式市場では、三指数ともに下落する展開になった。テキサス州などがパンデミック対策の全規制を解除すると発表したほか、バイデン米大統領が『5月末までに米国の成人全員分の新型コロナワクチンを確保できる』と表明したことで、ワクチン普及が米経済活動の正常化を促すとの期待が強まり景気敏感株が上昇した。ただ、2月ADP雇用統計や2月ISM非製造業景況指数が予想を下回ったほか、米長期金利の上昇を警戒し、ハイテク株に売りが集まると指数は失速した。NYダウは不安定な値動きが続き、終盤売りが加速した。一方米長期金利は、米インフレ観測が急速に強まる中、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が想定よりも早く修正される可能性が意識されて、債券売り(利回りは上昇)が広がった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は24.10から26.67へ上昇した。VIX指数がえ26半ばで推移していることで不安定な値動きが継続しやすい。20を割れるまでは不安定な動きが継続する。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.311%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月2日:▲2.977%⇒3月3日:予想▲2.914%(前日比で縮小:割高)
3月3日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.311%から▲0.397%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.312%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.188%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.627%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.103%下回った。NYダウは、長期金利が再び上昇したことで、ハイテク・グロース株やディフェンシブ株が軒並み下落した。ただ、景気敏感株の一角が買われ、一定の下支えとなった。NYダウも121.43ドル安(-0.39%)と続落し、ほぼ一日の安値で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・3月2日:▲2.880%⇒3月3日:予想▲2.856%(前日比で縮小:割高)
S&P500は続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.773%から+0.083%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.013%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.146%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.323%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.643%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.366%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.791%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・3月2日:▲1.406%⇒3月3日予想▲1.403%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続落した一方で、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.791%から▲0.388%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.776%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.980%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.095%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.400%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.691%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価は続落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.4%台前半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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